第3節 国際政治
第1章 政治
国際政治では、国家間の関係や国際機関の役割を学びます。第二次世界大戦後の国際秩序、地域統合の動き、安全保障体制など、グローバル化が進む現代社会を理解するために不可欠な知識です。行政書士試験では国際機関の仕組みや条約に関する出題が頻出します。
議院内閣制
簡単にいうと
簡単にいうと、議院内閣制とは国会の信任があって初めて内閣が成立・存続できる仕組みのことで、イギリスや日本が代表例です。不信任決議権と解散権の相互抑制関係がポイントです。
■ 議院内閣制とは
議院内閣制とは、行政府(内閣)が立法府(国会・議会)の信任にもとづいて成立し、内閣が議会に対して連帯して責任を負う制度です。内閣と議会の間には信頼関係が前提とされているため、両者の権力分立は「緩やかな権力分立」と表現されます。議院内閣制では、議会が内閣不信任決議を可決した場合、内閣は一定期間内に辞職するか、あるいは議会を解散して国民の意思を問うことができます。このように内閣不信任決議権(議会)と議会解散権(内閣)が互いに対応する関係にある点が大きな特徴です。
■ イギリスの議院内閣制
イギリスは議院内閣制の典型例とされます。首相と大臣はすべて国会議員から選出されます。議会は二院制で、上院(貴族院)と下院(庶民院)から構成されます。上院は定数不定・任期不定で、貴族や聖職者によって構成されます。下院は定数650名・任期5年で、国民の直接選挙によって選ばれる小選挙区制の議院です。政権交代の原則として、下院第一党(与党)の党首が首相に任命される仕組みとなっており、内閣不信任決議権および議会の解散は下院のみが対象となります(上院は解散されません)。
■ 日本の議院内閣制
日本も議院内閣制を採用しており、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決によって指名されます。衆議院が内閣不信任決議を可決した場合、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職しなければなりません。なお、参議院には内閣不信任決議権がなく、解散の対象にもならない点でイギリスの下院との共通点を持つ一方、独自のルールがあります。
具体例
イギリスでは2022年、下院での信任基盤を失ったジョンソン首相が辞任した。これは議院内閣制のもとで、議会の信任が内閣存続の前提となっていることを示す典型例である。

議院内閣制の仕組み
ポイント整理
- ・内閣が議会の信任にもとづいて成立すること
- ・内閣が議会に対して連帯責任を負うこと
- ・議会は内閣不信任決議権を持つ
- ・内閣は議会解散権を持つ(緩やかな権力分立)
効果
- ・内閣と議会が協力関係にあり、政策を効率的に推進しやすい
- ・議会が内閣不信任を可決すれば内閣は辞職または議会解散を選択できる
- ・国民の意思が議会を通じて内閣に反映される
重要メモ
- ・「議院内閣制=議会の信任に基づき内閣が成立・内閣は議会に連帯責任・不信任決議と解散権が抑制均衡の手段」
- ・定義:行政府(内閣)が立法府(議会)の信任を基礎として成立し、議会に対して連帯責任を負う制度
- ・権力関係:立法権と行政権は協力・融合関係——国会議員の中から首相が選ばれる
- ・均衡手段:議会は内閣不信任決議権を持ち、内閣は議会解散権を持つ——相互抑制
- ・日本とイギリスが代表例——イギリスが議院内閣制の発祥地(「議院内閣制の母国」)
- ・大統領制との対比:大統領制は行政・立法が厳格に分立し、不信任・解散の仕組みがない
大統領制
簡単にいうと
簡単にいうと、大統領制とは大統領を議会とは別に国民が選ぶ仕組みで、アメリカが典型例です。議会との関係が完全に独立しており、不信任や解散の仕組みがない点がポイントです。
■ 大統領制とは
大統領制とは、行政府の長である大統領を、議会とは無関係に国民の選挙によって直接(または間接)選出する制度です。国民が大統領と議会議員の双方を別々の選挙で選ぶため、両者には信任・協力関係がなく、互いに独立して存在します。これを「厳格な権力分立」といいます。大統領は議会から選出されるわけではなく、議会の信任も必要としません。そのため、議会が大統領を不信任することはできず、大統領も議会を解散することができません。
■ アメリカの大統領制
アメリカでは、大統領は議会に対して法案を提出する権限を持ちません。ただし「教書」という形式で議会に意見や希望を述べることはできます。大統領は任期4年で、三選が禁止されています。選出方法は間接選挙で、国民が大統領選挙人(538名)を選び、その選挙人が大統領を選ぶ仕組みです(大統領選挙人制度)。大統領は議会が可決した法案に対して拒否権を持ちます。ただし、議会(上院・下院の両院)が3分の2以上の多数で再可決(オーバーライド)すれば、大統領の拒否を覆して法律として成立します。
■ アメリカ連邦議会
アメリカの連邦議会は二院制で、上院(元老院)と下院(代議院)から構成されます。上院は定数100名・任期6年で、各州2名が選出され、2年ごとに3分の1ずつ改選されます。下院は定数435名・任期2年で、各州の人口に比例した比例配分によって議席が割り当てられます。また、アメリカの政党は事実上、共和党と民主党の二大政党制です。
具体例
アメリカ大統領がバイデンからトランプに交代した2025年の政権交代は、議会の信任とは無関係に国民選挙で大統領が選ばれる大統領制の典型である。大統領と議会の多数党が異なる「ねじれ」が生じることもある。

大統領制の仕組み
ポイント整理
- ・大統領は国民の選挙(アメリカは間接選挙・選挙人538名)で選出される
- ・大統領は議会の信任を必要としない
- ・大統領は議会を解散できない
- ・議会は大統領を不信任できない(弾劾訴追は別途可能)
効果
- ・行政と立法が完全に独立(厳格な権力分立)
- ・大統領は法案提出権を持たない(教書で意見表明のみ)
- ・大統領は法案への拒否権を持つ(両院3分の2でオーバーライド可)
- ・大統領任期4年・三選禁止
重要メモ
- ・「大統領制=大統領を国民が直接選出・議会から独立・法案提出権なし・拒否権あり・不信任・解散なし(アメリカ型)」
- ・定義:行政府の長(大統領)が議会とは独立して国民の直接選挙で選ばれ、議会から独立した行政権を行使する制度
- ・厳格な権力分立:立法権(議会)と行政権(大統領)が相互に独立・牽制する
- ・大統領の権限:①議会に法案提出権なし(教書として意見表明は可)②議会が可決した法律への拒否権あり
- ・均衡の仕組み:議会は大統領を不信任できず、大統領は議会を解散できない——탄핵(弾劾)による罷免のみ
- ・アメリカの大統領:任期4年で三選禁止・共和党と民主党の二大政党制
各国の政治体制(ドイツ・フランス・ロシア・中国)
簡単にいうと
簡単にいうと、ドイツは実権が首相にある実質的な議院内閣制、フランス・ロシアは大統領権限が強い半大統領制、中国は共産党一党制です。各国の大統領と首相の権限の違いがポイントです。
世界には議院内閣制・大統領制のほかに、これらを折衷した「半大統領制」や一党制など、様々な政治体制が存在します。行政書士試験では、特にドイツ・フランス・ロシア・中国の4カ国が頻出です。
■ ドイツ
ドイツは大統領と首相が併存しますが、大統領の権限は形式的なものにとどまり、政治の実権は首相にあります(実質的な議院内閣制)。議会は二院制です。
■ フランス
フランスは議院内閣制と大統領制を折衷した半大統領制を採用しており、大統領の権限が非常に強いです。議会は二院制です。
■ ロシア
ロシアも議院内閣制と大統領制を折衷した半大統領制で、大統領の権限が非常に強い点はフランスと共通していますが、2018年の憲法改正で国家主席の任期規定が廃止された点が独自の特徴です。議会は二院制です。なお、ドイツは首相の権限が強く、フランス・ロシアは大統領の権限が強いという対比を押さえることが重要です。
■ 中国
中国は国家主席と国務院総理(首相)が存在しますが、実権は国家主席にあります。事実上、中国共産党の一党支配体制が続いており、複数政党による政権交代は存在しません。議会は一院制で、全国人民代表大会(全人代)が最高権力機関とされています。また、2018年の憲法改正によって国家主席の任期規定が廃止されたことも試験頻出事項です。
具体例
フランスでは大統領が強大な権限を持つため、首相との政策方針が対立する「コアビタシオン(保革共存政権)」が生じることがある。ロシアも同様に大統領主導の政治運営が行われている。
重要メモ
- ・「ドイツ=実質的議院内閣制(大統領は名目的)・フランス=半大統領制(大統領権限強)・ロシア=半大統領制・中国=国家主席制+一党制」
- ・ドイツ:大統領と首相が併存——大統領の権限は形式的で、実権は首相が持つ(実質的議院内閣制)・二院制
- ・フランス:半大統領制——議院内閣制と大統領制の折衷・大統領の権限が非常に強い・二院制
- ・ロシア:半大統領制——大統領と首相が併存・大統領の権限が非常に強い・二院制
- ・中国:国家主席と国務院総理が併存——国家主席が最高権力者・事実上中国共産党の一党制・議会は全国人民代表大会(全人代)が最高権力機関・一院制
- ・イギリス:議院内閣制の典型——首相と大臣はすべて国会議員・下院(庶民院)優越の原則・上院(貴族院)は権限限定的
領土・領海・領空
簡単にいうと
簡単にいうと、領土・領海・領空とは国家の主権(統治権)が及ぶ範囲のことで、海は12・24・200カイリという数字が試験で頻出です。EEZと公海の違い、日本の端の位置もポイントです。
■ 領土・領海・領空
国家の統治権は、領土・領海・領空という3つの空間に及びます。まず「領土」は陸地部分であり、日本の領土面積は約38万平方キロメートルです。次に「領海」は基線(海岸の最低水面線)から12カイリ(1カイリ≒1.8km)以内の海域であり、その外側の接続水域は24カイリまでです(税関・出入国管理・検疫などの目的で法令執行が認められます)。さらにその外側の排他的経済水域(EEZ)は基線から200カイリまでの海域で、沿岸国は天然資源の探査・採掘、人工島・施設の設置などが認められます。日本の領海を含むEEZを合わせた面積は約447万平方キロメートルで、世界第6位の広さを誇ります。「領空」は領土・領海の上空を指しますが、宇宙空間は領空には含まれないとされている点に注意が必要です。
■ 日本の端の位置
日本の端の位置も試験頻出事項です。最北端は択捉島、最東端は南鳥島、最南端は沖ノ鳥島、最西端は与那国島です。これらはいずれも日本の主権が及ぶ領土であり、特に南端の沖ノ鳥島はEEZの基点として重要な役割を果たしています。また、EEZ内の天然資源(石油・天然ガス・水産資源等)に対して沿岸国が主権的権利を有する一方、EEZ自体は公海の一部であり、他国の航行・上空飛行は自由に認められています。
■ 公海と無害通航権
公海は、いずれの国の領海にも属さない海域であり、原則としてすべての国が自由に利用できます(公海自由の原則)。なお、領海においては外国船の「無害通航権」が認められており、外国の艦船も沿岸国の平和・秩序・安全を害しない限り領海を通航することができます。
具体例
沖ノ鳥島は日本最南端の島(正確には岩礁)であり、EEZの基点として約40万平方キロメートルの排他的経済水域を確保する上で重要な意味を持っている。

領土・領海・領空の範囲
重要メモ
- ・「領海=基線から12カイリ・接続水域24カイリ・EEZ200カイリ・日本の最北端=択捉島・最東端=南鳥島・最南端=沖ノ鳥島・最西端=与那国島」
- ・国家の統治権が及ぶ範囲:領土・領海・領空の三要素
- ・領海:基線(海岸線)から12カイリ以内——外国船には無害通航権あり
- ・接続水域:基線から24カイリ——密輸・密入国防止のための取締りが可能
- ・排他的経済水域(EEZ):基線から200カイリ——天然資源の探査・採掘権、漁業権等を行使できる
- ・日本の端:最北端=択捉島(北海道)・最東端=南鳥島・最南端=沖ノ鳥島・最西端=与那国島(沖縄県)
- ・日本のEEZを含む海域面積:約447万平方キロメートル(世界第6位相当)
国際連合の設立と組織
簡単にいうと
簡単にいうと、国連とは第二次世界大戦後の1945年に設立された国際平和のための組織で、本部はニューヨークにあります。6つの主要機関の役割と安保理の拒否権がポイントです。
■ 国際連合の設立
国際連合(United Nations=UN)は、世界の国々が参加する国際平和のための組織で、第二次世界大戦後の1945年10月に設立されました。本部はアメリカのニューヨークに置かれます。原加盟国は51カ国でしたが、2024年3月現在は193カ国が加盟しています。
■ 6つの主要機関
第一に「総会」は、全加盟国で構成される国連の中心機関であり、1国1票の投票権を持ちます。原則として単純多数決により議決しますが、重要事項については3分の2以上の賛成が必要とされます。総会の決議は勧告的効力にとどまり、法的拘束力を持ちません。総会が設置した機関としてUNICEF(国連児童基金)やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)などがあります。
第二に「安全保障理事会(安保理)」は、アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国の5カ国の常任理事国と、2年ごとに改選される10カ国の非常任理事国の計15カ国で構成されます。加盟国を拘束する決定を行う権限を持つ唯一の機関であり、安全保障問題に対して総会に優越した権限を有します。経済制裁・外交関係の断絶などの非軍事的強制措置のみならず、国連憲章に基づく国連軍による軍事的制裁を決定することもできます。常任理事国の1カ国でも反対すれば否決されます(拒否権)。安保理が拒否権発動等で機能不全に陥った場合、緊急特別総会が開催されることがあります。
第三に「経済社会理事会」、第四に「信託統治理事会」(現在は活動停止中)、第五に「国際司法裁判所」(本部はオランダのハーグ)、第六に「事務局」が主要機関として位置づけられています。
具体例
ロシアのウクライナ侵攻(2022年)に際して、常任理事国であるロシアが安保理で拒否権を行使したため、安保理としての対応が困難となり、緊急特別総会が開催された。これは安保理の機能不全時の対応策が実際に用いられた例である。

国際連合の組織と機関
重要メモ
- ・「国連=1945年10月設立・原加盟国51カ国・本部ニューヨーク・6主要機関・安保理が最強権限(常任理事国の拒否権)」
- ・設立:第二次世界大戦後の1945年10月に設立——原加盟国51カ国(2024年時点で193カ国)
- ・本部:アメリカのニューヨーク
- ・6つの主要機関:総会・安全保障理事会・経済社会理事会・信託統治理事会・事務局・国際司法裁判所
- ・総会:全加盟国で構成・1国1票・多数決が原則・重要事項は3分の2以上・決議は勧告的効力(法的拘束力なし)
- ・安全保障理事会:常任理事国5カ国(米・英・仏・露・中)+非常任10カ国で計15カ国・加盟国を拘束する決定が可能・常任理事国の拒否権
- ・安保理の制裁:非軍事的強制措置(経済制裁等)のほか、軍事的制裁も決定できる
国連の専門機関
簡単にいうと
簡単にいうと、国連の専門機関とは国連とは別に独立した政府間国際機構として、経済・文化・保健などの分野で活動する機関のことです。UNICEFやUNHCRは専門機関ではなく補助機関である点がポイントです。
■ 国連の専門機関とは
国連の専門機関とは、国連から独立した政府間国際機構の中で、特に経済・文化・保健などの各分野での国際協力を目的とし、国連と連携協定を結んで特殊な関係を保っている国際機関を指します。専門機関と国連との関係は「連携協定」によって維持されており、組織的には独立しながらも国連の枠組みの中で協調して活動する形態をとっています。
■ 専門機関の独立性
専門機関は国連と連携はしますが、法的には独立した組織です。そのため、各国は国連に加盟しながら、個々の専門機関には加盟しないことも可能であり、逆に国連非加盟国が専門機関に加盟している場合もあります。
■ 代表的な専門機関
代表的な専門機関としては、国際通貨基金(IMF)・国際復興開発銀行(IBRD=世界銀行)・世界保健機関(WHO)・国連教育科学文化機関(UNESCO)などがあります。IMFは国際通貨制度の安定、IBRDは開発途上国への融資、WHOは国際的な公衆衛生、UNESCOは教育・科学・文化の国際協力をそれぞれの目的としています。
■ 補助機関との区別
これらの専門機関は国連の直接の下部機関(補助機関)ではなく、それぞれ独自の加盟国・予算・規定を持って運営されています。また、UNICEF(国連児童基金)やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は総会の補助機関として設置されたもので、独立した専門機関とは性格が異なる点に注意が必要です。専門機関は国連から独立しているという点と、UNICEFやUNHCRは補助機関であって専門機関ではないという区別が試験でしばしば問われます。
具体例
WHOは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック宣言を発出した機関で、国連から独立して設立・運営されている専門機関の代表例である。
重要メモ
- ・「国連専門機関=国連と連携協定を結ぶ独立した国際機関・IMF(国際通貨基金)・IBRD・WHO・UNESCOが代表例」
- ・国連専門機関とは:国連から独立した政府間国際機構で、経済・文化等の特定分野で国際協力を行い、国連と連携協定を締結している機関
- ・主な専門機関:IMF(国際通貨基金)・IBRD(国際復興開発銀行・世界銀行)・WHO(世界保健機関)・UNESCO(国連教育科学文化機関)・ILO(国際労働機関)・FAO(国連食糧農業機関)
- ・IAEA(国際原子力機関):国連の関連機関——核不拡散条約(NPT)に基づく核査察を担当(専門機関ではなく関連機関)
- ・国連関連機関(専門機関ではない):UNICEF(国連児童基金)・UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)・WFP(世界食糧計画)など
国際連盟と国際連合の比較
簡単にいうと
簡単にいうと、国際連盟と国際連合には、アメリカが参加したかどうか・軍事的制裁があるかどうかなど、いくつかの重要な違いがあります。「連盟には軍事的制裁なし、国連にはあり」という点がポイントです。
■ 国際連盟
国際連盟(League of Nations)は、第一次世界大戦後に設立された国際平和組織で、本部はスイスのジュネーヴに置かれました。提唱国のアメリカが議会の反対により不参加となったことが大きな弱点でした。原加盟国は42カ国です。総会・理事会ともに全会一致制をとったため、意思決定が困難でした。制裁手段として経済封鎖(経済制裁)は存在しましたが、軍事的制裁措置は設けられていませんでした。1933年にドイツと日本が脱退し、1937年にはイタリアが脱退したことで機能不全に陥り、第二次世界大戦を防ぐことができませんでした。
■ 国際連合
国際連合(United Nations)は、第二次世界大戦後の1945年に設立された国際平和組織で、本部はアメリカのニューヨークです。原加盟国51カ国(2024年3月現在193カ国)です。アメリカ・イギリス・フランス・ソ連・中国の五大国(戦勝国)が常任理事国として参加した点が国際連盟との大きな違いです。総会は多数決制が原則です。安全保障理事会は、手続き事項を除き常任理事国5カ国の一致が必要です(拒否権制度)。経済制裁のほか、安保理は軍事的制裁措置をとることができます。
■ 試験上の最重要ポイント
「国際連盟には軍事的制裁措置がなかった」のに対して「国際連合には軍事的制裁措置がある」という点が最重要ポイントです。問題文では逆の記述で誤りを誘う出題が多いため注意が必要です。
具体例
過去問(15-47-5改題)では「国際連合は制裁手段が経済制裁に限られ、国際連盟では軍事制裁も位置づけられていた」という誤った選択肢が出題された。正解は逆で、軍事制裁があるのは国際連合(安保理)であり、国際連盟には軍事制裁がなかった。

EU(欧州連合)の発展と主な取組み
重要メモ
- ・「国連盟=1920年設立・本部ジュネーブ・全会一致制・アメリカ不参加・軍事制裁なし vs 国連=1945年設立・ニューヨーク・多数決・米国参加・軍事制裁あり」
- ・国際連盟(1920年設立):本部スイスのジュネーブ・総会と理事会はともに全会一致制・アメリカは議会の反対で不参加
- ・国際連合(1945年設立):本部アメリカのニューヨーク・総会は多数決制が原則・5大国(常任理事国)が参加
- ・制裁手段の違い:国際連盟は経済制裁のみ(軍事制裁なし)、国際連合は経済制裁に加え軍事的制裁措置も可能
- ・連盟の限界:全会一致制で意思決定が困難・アメリカ不参加・日本・ドイツ・イタリアが脱退——第二次世界大戦を防げず
- ・よく出る引っかけ:「国際連合の制裁は経済制裁のみ」→誤り(軍事制裁も可)、「国際連盟に軍事制裁があった」→誤り(なし)
EU(欧州連合)
簡単にいうと
簡単にいうと、EUとは1993年に「1つのヨーロッパ」を目指してつくられた政治・経済統合体で、単一通貨ユーロやパスポート不要の国境越えが特徴です。イギリスのEU離脱(ブレグジット)と加盟国数がポイントです。
■ EUの発足と概要
EU(欧州連合)は、政治的にも経済的にも「1つのヨーロッパ」を目指すことを基本理念とし、1993年のマーストリヒト条約発効によって正式に発足した地域統合体です。その前身は、ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)・EEC(欧州経済共同体)・EURATOM(欧州原子力共同体)を統合したEC(欧州共同体)であり、ECがさらに発展してEUへと移行しました。現在の加盟国は2020年9月時点で27カ国であり、イギリスは2020年1月に離脱(ブレグジット)しています。
■ EUの主な取組み
第一に「単一通貨ユーロの導入」があります。1999年から共通通貨ユーロによる決済が開始され、2002年から一般流通が始まりました。ただし、永世中立国であるスイスやイスラム圏のトルコなど、EUに加盟していない国も存在することに注意が必要です。
第二に「シェンゲン協定」があります。協定加盟国間においては、審査なしで国境を越えることが認められており、EU非加盟国のスイス・ノルウェーなどもシェンゲン協定には参加しています。
第三に「リスボン条約」があります。リスボン条約の発効により、欧州理事会議長(通称:EU大統領)などが設置されました。
なお、「EU憲法」という名称のものは存在しません(リスボン条約の前身として欧州憲法条約が提案されましたが、批准されませんでした)。
具体例
イギリスのEU離脱(ブレグジット)は2020年1月に正式に発効した。イギリスの離脱後、EU加盟国は27カ国となった。また、ユーロを導入していないEU加盟国(スウェーデン等)も存在するなど、一体化の程度は分野によって異なる。
重要メモ
- ・「EU=1993年マーストリヒト条約で発足・現在27カ国(英国脱退)・共通通貨ユーロは2002年流通開始・シェンゲン協定で国境審査撤廃」
- ・設立:1993年マーストリヒト条約発効によりECからEUへ——ECSCからEEC・EC・EUへと発展
- ・加盟国:2020年9月時点で27カ国——イギリスはブレグジット(Brexit)により2020年に脱退
- ・単一通貨ユーロ:1999年から決済開始、2002年から紙幣・硬貨の流通開始——ユーロ加盟国は約20カ国
- ・シェンゲン協定:加盟国間で審査なしに国境を越えることが可能(域内国境検査の撤廃)
- ・リスボン条約(2009年発効):欧州理事会議長(EU大統領)・EU外務大臣相当職(外務・安全保障政策上級代表)を設置
- ・EU機関:欧州理事会・欧州議会・EU理事会(閣僚理事会)・欧州委員会・欧州司法裁判所など
核軍縮条約
簡単にいうと
簡単にいうと、核軍縮の主要条約はPTBT・NPT・INF・CTBT・核兵器禁止条約の5つです。それぞれ禁止する内容と発効状況が異なります。特にCTBTが未発効であること、日本が核兵器禁止条約に署名していない点がポイントです。
第二次世界大戦後、数多くの核実験が行われましたが、それを制限・廃絶するための取組みとして様々な国際条約が締結されました。行政書士試験では主に5つの条約が出題されます。
■ PTBT(部分的核実験禁止条約)
1963年に発効しました。アメリカ・イギリス・ソ連の間で締結された条約で、大気圏内・宇宙空間・水中における核実験を禁止しています。ただし、地下核実験は対象外であることに注意が必要です。
■ NPT(核拡散防止条約)
1968年に発効しました。核兵器の保有をアメリカ・ソ連(現ロシア)・イギリス・フランス・中国の5カ国に限定し、非保有国が新たに核兵器を保有することを禁止するとともに、保有国が非保有国に核兵器を供与することも禁止しています。加盟国には国際原子力機関(IAEA)による核査察の受け入れを義務付けています。
■ INF(中距離核戦力全廃条約)
1987年にアメリカ・ソ連間で締結された条約で、中距離弾道ミサイルを廃棄することを定めました。2019年に失効しています。
■ CTBT(包括的核実験禁止条約)
1996年に採択されましたが、現在も未発効です。地下核実験を含むあらゆる空間での核実験・核爆発を禁止するものであり、未発効の状態である点が試験頻出事項です。
■ 核兵器禁止条約
2017年に発効しました。核兵器の開発・保有・実験・使用・威嚇のすべてを禁止する最も包括的な条約です。ただし、NPT加盟の核保有5カ国(アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国)はいずれも署名・批准しておらず、日本もアメリカの「核の傘」のもとにあるとして署名していません。
具体例
過去問(14-51-エ)では「核拡散防止条約(NPT)において米露英中の5カ国が核兵器保有国と規定されている」という選択肢が出題され、これは正しい。正確には「米・英・仏・露・中」の5カ国である(フランスを「露」と混同しないよう注意)。
重要メモ
- ・「PTBT(1963)→NPT(1968・米英仏露中5カ国のみ保有可)→CTBT(1996・未発効)→核兵器禁止条約(2017・日本未署名)」
- ・PTBT(部分的核実験禁止条約・1963年発効):大気圏内・宇宙空間・水中での核実験を禁止——地下核実験は含まない
- ・NPT(核不拡散防止条約・1968年発効):核保有国を米・英・仏・ロシア・中国の5カ国に限定・非保有国への供与禁止・IAEA査察義務
- ・INF条約(中距離核戦力全廃条約・1987年):米ソ間で締結・中距離弾道ミサイルの廃棄——2019年に失効
- ・CTBT(包括的核実験禁止条約・1996年):地下核実験を含むあらゆる核爆発を禁止——未発効(一定国の批准が条件)
- ・核兵器禁止条約(2017年・発効済):核兵器の開発・保有・使用・威嚇まで包括的に禁止——日本は署名していない(NPT加盟核保有国5カ国も署名せず)
まとめ
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