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テキスト/基礎知識/第3節 住民基本台帳法

第3節 住民基本台帳法

第4章 諸法令

住民基本台帳法は、住民の居住関係を公証し、行政サービスの基盤となる重要な制度です。行政書士として住民票の請求代理や転入出手続の相談に関わる機会が多く、実務上必須の知識です。試験では住民票の記載事項や閲覧・交付請求の要件が頻出します。

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住民基本台帳法の目的

1条・6条・15条

簡単にいうと

簡単にいうと、住民基本台帳法は市民の「住んでいる場所」を正確に記録して、行政サービス全体の基盤を整えるための法律です。選挙人名簿との関係もポイントです。

■ 目的規定(1条)

住民基本台帳法は、市町村(特別区を含みます。以下同じ)において、住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務処理の基礎とするとともに住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め、もって住民の利便を増進するとともに、国および地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とします(1条)。

■ 目的の2つの柱

この目的規定には二つの柱があります。第一の柱は「住民の利便増進」であり、住民が各種行政手続きにおいて重複した届出・証明書の提出を求められないよう、住民基本台帳を基盤として行政事務を合理化することで住民の負担を軽減することを目指しています。第二の柱は「国および地方公共団体の行政の合理化」であり、居住関係に関する統一的・正確な記録を維持することで、社会保険、税務、選挙など多岐にわたる行政分野を横断的に支える基盤となることを意図しています。

■ 住民基本台帳の作成と選挙人名簿

市町村長は、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して、住民基本台帳を作成しなければなりません(6条1項)。住民票は個人ごとに作成されますが、それを「世帯ごと」にまとめて台帳を構成するという点が重要です。選挙人名簿の登録は、住民基本台帳に記録されている者または公職選挙法21条2項に規定する住民基本台帳に記録されたとみなされる者であって選挙権を有するものについて行うとされています(15条1項)。つまり、選挙人名簿は住民基本台帳の記録を前提として作成される派生的な名簿であることがわかります。

具体例

A市に転入したBさんは、転入届を提出することで住民基本台帳に記録される。その記録を基に選挙人名簿への登録が行われ、国民健康保険・介護保険・住民税の課税基準にも活用される。

ポイント整理

  • 市町村において住民の居住関係を公証し統一的に記録する制度
  • 個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して住民基本台帳を作成(6条1項)
  • 選挙人名簿は住民基本台帳記録者のうち選挙権を有する者が対象(15条1項)

効果

  • 住民の利便増進:各種行政手続の簡素化・重複届出の解消
  • 国・地方公共団体の行政の合理化
  • 社会保険・税務・選挙など横断的行政分野の基盤提供

条文(第1条・6条・15条条)

(目的)第1条 この法律は、市町村において、住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務処理の基礎とするとともに住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め、もって住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。

項目
内容
条文
目的①
住民の利便の増進
1条
目的②
国および地方公共団体の行政の合理化
1条
住民票の作成単位
個人を単位→世帯ごとに編成
6条1項
選挙人名簿の登録対象
住民基本台帳記録者のうち選挙権を有する者
15条1項

重要メモ

  • 「住民基本台帳法の目的(1条):居住関係の公証・選挙人名簿登録等の基礎とし・届出の簡素化・記録の正確統一化→住民の利便と行政の合理化」
  • 目的(1条):市町村において住民の居住関係の公証選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の基礎とするとともに、届出等の簡素化を図り、記録を正確かつ統一的に行う制度を定める——住民の利便増進と行政の合理化に資する
  • 住民基本台帳の作成(6条):市町村長は原則として個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して住民基本台帳を作成
  • 選挙人名簿との関係(15条):選挙人名簿の登録は住民基本台帳の記録に基づいて行われる
  • 広域交付:2009年から住民票の写しは全国どの市区町村でも交付請求可能に
  • マイナンバーとの連携:住民票にマイナンバーが記載——行政手続のデジタル化の基盤
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住民票の写し等の交付請求

12条・12条の2・12条の3・12条の4

簡単にいうと

簡単にいうと、住民票の写しは誰でも請求できるわけではありません。自分や役所はもちろんですが、第三者が請求するには厳しい条件があります。4種類の交付手続きがポイントです。

■ 交付請求の4類型

住民基本台帳法には、住民票の写し等の交付について大きく4つの請求・申出の類型が定められています。個人情報保護の要請が高まる中、2007年(平成19年)改正により、第三者が戸籍謄本等の交付請求ができる場合が制限されるとともに、住民票についても不正取得防止のルールが整備されました。

■ 本人等請求(12条)

第一は本人等請求(12条)です。戸籍に記載されている者またはその配偶者、直系尊属もしくは直系卑属は、その者の戸籍の謄本もしくは抄本または戸籍に記載した事項に関する証明書(戸籍謄本等)の交付を請求することができます(10条1項)。住民基本台帳法では、本人またはその世帯員が住民票の写し等の交付を請求することができ(12条)、本人確認書類の提示とともに申請を行います。

■ 公用請求(12条の2)

第二は公用請求(12条の2)です。国または地方公共団体の機関が職務上必要な場合に、住民票の写し等の交付を請求することができます。この場合、公用であることを示す理由の提示が必要となります。

■ 第三者申出(12条の3)

第三は第三者申出(12条の3)です。10条1項に規定する者(本人請求ができる者)以外の者は、次に掲げる場合に限り、住民票の写し等の交付の請求をすることができます(12条の3第1項前段)。この場合、当該請求をする者は、それぞれ所定事項を明らかにしてこれをしなければなりません(12条の3第1項後段)。①権利行使または義務履行のために必要な場合(自己の権利の行使もしくは義務の履行に必要、または正当な利益を有すると認められる場合)、②国または地方公共団体の機関に提出する必要がある場合、③その他戸籍の記載事項の利用の目的および方法ならびにその利用の必要とする事由が正当な理由であることが明らかな場合。なお、国・地方公共団体の機関や弁護士・司法書士・土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士・行政書士等の資格者による交付請求も別途認められています(12条の3第2項前段・第3項前段)。

■ 広域交付住民票(12条の4)

第四は広域交付住民票(12条の4)です。本人等の請求に係る住民票の写しの交付の特例として、広域交付住民票の交付請求が認められています。住民基本台帳法の規定により市町村長がする処分(住民票の写しの交付請求に対する拒否処分等)については、行政手続法および行政不服申立法の規定は適用されません(32条)。

具体例

弁護士が依頼人の相手方の住所を確認するために住民票の写しを請求する場合は、12条の3第2項の資格者請求として認められる。一方、債権者が債務者の住所確認のために第三者申出をする場合は、①権利行使のため正当な理由があるとして認められる可能性がある。

ポイント整理

  • 本人等請求(12条):本人または同一世帯員が請求可能
  • 公用請求(12条の2):国・地方公共団体の機関が職務上必要な場合
  • 第三者申出(12条の3):①権利行使・義務履行、②国等への提出、③正当な理由のある場合に限定
  • 第三者申出時は利用目的・方法・事由を明らかにする義務あり
  • 広域交付(12条の4):本人等請求の特例

効果

  • 所定の場合に限り住民票の写し等を取得できる
  • 不正請求に対する刑罰(30万円以下の罰金)
  • 市町村長の処分は行政手続法・行政不服申立法の適用除外(32条)

条文(第12条・12条の2・12条の3・12条の4条)

(住民票の写し等の交付)第12条 市町村長は、その市町村の住民票に記録されている者(中略)の申請があつたときは、その者に係る住民票の写し(中略)を交付しなければならない。

類型
条文
請求者
要件
本人等請求
12条
本人・同一世帯員
本人確認書類の提示
公用請求
12条の2
国・地方公共団体の機関
職務上必要な旨を示す理由
第三者申出
12条の3
上記以外の者・資格者等
①権利行使・義務履行 ②国等への提出 ③正当理由 のいずれかを明らかにする
広域交付
12条の4
本人等(居住市町村以外でも可)
本人確認書類の提示(本人等請求の特例)

重要メモ

  • 「住民票の写し等の交付:本人・同一世帯員は請求可・第三者は自己の権利行使等の正当な利用目的がある場合のみ」
  • 本人・同一世帯員の請求(12条1項):住民票に記載されている者またはその世帯主は、住民票の写しの交付を請求できる
  • 第三者請求(12条の3):本人・世帯員以外の者は、自己の権利行使・義務履行のために確認が必要な場合等に限り請求可
  • 国・地方公共団体の機関(12条の2):職務上必要な場合に請求可
  • 住民票コードの第三者提供制限:住民票コードは第三者への提供が厳しく制限される——マイナンバーの基礎となる番号
  • 不正請求・不当利用防止:DV被害者等への配慮——支援措置制度により住民票の閲覧制限が可能
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戸籍の附票

16条・20条

簡単にいうと

簡単にいうと、戸籍の附票は本籍地で作られる「住所の履歴書」のようなものです。現住所だけでなく過去の住所も証明できる点がポイントです。

■ 戸籍の附票とは

戸籍の附票とは、市所(本籍地の市区町村)で作成される住民票を本籍地で作成される戸籍に関連させ、住民票と戸籍の共通記載事項について住民票の記載内容を戸籍の記録内容と一致させることにより、住民基本台帳の記録の正確性を確保するための帳票です(16条)。

■ 住民票との違い

戸籍の附票は、本籍地の市区町村が戸籍簿とセットで管理します。新たに戸籍を作った(本籍を定めた)時点以降における住民の住所の移り変わりをすべて記録し続けるという特徴を持ちます。これに対し住民票は現在の住所(現住所)のみを証明するものですから、両者の機能には明確な差異があります。具体的には、住民票はあくまでも「今どこに住んでいるか」を証明するものにすぎませんが、戸籍の附票は「この人が過去にどこに住んでいたか」を連続的に証明する書類として機能し、相続手続・不動産登記・年金手続等の場面で広く利用されます。

■ 写しの請求方法

住民票の写しの請求と同様の方法で、戸籍の附票の写しも請求することができます。すなわち、本人等請求・公用請求・第三者申出のいずれかの類型によって取得することが可能であり、交付請求の手続きは住民票の写しの場合と同一の仕組みが適用されます。この点は試験上も重要であり、「戸籍の附票の写しの請求は住民票の写しの請求と異なる手続きによる」とする誤りに注意が必要です。

具体例

相続手続において被相続人の最後の住所を証明するため、戸籍の附票の写しを取得することがある。本籍地が東京都A区であれば、A区役所に対して戸籍の附票の写しの交付を請求する。

ポイント整理

  • 本籍地の市区町村が作成・管理
  • 戸籍を新たに作成(本籍を定めた)時点以降の住所変遷を記録
  • 住民票と戸籍の共通記載事項を一致させることで正確性を確保(16条)

効果

  • 現住所だけでなく過去の住所の証明が可能
  • 相続・登記・年金等の手続で広く活用
  • 写しの請求は住民票の写しと同様の手続きで行える(20条)

条文(第16条・20条条)

(戸籍の附票の作成)第16条 市町村長は、その市町村の区域内に本籍を有する者につき戸籍の附票を作成しなければならない。

比較項目
住民票
戸籍の附票
作成・管理
現住所地の市区町村
本籍地の市区町村
証明できる内容
現在の住所のみ
本籍設定時以降の住所変遷(過去含む)
記録の基準
現在の居住実態
戸籍との連動・住所の履歴
主な利用場面
住所確認・行政手続全般
相続・不動産登記・年金手続等
写しの請求方法
12条の請求手続
同一手続で請求可能(20条)

重要メモ

  • 「戸籍の附票=本籍地で作成・住民票の記録と戸籍を紐付けする帳票・住所変遷が記録される」
  • 戸籍の附票:住所地で作成される住民票を本籍地で作成される戸籍に関連させた帳票——住民票と戸籍の橋渡し
  • 記載事項:氏名・住所・住所の変更履歴(住所を異動した年月日等)
  • 目的:住民基本台帳の記録の正確性確保——住民票の変更が戸籍の附票に反映される
  • 交付請求:戸籍の附票の写しは、戸籍謄本等と同様の請求ルール(本人等請求・第三者請求)が適用される
  • 利用場面:相続手続・不動産登記で過去の住所変遷を証明するために使用
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届出(転入・転居・転出・世帯変更)

21条の4・22条〜26条・32条・137条

簡単にいうと

簡単にいうと、引っ越しのとき「何日以内に届け出ないといけない」かが定められています。転入・転居は14日以内、転出はあらかじめ届け出るという基本ルールがポイントです。

■ 届出制度の概要

住民としての地位の変更に関する届出は、すべて「届出」の章および「外国人住民に関する特例」の章に定める届出によって行うものとされています(21条の4)。届出の種類は主に転入届・転居届・転出届・世帯変更届の4種類です。

■ 転入届(22条1項)

転入届(22条1項)は、転入をした者が転入した日から14日以内に、氏名・住所・転入した年月日などの事項を市町村長に届け出なければならないとするものです。転入後に転入届を提出するという事後届出の性格を持つ点が重要です。

■ 転居届(23条)

転居届(23条)は、転居(同一市町村内の住所変更)をした者が転居した日から14日以内に、氏名・住所・転居した年月日などの事項を市町村長に届け出なければならないものです。転入届と同様に14日以内という期限が定められており、転入・転居いずれも14日以内という共通点があります。

■ 転出届(24条)

転出届(24条)は、転出する者があらかじめその氏名・転出先・転出予定年月日を市町村長に届け出なければならないとするものです。転入・転居と異なり、転出については「あらかじめ」届け出ることが求められており、期間の定めはありません。転出する前の事前届出という性格を持ちます。

■ 世帯変更届(25条)

世帯変更届(25条)は、転居の場合を除き、その属する世帯またはその世帯主に変更があった者は変更があった日から14日以内に、氏名・変更事項および変更があった年月日を市町村長に届け出なければならないとするものです。

■ 届出義務者と違反の制裁

届出は本人が原則(22条〜25条)ですが、世帯主は世帯員に代わって「届出」の章または「外国人住民に関する特例」の章の規定による届出をすることができます(26条1項)。届出義務に違反して正当な理由なく期間内にすべき届出をしない者は、5万円以下の過料に処されます(137条)。なお、住民基本台帳法の規定により市町村長がする処分については、行政手続法の「申請に対する処分」・「不利益処分」に関する手続規定や行政不服申立法は適用されません(32条)。

具体例

AがB市からC市へ転居する場合、B市にあらかじめ転出届を提出した後、C市への転入から14日以内に転入届を提出する。届出を怠った場合は5万円以下の過料の対象となる(罰金ではない点に注意)。

ポイント整理

  • 転入届:転入した日から14日以内(22条1項)
  • 転居届:転居した日から14日以内(23条)
  • 転出届:あらかじめ届け出(期間の定めなし)(24条)
  • 世帯変更届:変更があった日から14日以内(25条)
  • 届出は原則本人(世帯主は世帯員の代理可・26条1項)

効果

  • 届出により住民基本台帳の記録が更新される
  • 正当な理由なく不届出の場合:5万円以下の過料(137条)(罰金ではない)
  • 市町村長がする処分は行政手続法・行政不服申立法の適用除外(32条)

条文(第21条の4・22条〜26条・32条・137条条)

(転入届)第22条 転入(新たに市町村の区域内に住所を定めることをいう。以下この章において同じ。)をした者は、転入をした日から14日以内に(中略)市町村長に届け出なければならない。

届出の種類
届出期間
条文
備考
転入届
転入した日から14日以内
22条1項
事後届出
転居届
転居した日から14日以内
23条
同一市町村内の住所変更
転出届
あらかじめ(期間の定めなし)
24条
事前届出・転出先・転出予定日を届け出る
世帯変更届
変更があった日から14日以内
25条
転居の場合を除く
不届出の制裁
5万円以下の過料
137条
罰金ではなく過料
市町村長の処分
行政手続法・行政不服申立法適用除外
32条
行政手続法は適用されない

重要メモ

  • 「転入・転居・世帯変更は変更から14日以内に届出・転出はあらかじめ(事前に)届出・正当な理由なく不届けは5万円以下の過料」
  • 転入届(22条):転入をした日から14日以内に市町村長に届出
  • 転居届(23条):転居をした日から14日以内に市町村長に届出
  • 転出届(24条):転出をする者はあらかじめ(事前に)市町村長に届出——転出予定年月日・転出先を記載
  • 世帯変更届(25条):転居の場合を除き、世帯またはその世帯主に変更があった日から14日以内に届出
  • 届出義務者:本人が原則——世帯主は世帯員に代わって届出可能(26条)
  • 不届けの制裁:正当な理由なく届出をしない者は5万円以下の過料

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
住民基本台帳制度の目的
居住関係の公証と行政事務の基礎
選挙・国保・年金等との関連を押さえる
住民票の記載事項
氏名・生年月日・住所・世帯主との続柄等
本籍・個人番号も記載事項に含まれる
転入・転出・転居の届出
14日以内の届出義務・過料5万円以下
過料であり罰金ではない点に注意
住民票の写しの交付請求
本人・同一世帯員は無条件、第三者は正当理由必要
不正請求は刑罰(30万円以下の罰金)
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