第1節 文章理解(空欄補充・並べ替え・要旨把握)
第6章 文章理解
行政書士試験の一般知識では、政治・経済・社会・情報などの広範な知識が問われます。本節では、文章理解問題として出題される空欄補充・並べ替え・要旨把握の各パターンに頻出する基礎知識を体系的に整理します。単なる暗記ではなく、制度の趣旨や背景を理解することが高得点への近道です。
文章理解の出題形式と全体戦略
簡単にいうと
文章理解って何が問われるの?行政書士試験では「読解力」そのものが試される科目で、正しい解き方を身につければ確実に得点できます。
行政書士試験における文章理解は、一般知識等科目の中に3問出題される分野であり、空欄補充・並べ替え(文章整序)・要旨把握(内容把握)の3つの形式で構成されます。法律知識ではなく純粋な読解力・論理的思考力が問われるため、法学の予備知識は不要ですが、独特の解法テクニックを習得しておくことで安定して得点できる分野です。
3問すべてが文章理解の問題となるのが近年の標準的な出題スタイルです。一般知識等科目では全14問中6問以上の正解(足切り)が必要なため、文章理解の3問を確実に得点することが合格戦略上きわめて重要です。文章理解3問を全問正解すれば、残り11問中3問正解するだけで足切りをクリアできます。
文章理解の問題は、おおむね400〜800字程度の論説文・評論文・随筆などの文章が出題されます。問題文は哲学・社会・文化・科学・言語など幅広いテーマを扱いますが、内容理解よりも「文章の論理構造を把握する力」が求められます。段落の役割(話題提示・展開・まとめ)、接続詞の機能(順接・逆接・添加・転換)、指示語(「これ」「それ」「このような」)が指す内容の特定、対比・並列・因果関係の把握が解答の核心となります。
具体例
「しかし」「ところが」などの逆接の接続詞の後には筆者の主張・強調したい内容が来ることが多い。空欄の前後に逆接の接続詞があれば、前の内容と反対の内容を探す。
ポイント整理
- ・文章の論理構造(話題提示→展開→まとめ)を把握する
- ・接続詞の機能(順接・逆接・添加・転換・説明・換言)を識別する
- ・指示語が指す内容を正確に特定する
- ・段落ごとのキーワード・テーマを把握する
- ・選択肢を本文と照合して矛盾・過大解釈・未記載を見抜く
効果
- ・文章理解3問を確実に得点することで一般知識足切りのリスクを大幅に低減できる
- ・短期間の演習で得点力を伸ばせる(知識ゼロから始められる)
重要メモ
- ・「行政書士試験の文章理解は3問出題(一般知識)・空欄補充・並び替え・内容把握の3形式・時間管理と選択肢消去法が得点の鍵」
- ・出題数:一般知識(基礎知識)科目のうち文章理解として3問出題——確実に得点できる分野
- ・出題形式の3パターン:①空欄補充問題②並び替え(文章整序)問題③要旨把握・内容把握問題
- ・全体戦略:文章理解は法律知識不要——文脈読解力・論理的思考力・国語力で解く
- ・時間配分:文章理解3問に10〜15分——一般知識14問全体で30〜40分を目安に
- ・消去法の活用:明らかに文脈に合わない選択肢を消去し、残りの選択肢を比較
- ・日本語の文章構造理解が重要:話題の転換(逆接)・具体化・まとめの接続詞を見極める
空欄補充問題の解き方
簡単にいうと
空欄補充って、どうやって正解を選べばいいの?前後の文脈と接続詞が最大のヒントになります。
空欄補充問題は、文章中の一か所または複数の空欄に入る語句・文・段落を選択肢から選ぶ形式です。行政書士試験では文章レベルの空欄補充(空欄に入る一文を選ぶ)が多く出題されます。
解き方の基本は「空欄の前後を徹底的に読む」ことです。空欄の直前の文が「問題提起」であれば、空欄には「答え・理由・補足」が入ります。空欄の直後に「つまり」「したがって」などの換言・結論の接続詞があれば、空欄には直後の結論を導く理由・根拠が入ります。また空欄の直後に「しかし」「ところが」などの逆接があれば、空欄の内容は直後の内容と反対の方向性になります。
選択肢の絞り込みには「消去法」が有効です。まず文章全体のテーマを把握し、テーマから完全にはずれた選択肢を除外します。次に空欄の前後と論理的につながらない選択肢を除外します。特に「本文に書かれていない情報を追加している選択肢」「本文の内容とは逆の主張をしている選択肢」は誤りです。最後に残った選択肢の中から、空欄の前後の文と最も自然につながるものを選びます。
キーワードの一致も重要な判断基準です。空欄の前後の文に出てくるキーワード(名詞・概念語)と同じ言葉または言い換え表現が含まれている選択肢は正解候補として有力です。ただし、全く同じ言葉を繰り返しているだけの選択肢(オウム返し)は引っかけの場合もあるため注意が必要です。
具体例
空欄の前:「現代社会では個人の孤立が深刻な問題となっている。」→空欄→直後:「しかし、その解決策は簡単ではない。」→空欄には「孤立の解決策(コミュニティの再生など)」の内容が入るはずで、直後の逆接で否定されるような内容を選ぶ。
ポイント整理
- ・空欄の前後の文を最低2文ずつ読む
- ・空欄に接続する接続詞を確認する(空欄直前・直後の接続詞)
- ・文章全体のテーマ・論旨から外れた選択肢を消去する
- ・本文に書かれていない新情報を持ち込んでいる選択肢を除外する
- ・残った選択肢を実際に空欄に入れて読んで自然かどうか確認する
効果
- ・論理的な前後関係の把握により正解率が大幅に向上する
- ・消去法を使えば2択まで絞り込める場合が多い
重要メモ
- ・「空欄補充:①前後の文脈を読む②接続詞・指示語に注目③選択肢を代入して意味が通るか確認——接続詞型と内容型で解法が異なる」
- ・空欄補充問題の2種類:①接続詞補充(しかし・したがって・つまり等)②内容補充(文の内容・語句)
- ・接続詞型の解法:前後の論理関係を把握——逆接(しかし・ところが)・順接(したがって・だから)・添加(また・さらに)・転換(一方・他方)を区別
- ・内容補充型の解法:①空欄前後の話題の一貫性を確認②キーワードの繰り返しを探す③指示語(それ・この・そのような)の指示内容を特定
- ・解法の手順:①文章全体を通読→②空欄の前後の段落を精読→③選択肢を代入して文章の流れが自然か確認
- ・難問対策:2つの空欄がある問題は片方が確定したらもう片方を絞り込む
並べ替え(文章整序)問題の解き方
簡単にいうと
バラバラになった文を並べ替えるって、どこから手をつければいいの?「冒頭に来られない文」を見つけることが突破口になります。
文章整序(並べ替え)問題は、複数の文(3〜5文程度)をバラバラに提示し、正しい論理的順序に並べ替える形式です。行政書士試験では選択肢が完成した並べ替え順序として提示されるため、最初の文と最後の文を特定できれば大幅に絞り込めます。
解き方の第一ステップは「冒頭に来られない文」の特定です。接続詞(「しかし」「したがって」「また」「このように」など)で始まる文は冒頭には来られません。指示語(「これ」「それ」「このような」「その」など)で始まる文も、指示語の対象が先行する文が必要なため冒頭には来られません。これらを除外することで最初の文の候補を絞れます。
第二ステップは「文と文のつながり」を確認することです。ある文の末尾のキーワードや概念を受けて次の文が始まる場合(キーワードの連鎖)、前の文で提示された問いに答える文が続く場合、前の文で示した事例を「このように」「このことから」でまとめる文が続く場合などのパターンを見抜きます。
第三ステップは「文章全体の論理構造」を把握することです。典型的なパターンとして、①話題提示→具体例→まとめ、②問題提起→原因分析→解決策、③一般論→反論・例外→筆者の主張、の3パターンがよく出題されます。バラバラの文を読んで「どのパターンか」を判断してから並べ替えると効率的です。
選択肢が与えられている場合は、最初の2文のペアが一致する選択肢を先に絞り込む方法が有効です。確実につながる2文のペアを1組見つけられれば、選択肢を2〜3個に絞ることができます。
具体例
文A「言語は単なる情報伝達の道具ではない。」文B「このことは、言語が消滅しかけた民族の復興運動を見れば明らかだ。」文C「言語はアイデンティティの核心を担うものである。」→まず文Bは「このこと」という指示語で始まるため冒頭不可。文Cの「アイデンティティの核心」が文Bの「民族の復興運動」への言及につながる。したがって順序はA→C→B。
ポイント整理
- ・接続詞・指示語で始まる文を「冒頭候補から除外」する
- ・指示語の内容(「これ」が指すもの)を前の文から特定する
- ・話題提示→展開→まとめの典型構造を意識する
- ・キーワードの連鎖(前の文の末尾語が次の文の冒頭付近に登場)を確認する
- ・確実につながる2文ペアを1組見つけて選択肢を絞る
効果
- ・冒頭に来られない文の特定だけで選択肢を半分以下に絞れる
- ・2文ペアを確定することで4〜5択を2択に絞り込める
重要メモ
- ・「並び替え:①文頭・文末になれない文を特定②接続詞・指示語で順序を決める③選択肢で先頭(または最後)が一致するものを絞る」
- ・文章整序問題:バラバラになった複数の文を正しい順序に並べる——論理的な文章の流れを復元する
- ・解法①:文頭・文末の特定——「まず」「第一に」で始まる文は文頭候補・「以上より」「このように」で始まる文は文末候補
- ・解法②:接続詞の分析——「しかし」「一方」等の逆接・対比は前文が肯定的な内容のはず
- ・解法③:指示語の確認——「これ」「この」「そのような」は直前に指示対象があるはず——指示対象を含む文を前に置く
- ・解法④:話題の展開——「問題提起→具体例→まとめ」「一般論→反論→結論」等の典型パターンを活用
- ・選択肢活用:選択肢の先頭・末尾の文が一致するものを先に絞り込む——2択まで絞ってから判断
要旨把握・内容把握問題の解き方
簡単にいうと
筆者が一番言いたいことを選ぶって、どうやれば外さないの?「逆接の後」と「まとめ段落」に筆者の本音が凝縮されています。
要旨把握問題(内容把握問題)は、文章全体を読んだうえで「筆者の主張・要旨として最も適切なもの」を選択肢から選ぶ形式、または本文の内容と合致するものを選ぶ形式です。行政書士試験では両方のパターンが出題されます。
要旨把握(筆者の主張を選ぶ)の解き方では、「逆接の接続詞の後」に注目することが最も重要です。「しかし」「ところが」「だが」「けれども」で始まる文の後には、筆者が強調したい主張が置かれることが多いためです。一般論・通念・他者の意見を先に述べてから逆接で転換し、自分の主張を述べるのが論説文の典型的な構造です。また、最後の段落(特に文章の最後の2〜3文)には筆者の結論・まとめが置かれることが多く、重点的に読む必要があります。繰り返し登場するキーワード・表現も筆者の主張の核心を示しています。
内容合致問題(本文と合致するものを選ぶ)の解き方は、選択肢一つひとつを本文の対応箇所と照合することが基本です。誤りの選択肢には典型的なパターンがあります。①過大解釈(本文より強い主張・断定)②過小解釈(本文の主張を弱めている)③本文と逆の内容④本文に書かれていない情報の追加⑤一部正しいが全体として誤り(部分的な言葉の取り違え)の5パターンです。
選択肢の照合では「主語・述語・修飾語の対応」を丁寧に確認します。本文では「一部の〜」と書かれているのに選択肢では「すべての〜」となっていたり、本文では「〜の場合がある」と書かれているのに選択肢では「必ず〜」となっていたりする場合は誤りです。量的表現(すべて・一部・多く・必ず・場合によっては)と時制(過去・現在・未来)の食い違いに特に注意が必要です。
具体例
本文:「経済成長が必ずしも人々の幸福をもたらすわけではない。しかし、最低限の物質的充足がなければ文化的な生活は成り立たない。」→誤答例「経済成長は人々の幸福をもたらさない」(過大解釈・「必ずしも〜わけではない」を「まったく〜ない」と誤読)。正解は「経済成長と幸福の関係は単純ではないが、最低限の物質的充足は必要である」。
ポイント整理
- ・「しかし」「ところが」などの逆接の後の文を重点的に読む
- ・最後の段落・締めくくりの文に筆者の結論がある
- ・繰り返し登場するキーワードを把握する
- ・選択肢を本文の対応箇所と1対1で照合する
- ・量的表現・断定表現の過大解釈・過小解釈に注意する
効果
- ・逆接・まとめ段落の確認で要旨の核心を短時間で把握できる
- ・選択肢の5つの誤りパターンを知ることで消去法が機能する
重要メモ
- ・「要旨把握=文章の主張・結論を特定・内容把握=本文に書いてあるかの確認——どちらも本文根拠主義で解く」
- ・要旨把握問題:文章全体の「筆者が最も言いたいこと」を問う——本論(結論部分)の内容と一致する選択肢を選ぶ
- ・内容把握問題:選択肢の内容が本文に書かれているかを確認——本文に根拠がない選択肢は誤り
- ・要旨把握の解法:①最終段落・結論部分に注目②「つまり」「要するに」「したがって」等で締めくくられた文が要旨の候補
- ・内容把握のよくある誤り選択肢:①本文にない情報の追加②本文の一部を誇張・歪曲③本文と逆の内容
- ・共通の注意点:選択肢の「すべて」「必ず」等の断定表現と本文の表現を比較——本文が「場合がある」なら「必ず」は誤り
- ・時間節約術:選択肢を先に読んでからキーワードを文章中で探す読み方も有効
接続詞・指示語の機能と文章構造の読み方
簡単にいうと
接続詞って全部同じじゃないの?実は「逆接」「順接」「転換」など役割が全然違って、文章の流れを追う羅針盤になります。
接続詞は文と文、段落と段落をつなぐ言語要素であり、前後の論理的関係を明示する機能を持ちます。文章理解問題において接続詞の識別は解法の核心であり、接続詞の種類を正確に把握することで文章の論理構造を素早く把握できます。
接続詞は大きく「順接(前の内容を受けて当然の結論を導く)」「逆接(前の内容に反する内容を導く)」「添加(前の内容に情報を追加する)」「選択(複数の選択肢を示す)」「転換(話題を切り替える)」「説明・換言(前の内容を説明・言い換える)」「例示(前の内容の具体例を示す)」「補足(前の内容に補足説明を加える)」の8種類に分類できます。このうち文章理解で最も重要なのは「逆接」です。逆接の後には筆者の主張・強調内容が置かれることが多く、問題を解く際の最重要ポイントとなります。
指示語(こそあど言葉)は直前の語句・文・段落の内容を受けて繰り返しを省略する機能を持ちます。指示語が指す内容(指示対象)を特定するには、指示語の直前から遡って内容を確認します。「これ・この」は直前の内容を受けることが多く、「それ・その」は少し前の内容や話題全体を受けることがあります。並べ替え問題では指示語で始まる文は冒頭に来られないため、指示語を含む文の前に指示対象を含む文が来なければなりません。
文章全体の論理構造には典型的なパターンがあります。①序論(話題提示)→本論(展開・例示・反論)→結論(まとめ・主張)という三段構成が最も基本的です。②一般論・常識を先に述べて逆接(「しかし」)で転換し、筆者の主張を述べる「譲歩→転換→主張」パターンも頻出です。③問い(「〜ではないだろうか」)を立ててから答えを述べる「問い→答え」パターンも典型例です。これらのパターンを文章を読み始めた段階で意識することで、どの部分が主張でどの部分が例示・補足かを素早く判断できます。
具体例
「確かに現代社会では情報が溢れている。しかし、情報の量が増えるほど、本当に必要な情報を選別する力がより重要になる。」→「確かに〜」は一般論の提示、「しかし〜」が筆者の主張(情報選別力の重要性)。この文章の要旨は「情報の量ではなく選別力が重要」。
ポイント整理
- ・接続詞の8種類の機能を識別できる
- ・逆接の後の内容を筆者の主張として重視する
- ・「確かに〜。しかし〜。」の譲歩→転換パターンを認識する
- ・指示語の指示対象を直前の文から特定する
- ・段落の役割(序論・本論・結論)を把握する
効果
- ・接続詞の機能把握で文章の論理構造を素早く把握できる
- ・逆接の位置特定で筆者の主張を短時間で見つけられる
重要メモ
- ・「接続詞の種類(順接・逆接・添加・転換・例示・言い換え等)と指示語の指示内容の特定が文章理解の基本技術」
- ・接続詞の分類:①順接(だから・したがって・そこで)②逆接(しかし・ところが・だが)③添加(また・そして・さらに)④転換(一方・他方・さて)⑤例示(たとえば・具体的には)⑥言い換え(つまり・すなわち・要するに)
- ・逆接接続詞の重要性:「しかし」の後に筆者の本当の主張が来ることが多い——要旨把握に重要
- ・指示語の特定:「これ」「それ」「あれ」「この」「その」「あの」「このような」「そのような」——直前の内容を指すことが多い
- ・文章構造のパターン:①問題提起→考察→結論②一般論→具体例→一般化③A説→B説→筆者の見解
- ・段落構造の読み方:各段落の最初の文(トピックセンテンス)が段落の要旨を示すことが多い——全文精読より効率的
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