A行政法国家賠償・損失補償
スナック事件
最高裁判所1982-01-19
不作為公権力の行使国家賠償法1条1項職務上の義務違反警察官
不作為も公権力の行使
図解でわかる

事案の概要
スナックで警察官がナイフを不法所持している人を取り押さえました。しかし、警察官はナイフをその場で保管せず、そのまま放置してしまいました。その後、ナイフを持っていた人が再びスナックに現れ、ナイフで従業員を傷つける事件が発生しました。被害者は、警察官がナイフを保管しなかったことが違法だとして国に損害賠償を求めました。
争点
警察官がナイフの不法所持者を取り押さえた際にナイフを保管しなかった「何もしなかった行為(不作為)」は、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」にあたるか、というのがこの事件の争点です。
判旨
警察官はナイフを持っている危険な人を取り押さえたにもかかわらず、そのナイフを取り上げて保管しませんでした。これは「やるべきことをやらなかった」=職務上の義務を怠った違法な不作為にあたります。裁判所は、このような「何もしなかった(不作為)」も国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に含まれると判断しました。つまり、積極的に悪いことをした場合だけでなく、やるべきことをしなかった場合も、国が賠償責任を負うということです。
関連法令の解説
国家賠償法1条1項に関する判例です。公務員が違法に他人に損害を与えた場合、国や地方公共団体が賠償責任を負うという規定で、「公権力の行使」には積極的行為だけでなく不作為(何もしなかったこと)も含まれるかが争点となりました。
身近な例え
学校の先生が危険物を生徒から取り上げたのに保管せず放置し、それで別の生徒が怪我をしたら、先生の「何もしなかったこと」も責任を問われるのと同じです。
ざっくりまとめ
要するに、警察官が本来やるべきナイフの保管をサボった「不作為」も、国家賠償法でいう「公権力の行使」に含まれるから、国は賠償責任を負うってこと!
試験対策ポイント
【重要ポイント】 ①国家賠償法1条1項の「公権力の行使」には、作為(積極的行為)だけでなく不作為(消極的な何もしないこと)も含まれる ②警察官が職務上の義務を怠った不作為は違法となりうる ③本件では、ナイフの不法所持者を取り押さえながら、ナイフを保管しなかった不作為が違法と判断された ④不作為による国家賠償責任が認められるには、作為義務(本来すべき義務)の存在とその違反が必要
関連法令
国家賠償法1条1項
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