パトカーによる追跡行為の違法性
パトカー追跡は不必要・不相当なら違法
図解でわかる

事案の概要
争点
パトカーが違反車両を追跡中に、逃げる車が事故を起こして第三者がケガをした場合、そのパトカーの追跡行為は国家賠償法上の違法行為にあたるのか、というのがこの事件の争点です。
判旨
警察官が違反車両を追跡すること自体は、正当な職務行為であり、ただちに違法になるわけではありません。違法かどうかは、「そもそも追跡する必要があったか」「追跡の方法が行き過ぎではなかったか」を総合的に判断して決まります。裁判所は、追跡が職務目的にとって「不必要」であるか、追跡の開始・継続・方法が「不相当(行き過ぎ)」である場合にのみ違法になると示しました。つまり、「パトカーが追いかけていたから国の責任」と単純に言えるわけではなく、追跡の必要性と方法の相当性をセットで見て判断される、ということです。 【原文】 およそ警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して、なんらかの犯罪を犯したと疑うに足りる相当な理由のある者を停止させて質問し、また、現行犯人を現認した場合には速やかにその検挙又は逮捕に当たる職責を負う(警察法2条、65条、警察官職務執行法2条1項)。 右職責を遂行する目的のために被疑者を追跡することは当然行うところである。 したがって、警察官がかかる目的のために「交通法規等に違反して車両で逃走する者」をパトカーで追跡する職務の執行中に、逃走車両の走行により第三者が損害を被った場合において、右追跡行為が違法であるというためには、「①右追跡が当該職務目的を遂行する上で不必要であるか」、又は「逃走車両の逃走の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無及び内容に照らし、追跡の開始・継続若しくは追跡の方法が不相当であること」を要するものと解すべきである。
関連法令の解説
国家賠償法1条1項は、公務員が職務中に違法に他人に損害を与えた場合、国や公共団体が賠償責任を負うと定めています。この判例は、警察官の追跡行為がどのような場合に「違法」となるかを示したものです。
身近な例え
万引き犯を追いかける警備員も、追う必要性や追い方が適切なら問題ないけど、軽微な疑いで危険な追跡をすれば責任を問われるのと同じです。
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
■追跡行為自体は当然に違法ではない ■違法性の判断基準:①追跡の必要性(開始・継続の必要性)②追跡方法の相当性 ■「不必要」または「不相当」な追跡の場合に限り違法と判断される ■総合考慮:個別具体的な事情を総合的に判断する ■国賠法1条1項の適用場面:警察官の職務行為が違法かどうかの判断枠組みを示した重要判例
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