予防接種と国家賠償責任
予防接種禍は禁忌者と推定
図解でわかる

事案の概要
争点
痘そうの予防接種を受けた人に重篤な後遺障害が生じた場合、その人が法令で定められた「禁忌者(接種を受けてはいけない状態にある人)」に該当していたかどうかを、どのように判断すべきなのか、というのがこの事件の争点です。
判旨
予防接種後に重篤な後遺障害が生じる原因としては、「その人が禁忌者だった」か「特別な個人的体質があった」かのどちらかが考えられます。しかし、禁忌者に該当する可能性は個人的体質による可能性よりもはるかに高いため、裁判所は「後遺障害が出たということは、その人は禁忌者だった可能性が高い」と判断しました。そのため、「事前の問診(予診)をきちんと行ったが禁忌者に該当する事情が見つからなかった」などの特別な事情がない限り、被接種者は禁忌者だったと推定するのが相当とされました。つまり、「予防接種で重い後遺障害が出た=禁忌者への接種があったと推定される=国の責任が問われうる」という流れになる、ということです。
関連法令の解説
国家賠償法1条1項に関する判例です。公務員の職務上の過失(問診義務違反)により国民に損害が生じた場合の国の賠償責任について、立証責任の転換(推定)という特殊なルールを示しました。
身近な例え
食品アレルギーで重篤な症状が出たら、本来その食品を食べてはいけない体質だったと考えるのが自然、というのと似た発想です。
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
【試験のポイント】 ①予防接種で重篤な後遺障害→禁忌者であったと推定される(立証責任の転換) ②ただし、予診(問診)が不十分だったなど「特別な事情」があれば推定は覆る ③国家賠償法1条1項の公務員の過失立証を、被害者に有利に転換した重要判例 ④因果関係の推定ではなく「禁忌者該当性」の推定である点に注意 ⑤医療過誤訴訟における立証責任緩和の先駆的判例として重要
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