サンケイ新聞事件
「憲法21条で反論を載せろとは言えない!アクセス権は法律がないと認められない」
図解でわかる

タップで拡大
事案の概要
争点
判旨
また、民法723条の名誉回復処分や人格権に基づく差止め請求は、不法行為の成立を前提とするものであり、本件ではその前提を欠くとしました。
さらに、反論権を認めると新聞社は反論文掲載を強制され、紙面を割かれるという負担が生じます。これが公的事項に関する批判的記事の掲載を萎縮させ、憲法の保障する表現の自由を間接的に侵す危険があるとしました。
つまり、「具体的な成文法がない以上、反論文掲載請求権をたやすく認めることはできない」というのがこの判決の核心です。
判決
関連法令の解説
民法709条(不法行為):故意または過失により他人に損害を与えた場合の損害賠償責任を定めます。本件では名誉毀損による不法行為の成立が検討されましたが、裁判所は成立しないと判断しました。
民法723条(名誉回復処分):名誉を毀損した場合に、損害賠償に代えてまたは損害賠償とともに名誉回復に必要な処分(謝罪広告など)を命じることができる規定です。ただし、不法行為の成立を前提とします。
身近な例え
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
反論権(アクセス権)は、具体的な成文法がない限り認められない。「たやすく認めることはできない」という表現はそのまま出題される。
反論権を認めることで生じる「萎縮効果」が表現の自由を間接的に侵すおそれがあるとした点も重要。単純に否定するのではなく、理由の構造を理解すること。
注意:不法行為(名誉毀損など)が成立する場合は、民法723条の名誉回復処分として反論文掲載が認められる余地は残されている。「一切認められない」と覚えると誤答になる。
本件では意見広告による名誉毀損の成立も否定された。広告内容が政党批判であっても、それだけで不法行為にはならないとされた点も確認すること。
関連法令
関連判例
「月刊ペン」事件
刑法230条の2の**「公共ノ利害ニ関スル事実」への該当性は、摘示された事実の内容・性質から客観的**に判断される 私人の私生活に関する事実であっても、その者の社会的活動の性質と影響力の程度によっては「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる場合がある 注意:「公共ノ利害ニ関スル事実」への該当性判断において、表現方法や取材・調査の程度は考慮されない。これらは公益目的の有無の判断で考慮されるものである 注意:本判例は最高裁が職権で原判決を破棄した点も重要。上告理由が認められたわけではない 名誉毀損の免責には「公共の利害に関する事実」+「公益目的」+「真実性の証明」の3要件が必要(差し戻し審では真実性が認められず有罪となった)
猿払事件
合憲性の判断基準は合理的関連性の基準:①目的の正当性、②目的と手段の合理的関連性、③利益の均衡 勤務時間外・職務と無関係・私人的立場での行為であっても禁止は合憲とされた点が重要 注意:堀越事件(最判平24.12.7)では同じ行為類型でも有罪とならない場合があるとして猿払事件と事実上の射程が限定された 公務員の政治活動制限の根拠は憲法15条2項(全体の奉仕者) 人事院規則への委任は白紙委任にあたらない(最判平24.12.7)
立川反戦ビラ配布事件
憲法21条1項の表現の自由は絶対無制限ではなく、公共の福祉による合理的な制限を受ける 問われているのは「表現の処罰」ではなく**「表現手段としての立入り行為の処罰」**の合憲性 宿舎の共用部分・敷地は刑法130条の**「人の看守する邸宅」およびその囲繞地**にあたる 「侵入」の意味:管理権者の意思に反して立ち入ること(管理権説) 処罰が合憲とされた実質的根拠:私的生活を営む居住者の私生活の平穏を侵害するから 対比:葛飾政党ビラ配布事件(最判平21.11.30)では民間分譲マンションの事案で同様に合憲と判断
教科書検定事件
教科書検定は憲法21条2項の検閲にあたらない(理由:一般図書として出版可能であり、発表禁止目的・発表前審査の特質がないため) 教科書は学術研究発表の場ではないため、検定は憲法23条の学問の自由(研究発表の自由)を直接侵害しない 国は子どもに適切な教育を保障するために必要かつ相当な範囲で教育内容を決定できる(憲法26条合憲の根拠) 個別の検定処分が国賠法上違法になる基準:「審議会の判断過程に看過し難い過誤があって、文部大臣の判断がこれに依拠した場合」 注意:制度全体は合憲だが、個別処分は専門家の見解を無視するなど著しく不合理な場合は裁量権の逸脱・濫用として国家賠償法上違法になりうる 本件は第一次家永教科書訴訟(家永全面敗訴)であり、第三次訴訟(最判平9.8.29)では4件について裁量権逸脱が認められた点と混同しないこと
税関検査事件
検閲とは「行政権が主体」「発表前」「網羅的・一般的な審査」「発表禁止を目的」の4要素をすべて満たすものをいう 検閲は絶対的禁止であり、公共の福祉による制限も一切認められない 税関検査は検閲にあたらない。輸入禁制品の確認にすぎず、国内での発表自体を禁じるものではないため 注意:検閲にあたらなくても、表現の自由(21条1項)への制約として別途違憲性が問われる場合がある 裁判所による事前差止め(北方ジャーナル事件など)は行政権による検閲ではないため、21条2項の「検閲」には該当しないとされている
📱 アプリのご紹介
スマホアプリで、いつでもどこでも。行政書士合格を、スキマ時間で。
行政書士試験学習には必須の判例のわかりやすい解説から科目別テキスト、過去問演習、択一演習をスマホでまとめて持ち歩ける学習アプリです。通勤・休憩中に1問だけでも。独学でも仕事と両立しながら、合格を目指せます。