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S憲法精神的自由

猿払事件

最高裁判所大法廷1974-11-06最大判昭49.11.6
政治的中立性合理的関連性の基準表現の自由憲法15条2項憲法21条1項公務員の政治活動制限全体の奉仕者堀越事件との対比

公務員の政治活動制限は合憲

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なる子ちゃん

事案の概要

北海道猿払村の郵便局員Xが、勤務時間外に選挙用ポスターを公営掲示板に貼り付けるなど特定政党の候補者を支持する政治的行為を行った。国家公務員法102条1項・人事院規則が禁止する政治的行為にあたるとして刑事訴追された。公務員の政治活動を刑罰をもって禁止することが憲法21条(表現の自由)等に違反しないかどうかが争われた。
争点

争点

公務員の政治活動を法律で一律に禁止し刑罰を科すことが憲法21条・15条に違反しないか、また合憲性判断のための基準はどうあるべきかが争点です。
判旨

判旨

公務員は全体の奉仕者として政治的中立性が要求され、行政の中立的運営を確保するために政治活動を制限することは合理的で必要やむをえない限度においては許されます。合憲性の判断は、①禁止の目的が正当か、②目的と禁止行為との間に合理的関連性があるか、③得られる利益(行政の中立的運営と国民の信頼)と失われる利益(表現の自由)との均衡、という3つの観点から行います(合理的関連性の基準)。本件の政治的行為の禁止は同基準に照らして合憲です。
【原文】

 本法102条1項が人事院規則に委任しているのは,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる政治的行為の行為類型を規制の対象として具体的に定めることであるから,同項が懲戒処分の対象と刑罰の対象とで殊更に区別することなく規制の対象となる政治的行為の定めを人事院規則に委任しているからといって,憲法上禁止される白紙委任に当たらないことは明らかである。


判決

判決

合憲。公務員の政治活動禁止・刑事罰適用は憲法21条・15条に違反しない。
関連法令の解説

関連法令の解説

憲法15条2項(公務員の全体奉仕者性)
この条文は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めています。本判例では同条が公務員の政治的中立性の憲法上の根拠とされ、政治活動制限の正当化に用いられました。

憲法21条1項(表現の自由)

この条文は表現の自由を保障していますが、本判例では政治活動の制限が表現の自由への制約にあたることを認めつつ、合理的関連性の基準のもとで合憲と判断されました。

国家公務員法102条1項・人事院規則14-7

国家公務員の政治的行為を禁止する規定です。本判例では人事院規則への委任も合憲とされ、最判平24.12.7でも白紙委任にあたらないと確認されています。
身近な例え

身近な例え

学校の先生が特定の政党を応援する活動を制限されるのと似ています。生徒全員に公平に接するべき立場だからこそ、私的な政治活動には一定の制約がかかるのです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

現の自由は大切な権利なんだけど、公務員は「全体の奉仕者」として政治的に中立であることが求められるんだよ。
でも政治的活動を制限するというのは表現の自由への制約だから、どういう基準でその合憲性を判断するかが問題になるんだ。

この判例では「合理的関連性の基準」を用いて、①制限の目的(行政の中立的運営の確保)が正当か、②禁止行為がその目的と合理的関連性を有するか、③得られる利益と失われる利益のバランスはどうかという3点で判断するとされたんだよ。

そしてこの事件では、勤務時間外・職務と無関係・私人的立場での行為であっても合憲と判断されたんだ。

試験対策ポイント

合憲性の判断基準は合理的関連性の基準:①目的の正当性、②目的と手段の合理的関連性、③利益の均衡
勤務時間外・職務と無関係・私人的立場での行為であっても禁止は合憲とされた点が重要

注意:堀越事件(最判平24.12.7)では同じ行為類型でも有罪とならない場合があるとして猿払事件と事実上の射程が限定された

公務員の政治活動制限の根拠は憲法15条2項(全体の奉仕者)

人事院規則への委任は白紙委任にあたらない(最判平24.12.7)
法令

関連法令

試験

出題年度

20112019
関連判例

関連判例

憲法最高裁判所

石井記者事件

憲法21条の表現の自由(報道の自由を含む)は、公共の福祉による制限を受けるため絶対無制限ではない 刑事裁判において、取材源秘匿を理由とする証言拒絶権は憲法上保障されない 注意:民事訴訟では職業上の秘密を理由とした証言拒絶が認められる場合があり(現行民事訴訟法197条1項3号)、刑事と民事で結論が異なる点に注意 報道の自由・取材の自由は憲法21条で保障されるが(博多駅事件・最大決昭44.11.26参照)、取材源秘匿の証言拒絶権は別問題として区別すること 本判決は大法廷判決であり、表現の自由と公共の福祉の関係を示した初期の重要判例として位置づけられる

憲法最高裁判所

「月刊ペン」事件

刑法230条の2の**「公共ノ利害ニ関スル事実」への該当性は、摘示された事実の内容・性質から客観的**に判断される 私人の私生活に関する事実であっても、その者の社会的活動の性質と影響力の程度によっては「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる場合がある 注意:「公共ノ利害ニ関スル事実」への該当性判断において、表現方法や取材・調査の程度は考慮されない。これらは公益目的の有無の判断で考慮されるものである 注意:本判例は最高裁が職権で原判決を破棄した点も重要。上告理由が認められたわけではない 名誉毀損の免責には「公共の利害に関する事実」+「公益目的」+「真実性の証明」の3要件が必要(差し戻し審では真実性が認められず有罪となった)

憲法最高裁判所

サンケイ新聞事件

憲法21条は私人間に直接適用されない。国家対個人のルールであり、私人どうしの関係への直接適用・類推適用は否定されている。 反論権(アクセス権)は、具体的な成文法がない限り認められない。「たやすく認めることはできない」という表現はそのまま出題される。 反論権を認めることで生じる「萎縮効果」が表現の自由を間接的に侵すおそれがあるとした点も重要。単純に否定するのではなく、理由の構造を理解すること。 注意:不法行為(名誉毀損など)が成立する場合は、民法723条の名誉回復処分として反論文掲載が認められる余地は残されている。「一切認められない」と覚えると誤答になる。 本件では意見広告による名誉毀損の成立も否定された。広告内容が政党批判であっても、それだけで不法行為にはならないとされた点も確認すること。

憲法最高裁判所

立川反戦ビラ配布事件

憲法21条1項の表現の自由は絶対無制限ではなく、公共の福祉による合理的な制限を受ける 問われているのは「表現の処罰」ではなく**「表現手段としての立入り行為の処罰」**の合憲性 宿舎の共用部分・敷地は刑法130条の**「人の看守する邸宅」およびその囲繞地**にあたる 「侵入」の意味:管理権者の意思に反して立ち入ること(管理権説) 処罰が合憲とされた実質的根拠:私的生活を営む居住者の私生活の平穏を侵害するから 対比:葛飾政党ビラ配布事件(最判平21.11.30)では民間分譲マンションの事案で同様に合憲と判断

憲法最高裁判所

教科書検定事件

教科書検定は憲法21条2項の検閲にあたらない(理由:一般図書として出版可能であり、発表禁止目的・発表前審査の特質がないため) 教科書は学術研究発表の場ではないため、検定は憲法23条の学問の自由(研究発表の自由)を直接侵害しない 国は子どもに適切な教育を保障するために必要かつ相当な範囲で教育内容を決定できる(憲法26条合憲の根拠) 個別の検定処分が国賠法上違法になる基準:「審議会の判断過程に看過し難い過誤があって、文部大臣の判断がこれに依拠した場合」 注意:制度全体は合憲だが、個別処分は専門家の見解を無視するなど著しく不合理な場合は裁量権の逸脱・濫用として国家賠償法上違法になりうる 本件は第一次家永教科書訴訟(家永全面敗訴)であり、第三次訴訟(最判平9.8.29)では4件について裁量権逸脱が認められた点と混同しないこと

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