A民法総則(意思表示・代理・時効等)
時効の援用権者・詐害行為の受益者
最高裁判所1998-06-22
時効の援用援用権者詐害行為取消権受益者消滅時効直接利益
詐害行為の受益者も時効援用できる
図解でわかる

事案の概要
債務者が債権者を害する目的で財産を第三者に譲渡した事案で、債権者がこの譲渡を詐害行為として取り消そうとしました。これに対して、財産を受け取った第三者(受益者)が、債権者の債権はすでに時効で消滅していると主張できるかが争われました。裁判所は、受益者は時効により直接利益を受ける者として、時効を援用できると判断しました。
争点
時効を援用(主張して利用)できる人の範囲はどこまでか。また、詐害行為取消権(債務者が債権者を害する行為をした場合にその行為を取り消す権利)を行使される受益者(利益を受けた第三者)は、その債権者の債権の消滅時効を援用できるか。
判旨
時効を援用できるのは、時効によって直接的な利益を受ける者に限られる。詐害行為の受益者は、債権者の債権が消滅時効によって消えれば、取消権の行使を免れて得た利益を守ることができる。そのため、受益者は時効によって直接利益を受ける者にあたり、消滅時効を援用することができる。
関連法令の解説
民法145条の時効の援用に関する判例です。時効の援用権者の範囲、特に詐害行為取消権(民法424条)で利益を受けた第三者が、債権者の債権の消滅時効を援用できるかが問題となりました。
身近な例え
借金取りから逃れるために友人に財産を渡した人がいたとして、その友人も「もう時効だよ」と主張できるイメージです。取り消されずに済むという直接の利益があるからです。
ざっくりまとめ
要するに、詐害行為で財産をもらった人も、債権者の債権について時効を主張できるってこと!時効で直接利益を受ける人なら援用できるという基準が重要です。
試験対策ポイント
【重要ポイント】 ①時効の援用権者=時効により「直接利益を受ける者」に限定 ②詐害行為の受益者は援用権者に該当する ③理由:債権が時効消滅すれば詐害行為取消権の行使を免れ、受けた利益を確定的に保持できるという「直接の利益」があるため ④単なる事実上・間接的な利益では援用不可 ⑤試験では「直接利益を受ける者」という要件と、受益者が該当する理由をセットで覚える
関連法令
民法145条
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