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S民法物権

解除と登記・解除前の第三者

最高裁判所1958-06-14最判昭33.6.14
民法545条1項ただし書き解除前の第三者登記対抗関係民法177条所有権の復帰合意解除

解除前の第三者でも登記がなければ負ける!解除と登記の対抗関係を示した判例

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なる子ちゃん

事案の概要

AがBに土地を売却したが、その後AとBの間で売買契約を合意解除(遡及的に契約をなかったことにすること)した。しかし解除される前に、BはすでにCにその土地を転売していた。Cはまだ所有権移転登記を備えていなかったため、乙(B)に代位してAに対し登記を請求した。Cが登記なしでも民法545条1項ただし書きの第三者として保護されるか、また債権者代位による登記請求ができるかが争われた。
争点

争点

契約の解除前にすでに権利を取得していた第三者が民法545条1項ただし書きの保護を受けるためには、登記を備えていることが必要か、また解除した元の所有者との関係はどのように処理されるか、が本件の争点です。
判旨

判旨

本件のポイントは「Cが債権者代位でBに代わってAへ登記請求できるか」という点にあります。最高裁は、合意解除が信義則に反するなど特段の事情がない限り、未登記の転得者CはBに代位してAへ所有権移転登記を請求することはできないと判示しました。つまり登記を備えていないCは545条1項ただし書きの第三者として保護されず、代位登記請求も認められないということです。
【原文】

 甲乙間になされた甲所有不動産の売買が契約の時に遡つて合意解除された場合、すでに乙からこれを買い受けていたが、未だ所有権移転登記を得ていなかつた丙は、右合意解除が信義則に反する等特段の事情がないかぎり、乙に代位して、甲に対し所有権移転登記を請求することはできない
判決

判決

解除前の第三者Cは、登記を備えていなければ解除によって所有権を回復したAに対して所有権を主張することができないとして、Cの請求は認められなかった。
関連法令の解説

関連法令の解説

民法545条1項ただし書き(解除の効果・第三者保護)
この条文は「解除によって第三者の権利を害することはできない」と定め、解除前に権利を取得した第三者を保護しています。ただし本判決はこの保護を受けるためには第三者が登記を備えていることが必要であると解釈しました。ここでいう第三者は、解除される前に新たな権利を取得した者であり、かつ登記を備えた者に限られます。民法177条(不動産物権変動の対抗要件)

この条文は不動産の物権変動は登記がなければ第三者に対抗できないと定めています。本判決では、解除によって所有権を回復したAと解除前に所有権を取得したCを対抗関係に置き、先に登記を備えた者が勝つという177条の論理を545条1項の場面にも適用しました。
身近な例え

身近な例え

予約していた商品を店が別の客に売ってしまった場合、先に代金を払っていても、正式な引渡証がなければ後から来た客に負けてしまうようなものです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

契約が解除されると、民法545条1項ただし書きによって解除前の第三者Cは保護されるんだよ。でも「保護される」といっても、自動的に勝てるわけじゃないんだね。解除によって所有権を取り戻したAと、解除前に所有権を取得したCは、対抗関係に立つ——つまり先に登記した方が勝つ関係になるんだ。だから登記を先に備えていないCはAに負けてしまう、というのがこの判例の結論だよ。でも注意!解除後の第三者との関係とごっちゃにしないようにしよう。解除後の第三者は177条の問題で、こちらは545条1項ただし書きの問題——解除の前後で適用される条文が違うんだね!

試験対策ポイント

民法545条1項ただし書きの「第三者」として保護されるには、解除前に権利を取得しており、かつ登記を備えていることが必要
解除した元の所有者と解除前の第三者は対抗関係に立ち、先に登記した方が勝つ

注意:解除後の第三者との関係は545条1項の問題ではなく民法177条の問題であり、解除前・解除後で適用条文が異なる

解除後に新たに権利を取得した第三者も177条により登記を備えた者が保護される点で結論は似ているが、根拠条文が異なることを混同しないこと

未登記の転得者は、債権者代位によって売主への登記請求もできない

ただし「合意解除が信義則に反する等特段の事情」がある場合は例外的に保護される余地がある

この「特段の事情」の有無が実務・試験ともに重要な判断ポイントとなる

545条1項ただし書きの「第三者」とは、解除された契約から生じた法律効果を基礎として新たな権利を取得した者をいい、単なる債権者は含まれない
法令

関連法令

試験

出題年度

20082013
関連判例

関連判例

民法最高裁判所

錯誤による和解契約

合意解除と転得者の関係は対抗関係として処理され、転得者が保護されるには登記が必要(善意であっても不可) 債権者代位による登記請求も、代位する丙自身が登記を備えていなければ認められない 注意:合意解除前の第三者保護は民法545条1項ただし書が根拠だが、保護のためには対抗要件(登記)の具備が必要 信義則に反する特段の事情がある場合は例外的に登記なしでも保護される余地がある(最判昭45.3.26と対比して押さえること) 解除前の第三者は登記が必要、解除後の第三者も登記で対抗関係を処理する点をセットで整理すること

民法大審院

取消しと登記・取消後の第三者

取消し前・後で適用条文が異なる点を必ず整理すること:取消し前の第三者→96条3項(善意無過失の第三者を保護・登記不要)、取消し後の第三者→177条(対抗関係・先に登記した方が勝つ) 取消し後の第三者には96条3項は適用されない。「取消し前・後を問わず96条3項で処理する」という選択肢は誤り 177条で処理されると、悪意のCでも先に登記を備えれば保護される(背信的悪意者は除く)。「善意か悪意かで結論が変わる」という誤りに注意 注意:強迫による取消しの場合、96条3項は適用されない(詐欺のみに適用)。強迫取消し前の第三者には、善意悪意を問わず取消しの効果を対抗できる 取消し後の第三者への177条適用は、**解除後の第三者(最判昭35.11.29)**と同じ論理構造であり、対比して学ぶと理解が深まる

民法最高裁判所

被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人

相続人自身は被相続人の包括承継人であり民法177条の「第三者」にはあたらない しかし、相続人からの譲受人(第三者)は民法177条の「第三者」にあたる 被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人は対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が勝つ この結論は被相続人と相続人の間が贈与・売買・遺贈・死因贈与のいずれの場合にも同様に妥当する 注意:「相続人は第三者にならない=登記不要」という誤解が典型的なひっかけ問題になりやすい

民法最高裁判所

詐術の場合の取消権の否定

相続人自身は被相続人の包括承継人であり民法177条の「第三者」にはあたらない しかし、相続人からの譲受人(第三者)は民法177条の「第三者」にあたる 被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人は対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が勝つ この結論は被相続人と相続人の間が贈与・売買・遺贈・死因贈与のいずれの場合にも同様に妥当する 注意:「相続人は第三者にならない=登記不要」という誤解が典型的なひっかけ問題になりやすい

民法最高裁判所

解除と登記・解除後の第三者

解除後の第三者との関係は民法177条の問題であり、先に登記を備えた者が優先する 解除後の第三者が善意か悪意かは一切関係ない 予告登記の有無も関係ない。登記があるかどうかだけで決まる 注意:解除前の第三者は民法545条1項ただし書きの問題であり、根拠条文が異なる 対比整理:解除前の第三者→545条1項ただし書きが根拠・登記が必要、解除後の第三者→177条が根拠・登記が必要(どちらも登記が必要だが根拠条文が違う)

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