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B民法総則(意思表示・代理・時効等)

錯誤による和解契約

最高裁判所1958-06-14
合意解除転得者対抗要件登記債権者代位民法177条民法545条1項信義則特段の事情

和解の前提が粗悪品だった!争いの目的外の錯誤なら和解も無効になる

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判例図解

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なる子ちゃん

事案の概要

卸売業者X(原告)はYに対して代金支払いを求める訴えを起こし、裁判上の和解が成立した。その内容は、Yがお金の代わりに「特選金菊印苺ジャム」150箱(45万円相当)をXに代物弁済(お金の代わりに物で支払うこと)するというものだった。ところが実際に引き渡されたジャムは粗悪品だったため、Xが「良品だと思って和解した」として錯誤による和解の無効を主張した。Yは和解には確定効があるとして争った事件。
争点

争点

甲乙間の不動産売買が合意解除された場合に、解除前に乙から当該不動産を買い受けていたが所有権移転登記を取得していなかった丙は、乙に代位して甲に対し所有権移転登記を請求することができるかどうかが争点です。
判旨

判旨

不動産の所有権を取得した者は、登記を備えていなければ第三者として保護されません。甲乙間の売買が合意解除された場合、甲と転得者丙は対抗関係に立ちます。丙はまだ所有権移転登記を取得していなかったため、甲に対して所有権の取得を対抗することができない地位にあります。このような丙が乙に代位して甲への登記請求をしても、丙自身が第三者として保護される要件を欠いている以上、認めることはできません。ただし、合意解除が信義則に反するなどの特段の事情がある場合は例外となります。つまり、不動産を買ったら速やかに登記を取らなければ、合意解除という当事者間の都合で権利を失うリスクがあるということです。
判決

判決

破棄差戻し。未登記の転得者丙は、特段の事情がない限り、債権者代位によって甲に対し所有権移転登記を請求することはできない。
関連法令の解説

関連法令の解説

民法177条(不動産物権変動の対抗要件)
この条文は、不動産の物権変動は登記をしなければ第三者に対抗できないと定めています。本判例では、合意解除によって所有権が甲に戻ったことを、未登記の転得者丙に対抗できるかという場面で適用されます。丙も登記なしでは保護されないという結論の根拠条文です。

民法545条1項ただし書(解除と第三者保護)

この条文は、契約解除の効果は解除前に権利を取得した第三者を害することができないと定めています。ただし判例は、第三者が保護されるためには登記などの対抗要件を備えていることが必要だとしており、本判例もこの趣旨に沿った判断です。

民法423条(債権者代位権)

この条文は、債権者が自分の債権を保全するために、債務者の権利を代わりに行使できると定めています。本件では丙が乙の甲に対する登記請求権を代位行使しようとしましたが、丙自身が保護される地位にないため認められませんでした。
身近な例え

身近な例え

中古車を良品と信じて示談したのに実は事故車だった場合、示談自体を取り消せるのと同じです。単なる修理では済まず、約束そのものをなかったことにできます。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

和解には「確定効」があって、争いの目的となった事実については後から「やっぱり勘違いだった」と言えない仕組みがあるんだ。
でも今回は、ジャムの品質が良品かどうかは「争いの目的」じゃなくて、双方が「当然そうだろう」と思っていた前提の話だったんだよ。

そういう前提そのものが丸ごと間違っていたときは確定効は及ばないから、要素の錯誤として和解を無効にできるんだ。

もうひとつ大事なのが、錯誤で無効になる場合は瑕疵担保責任(今でいう契約不適合責任)のルールは使えない、という点で、この2点セットが試験でよく狙われるよ!

試験対策ポイント

合意解除と転得者の関係は対抗関係として処理され、転得者が保護されるには登記が必要(善意であっても不可)
債権者代位による登記請求も、代位する丙自身が登記を備えていなければ認められない

注意:合意解除前の第三者保護は民法545条1項ただし書が根拠だが、保護のためには対抗要件(登記)の具備が必要

信義則に反する特段の事情がある場合は例外的に登記なしでも保護される余地がある(最判昭45.3.26と対比して押さえること)

解除前の第三者は登記が必要、解除後の第三者も登記で対抗関係を処理する点をセットで整理すること
法令

関連法令

試験

出題年度

20082013
関連判例

関連判例

民法最高裁判所

通行地役権の対抗要件

通行地役権も物権であり、原則として登記なしでは第三者に対抗できない(民法177条) ただし、次の両要件を満たす場合、譲受人は「登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者」にあたらず、登記なしで対抗可能 ①譲渡時に承役地が継続的に通路として使用されていることが物理的状況から客観的に明らか ②譲受人が認識していたか又は認識可能であった 注意:譲受人が通行地役権の存在を知らなかったことは関係なく、通路の物理的な存在を認識できたか否かが判断基準 この判例は背信的悪意者排除論とは異なる論理(「正当な利益を有する第三者ではない」)による対抗力の認定

民法最高裁判所

被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人

相続人自身は被相続人の包括承継人であり民法177条の「第三者」にはあたらない しかし、相続人からの譲受人(第三者)は民法177条の「第三者」にあたる 被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人は対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が勝つ この結論は被相続人と相続人の間が贈与・売買・遺贈・死因贈与のいずれの場合にも同様に妥当する 注意:「相続人は第三者にならない=登記不要」という誤解が典型的なひっかけ問題になりやすい

民法最高裁判所

詐術の場合の取消権の否定

相続人自身は被相続人の包括承継人であり民法177条の「第三者」にはあたらない しかし、相続人からの譲受人(第三者)は民法177条の「第三者」にあたる 被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人は対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が勝つ この結論は被相続人と相続人の間が贈与・売買・遺贈・死因贈与のいずれの場合にも同様に妥当する 注意:「相続人は第三者にならない=登記不要」という誤解が典型的なひっかけ問題になりやすい

民法最高裁判所大法廷

自作農創設特別措置法と民法177条

買収処分の段階:民法177条不適用(本判決・最大判昭28.2.18) 理由:国が公権力を行使する強制買収は私人間の売買と本質が異なるから 対比判例①:買収処分によって国が所有権を取得した後の第三者との関係では177条が適用される(最判昭39.11.19) 対比判例②:国税滞納処分による差押えについては177条が適用される(最判昭31.4.24) 「農地買収=177条不適用」と単純に暗記すると誤答する。「買収処分そのもの」か「取得後の第三者との関係」かで結論が正反対になる点に注意 平成22年度行政書士試験(問10選択肢1)で出題

民法最高裁判所

代物弁済の効果発生

代物弁済の契約成立と債務消滅の効力発生は別のタイミング。合意した瞬間に成立するが、不動産の場合は登記完了まで債務は消滅しない。 不動産の代物弁済では登記完了が債務消滅の要件。動産の場合は引渡し完了がそのタイミングとなる点とあわせて整理すること。 「諾成契約だが要物的効力」という構造を理解する。代物弁済契約は合意だけで成立するが(諾成)、効力発生には実際の給付完了が必要(要物的)という二段階の構造がポイント。 注意:意思表示=即債務消滅という理解は誤り。口約束や書面による合意だけでは足りず、現実の給付完了が必要という点はひっかけとして頻出。 民法177条の対抗要件(登記)との関係にも注意。本件の登記完了は対抗要件としての意味を超えて、債務消滅という効力発生要件として機能している点が通常の物権変動の場面と異なる。

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