A民法担保物権
占有権原を有する者による抵当権侵害
最高裁判所2005-03-10
抵当権妨害排除請求占有権原競売妨害交換価値明渡請求賃料相当損害金
競売妨害目的の占有は排除可能
図解でわかる

事案の概要
ある不動産に抵当権が設定されていましたが、所有者が競売手続きを妨害する目的で第三者に占有権原を与え、その者が不動産を占有し続けていました。これにより不動産の売却価値の実現が困難になったため、抵当権者が占有者に対して明渡しを求めて訴えを起こした事案です。
争点
所有者から正当な占有権原(占有する権利・資格)を与えられた者が抵当不動産(担保として提供された不動産)を占有している場合に、抵当権者はその者に対して妨害排除請求(邪魔な状態をなくすよう求めること)を行使できるか?
判旨
競売手続き(強制的に不動産を売却する手続き)を妨害する目的で占有権原が設定され、その占有によって不動産の交換価値(売却で得られる価値)の実現が困難になっている場合、抵当権者は妨害排除請求として占有者に直接自己への明渡しを求めることができる。ただし、抵当権者は不動産を自ら使用・収益できないため、賃料相当損害金(家賃に相当する損害の賠償金)の請求はできない。
関連法令の解説
民法369条の抵当権に関する判例です。抵当権者が、競売を妨害する目的で設定された占有権原に基づいて不動産を占有する者に対し、妨害排除請求として明渡しを求めることができるかが問題となりました。
身近な例え
借金のカタに預けた車を、債務者が勝手に友人に貸して隠してしまい、売却できなくなった状況。貸主は友人に直接「返せ」と言える。
ざっくりまとめ
要するに、競売妨害目的で占有させている場合は、抵当権者が直接占有者に「出て行け」と請求できるってこと!ただし家賃相当の損害金までは請求できません。
試験対策ポイント
①原則:正当な占有権原を持つ者への妨害排除請求は不可 ②例外:競売妨害目的で占有権原が設定され、交換価値の実現が困難な場合は、抵当権者が占有者に直接明渡請求可能 ③限界:抵当権者は使用収益権がないため、賃料相当損害金の請求は不可 ④趣旨:抵当権の本質は交換価値の把握にあり、その実現が妨げられる場合の救済
関連法令
民法369条
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