S民法総則(意思表示・代理・時効等)
宇奈月温泉事件
大審院1935-10-05
権利濫用権利の濫用民法1条3項所有権不当な利益宇奈月温泉
わずかな土地侵害と権利濫用
図解でわかる

事案の概要
温泉地で鉄道会社が温泉を引くための水道管を地下に埋設していましたが、その一部がわずかに隣接する土地の地下に入り込んでいました。土地所有者は、ほんの少しの侵害にもかかわらず、不当な利益を得る目的で水道管の撤去を求めて訴えを起こしました。裁判所は、この請求を権利濫用として退けました。
争点
土地所有権(土地を所有する権利)をわずかに侵害しているにすぎない場合でも、不当な利益を得る目的でその侵害の除去を求めることが、権利の行使として認められるのか?
判旨
他人の土地をほんのわずか侵害しているだけで、しかもその侵害をなくすには非常に大きな費用と困難が伴う場合に、土地の持ち主が正当な理由なく不当な利益を得ようとして侵害の除去を求めるのは、権利の濫用(権利を本来の目的とは外れた不当な使い方をすること)にあたり、認められない。
関連法令の解説
民法1条3項の「権利の濫用は、これを許さない」という規定に関する判例です。正当な権利であっても、社会的に不当な目的で行使すれば権利濫用として認められないという原則を示しています。
身近な例え
隣の家の木の枝がほんの少しだけ境界線を越えているのに、嫌がらせ目的で高額な賠償金を要求するようなものです。正当な理由がなければ権利濫用になります。
ざっくりまとめ
要するに、ほんのわずかな土地侵害で、撤去に莫大な費用がかかるのに、不当な利益目的で撤去請求するのは権利濫用で許されないってこと!
試験対策ポイント
【権利濫用の判断基準】 ①侵害の程度:土地侵害がごくわずかであること ②除去の困難性:侵害除去に多大な費用・困難を伴うこと ③権利行使の目的:不当な利益を得る目的(正当な理由がない) →これらの要素を総合的に判断して、権利濫用(民法1条3項)に該当すれば請求は認められない。 ※正当な権利も、行使の態様によっては制限されることを示した重要判例。
関連法令
民法1条3項
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