マクリーン事件
外国人にも人権保障は及ぶ!でも在留更新は国の広い裁量、政治活動も考慮される
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事案の概要
争点
判旨
【原文】
被上告人が、当時の内外の情勢にかんがみ、上告人の右活動を日本国にとつて好ましいものではないと評価し、また、上告人の右活動から同人を将来日本国の利益を害する行為を行うおそれがある者と認めて、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、その事実の評価が明白に合理性を欠き、その判断が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえず、他に被上告人の判断につき裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつたことをうかがわせるに足りる事情の存在が確定されていない本件においては、被上告人の本件処分を違法であると判断することはできないものといわなければならない。
判決
関連法令の解説
この章は基本的人権の保障を定めています。本判例では「国民」と規定する条文が在留外国人にも及ぶかどうかが問われ、最高裁は権利の性質に応じて保障が及ぶとする性質説を採用しました。政治活動の自由(憲法21条)も原則として外国人に保障されますが、日本の政治的意思決定に影響を与えるような活動については制約が認められます。出入国管理法(現・出入国管理及び難民認定法)
外国人の在留・入国・在留期間更新の手続きを定めた法律です。本判例では、在留期間の更新を許可するかどうかは法務大臣の広い裁量に委ねられており、裁判所が取り消せるのは裁量権の範囲を超えた場合または濫用があった場合に限られると判示されました。行政事件訴訟法30条(裁量処分の取消し)
この条文は、行政庁の裁量処分であっても、裁量権の逸脱または濫用があった場合に限り裁判所が取り消せると定めています。本判例はこの規定の解釈として、裁量権行使の準則(内部基準)に違背しても原則として違法にはならず、逸脱・濫用があって初めて違法になると明示しました。
身近な例え
ざっくりまとめ
だから外国人の政治活動の自由も、原則として憲法の保護を受けるんだよ。
でも注意!在留の許否は国家の広い裁量に委ねられているから、政治活動が合法でも、それを考慮して更新を拒否しても裁量権の逸脱・濫用にはならないんだ。
「人権はある、でも在留を続ける権利までは保障されない」という2段構えの構造が、この判例のいちばん大事なポイントだよ。
試験対策ポイント
政治活動の自由は外国人にも原則保障されるが、日本の政治的意思決定に影響を与えるものなど外国人に認めることが相当でない活動は制限される
外国人には憲法上在留権・入国の自由は保障されない:在留許否は国家の広い裁量に委ねられる
行政庁が裁量権行使の準則(内部基準)を設けても、それに違反しても原則として当不当の問題にとどまり、当然に違法にはならない(行訴法30条)
注意:「政治活動が合法でも、それを考慮して在留更新を拒否することは適法」という結論を、政治活動の自由の否定と混同しないこと
関連法令
出題年度
関連判例
外国人の公務就任権
公権力行使等地方公務員(住民の権利義務を直接左右し、または重要施策の決定に参画する職)への外国人就任は、国民主権の原理から法体系上想定されていない 根拠条文は憲法1条・15条1項であり、判決文でも明示的に参照されている 外国人が一般職の地方公務員として働くこと自体は否定されていない点に注意 管理職昇任を日本国籍保持者に限る措置は、憲法14条1項の合理的な区別として許容される 注意:「当然の法理」(公務員への就任は日本国民に限られる)という表現は行政解釈の概念であり、本判決は法体系上「想定されていない」という表現にとどめている点に注意 本判決は「外国人に公務就任権が認められるか」を直接判断したものではなく、「管理職選考受験資格を日本国籍者に限定することの合憲性」を判断した事案である点も押さえること
八幡製鉄事件
法人への人権保障は「性質上可能な限り」及ぶ(性質上法人に適用できないものは及ばない) 会社も政治的行為の自由を有し、政治献金もその一環として憲法上保護される 会社による政治献金と個人による寄附を別異に扱うべき憲法上の要請はない 注意:「憲法上は違法ではない」という判断であり、政治資金規正法などによる法律上の規制は別問題 政党は憲法上その存在を当然に予定されているという点も試験で問われる
朝日訴訟
憲法25条1項はプログラム規定:国の責務を宣言するものにすぎず、直接具体的権利を付与しない 生活保護基準の設定は厚生大臣の裁量に委ねられ、裁量権の逸脱・濫用がある場合のみ違法・司法審査の対象となる 生活保護受給権は法的権利であるが一身専属権であり、譲渡・相続の対象にならない 被保護者が死亡すると取消訴訟は当然終了し相続人には承継されない 注意:生活保護受給権を「反射的利益にすぎない」と誤解しないこと。法的権利ではあるが一身専属という点が核心
クロロキン網膜症訴訟
規制権限の不行使が国家賠償法1条1項の「違法」にあたるのは、その不行使が「著しく不合理」な場合に限られる 権限行使・不行使の判断は行政庁の裁量に委ねられており、単に被害が生じたことだけでは違法とならない 違法性の判断基準は「当時の医学・薬学的知見」に照らして行われる。結果論で判断されるわけではない 注意:薬事法上の製造承認取消権限は、当時の明文規定にはなかったが解釈上導かれるとされた点も重要 注意:製薬会社とは和解が成立しており、最高裁で争われたのは国の責任のみである点を混同しないこと
厚木基地訴訟
自衛隊機の差止め訴訟は訴訟要件(重大な損害)を満たし適法だが、本案で裁量権の逸脱・濫用なしとして棄却 米軍機の差止め訴訟は、防衛大臣に米軍機の飛行を規制する権限がないため訴え自体が不適法として却下 「重大な損害を生ずるおそれ」(行訴法37条の4第1項)の判断:取消訴訟・執行停止では救済できない反復継続的な睡眠妨害・精神的苦痛の蓄積がこれにあたる 差止めの本案要件(行訴法37条の4第5項)における裁量権の逸脱・濫用は、防衛・外交分野では認定ハードルが極めて高く、**「著しく不合理」**でなければ認められない 注意:一・二審は差止めを認容していたが最高裁で逆転棄却。下級審と最高裁の結論が異なるひっかけに注意
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