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A行政法行政事件訴訟

違法性の承継が認められた例(農地買収計画・買収処分)

最高裁判所1950-09-15最判昭25.9.15
違法性の承継先行行為後行行為農地買収計画農地買収処分取消訴訟一連の手続

先行処分の違法は後行処分に引き継がれる!違法性の承継の出発点

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なる子ちゃん

事案の概要

戦後の農地改革で、政府は自作農創設特別措置法に基づき地主の農地を強制買収しました。その手続は「農地買収計画(先行処分)の策定→農地買収処分(後行処分)の実施」という二段階になっていました。農地を買収された地主が、買収計画の段階での違法を、後行の買収処分を争う取消訴訟の中でも主張できるかどうかが問われた事件です。
争点

争点

農地買収計画(先行処分)に違法があった場合、その後の農地買収処分(後行処分)の取消訴訟において、買収計画の違法性をあわせて主張すること(違法性の承継)が認められるかどうか、というのがこの事件の争点です。
判旨

判旨

農地買収計画と農地買収処分は、どちらも自作農を創設するという同一の目的を達成するための一連の手続として結合しており、相互に不可分の関係にあります。このような場合、先行する買収計画の違法性は後行する買収処分にそのまま引き継がれます。したがって、買収計画に対して不服申立て期間が経過していたとしても、住民は買収処分の取消訴訟においてその違法を主張することができます。つまり、一連の手続として結びついた先行・後行処分では、先行処分の違法を後行処分の段階で争えるということです。
なお、違法性の承継が認められるかどうかの判断基準については、後に最判平成21年12月17日(東京都建築安全条例事件)が整理しています。同判決は、①先行・後行処分が同一の目的を達成するために行われる一体的な手続であること、②先行処分の段階では争訟の提起を期待することがおよそ合理的でないこと(手続的保障の欠如)、の二点を考慮して承継の可否を判断すると示しました。安全認定は建築確認と結合して初めてその効果を発揮するものであり、安全認定の段階で周辺住民が争うための手続的保障が十分に与えられているとはいえないため、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することが許されるとされました。
判決

判決

違法性の承継を肯定。農地買収計画の違法を農地買収処分の取消訴訟で主張することを認めた。
関連法令の解説

関連法令の解説

自作農創設特別措置法6条(農地買収計画・買収処分)
戦後農地改革のために制定された法律で、政府が農地の買収計画を立て、それに基づいて実際の買収処分を行う二段階の手続を定めていました。本判決では、この計画と処分が「一体の目的を持つ手続」として位置づけられたことが、違法性の承継を認める根拠となりました。なお、同法は農地法(昭和27年)の制定に伴い廃止されており、現行法上の直接の対応条文はありません。

行政事件訴訟法(参考)

本判決は行訴法制定(昭和37年)以前の判決ですが、その後の取消訴訟の議論において違法性の承継の根拠判例として繰り返し参照されています。違法性の承継は、現在も行訴法の解釈問題として試験で問われます。
身近な例え

身近な例え

料理の下ごしらえが間違っていたら、完成した料理もダメになる。最初の段階の失敗は、後の段階にも影響するということです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

行政が複数の処分を段階的に行う場合、先行処分に文句をつけなかったからといって、後行処分の訴訟でその違法を主張できなくなるわけじゃないんだ。農地買収計画と買収処分は「同一目的のひとつながりの手続」だから、計画の違法性は処分にもそのまま引き継がれるってこの判例は示したんだね。これが「違法性の承継」の原点になった重要判例だよ。でも注意なのが、違法性の承継が認められるのは、先行・後行処分が一連一体の関係にある場合に限られるという点なんだ。先行処分と後行処分が独立した別々の目的を持つ場合は承継されない、というのが現在の判例の立場だよ。

試験対策ポイント

違法性の承継が認められるのは、先行処分と後行処分が同一目的のための一連一体の手続として結合している場合に限られる
先行処分の出訴期間が経過していても、後行処分の取消訴訟で先行処分の違法を主張できる点が本判例のコアである

最判平21.12.17は、承継の可否を判断する際に①一体性(同一目的・結合した手続)②手続的保障の欠如(先行処分段階で争うことを期待するのが不合理)の二要素を考慮すると示した

肯定例:農地買収計画と買収処分(本判決)、事業認定と収用裁決、安全認定と建築確認(最判平21.12.17)

否定例:課税処分と滞納処分(最判昭51.4.27)→それぞれ独立した目的を持ち、一体性・手続的保障の欠如が認められない
関連判例

関連判例

行政法最高裁判所

違法判断の基準時

行政法最高裁判所

先行処分の加重事由がある場合の訴えの利益(平成27年)

処分期間の終了=訴えの利益の消滅ではない。処分基準に加重規定がある場合は、加重される期間中は訴えの利益が存続する。 訴えの利益が残る要件は2つ:①公にされた処分基準に加重規定があること、②将来後行処分の対象となり得る状況にあること。この2要件をセットで押さえる。 処分基準は行政庁の裁量を拘束する。公にされた処分基準と異なる取扱いをすることは、特段の事情がない限り裁量権の逸脱・濫用にあたる。 注意:訴えの利益が存続するのは「処分基準による加重を受けるべき期間内」に限られる。その期間を過ぎれば訴えの利益は消滅する点を混同しないこと。 行政手続法12条1項の「公にされた処分基準」であることが要件。内部的な基準にとどまる場合とは区別して理解すること。

行政法最高裁判所

場外車券発売施設設置許可と原告適格

原告適格が認められるのは**「法律上の利益を有する者」**(行訴法9条1項)であり、事実上の不利益を受けるだけでは足りない 「法律上の利益」の有無は、根拠法令および関連法令の趣旨・目的を総合して解釈する(行訴法9条2項) 周辺住民・一般事業者・施設利用者は、位置基準が保護する利益がいずれも一般的公益にとどまるとして原告適格なし 医療施設の開設者は、静穏な環境で医療業務を営む利益が個別的利益として保護されているとして原告適格あり 注意:文教施設(学校等)の開設者も医療施設と同様に原告適格が認められる可能性がある点も押さえること 注意:「施設から1000m以内」は申請書添付書類の基準であり、原告適格の距離基準ではない。位置的に著しい業務支障のおそれがあるか否かが判断基準

行政法最高裁判所

運転免許停止処分取消請求事件

運転免許停止処分は、停止期間の満了と処分日から1年間の無違反・無処分の両方が経過すると、訴えの利益が消滅する 「違反記録が警察に残る」「名誉・感情への影響」は事実上の効果にすぎず、法律上の利益ではない 注意:停止期間が満了しただけでは足りず、1年間無違反・無処分という要件も必要な点がひっかけになりやすい 行政事件訴訟法9条の「法律上の利益」は、法令上根拠のある具体的な不利益の回復を意味し、感情的・事実的な不利益は含まれない 本判例は訴えの利益の消滅の典型例として、取消訴訟の原告適格・訴えの利益の問題とセットで整理しておく

行政法最高裁判所

選挙の立候補と免職処分の取消訴訟

訴えの利益(狭義)は、処分の取消しによって「回復すべき法律上の利益」が現時点でも存在するか否かで判断される(行訴法9条1項) 立候補・当選によって公務員への復職が不可能となっても、給与請求権などの経済的利益が残る限り訴えの利益は消滅しない 注意:「訴えの利益」と「原告適格」はいずれも行訴法9条1項の問題だが、原告適格は「最初から提起できる資格があるか」、訴えの利益(狭義)は「訴訟係属中にその利益が失われていないか」という別の問いであることを区別すること 建築確認の取消訴訟では、工事完了後は訴えの利益が失われる(最判昭59.10.26)という対比判例とあわせて整理すること 令和6年度行政書士試験(問題17・選択肢1)で出題実績あり

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