選挙の立候補と免職処分の取消訴訟
立候補・当選しても給与請求権が残っていれば免職取消の訴えは続けられる
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事案の概要
争点
判旨
【原文】
二 免職された公務員が、免職処分の取消訴訟係属中に公職の候補者として届出をしたため、法律上その職を辞したしたものとみなされるにいたつた場合においても、行政事件訴訟法第9条のもとでは、当該訴の利益を認めるのが相当である。
判決
関連法令の解説
取消訴訟は「当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」に限り提起できると定めています。処分の効果が期間経過などで消滅した後でも、「なお処分の取消しによって回復すべき法律上の利益」があれば訴えを続けられます。本判決はこの「回復すべき法律上の利益」に給与請求権などの経済的権利が含まれることを示した重要判例です。
公職選挙法90条(立候補による辞職みなし)
公務員が公職選挙の候補者として届出をした場合、その届出の日に公務員を辞職したものとみなすと定めています。本件ではこの規定によりXは公務員たる地位を失いましたが、最高裁はこれによっても訴えの利益が消えないと判断しました。
身近な例え
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
立候補・当選によって公務員への復職が不可能となっても、給与請求権などの経済的利益が残る限り訴えの利益は消滅しない
注意:「訴えの利益」と「原告適格」はいずれも行訴法9条1項の問題だが、原告適格は「最初から提起できる資格があるか」、訴えの利益(狭義)は「訴訟係属中にその利益が失われていないか」という別の問いであることを区別すること
建築確認の取消訴訟では、工事完了後は訴えの利益が失われる(最判昭59.10.26)という対比判例とあわせて整理すること
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関連法令
関連判例
先行処分の加重事由がある場合の訴えの利益(平成27年)
処分期間の終了=訴えの利益の消滅ではない。処分基準に加重規定がある場合は、加重される期間中は訴えの利益が存続する。 訴えの利益が残る要件は2つ:①公にされた処分基準に加重規定があること、②将来後行処分の対象となり得る状況にあること。この2要件をセットで押さえる。 処分基準は行政庁の裁量を拘束する。公にされた処分基準と異なる取扱いをすることは、特段の事情がない限り裁量権の逸脱・濫用にあたる。 注意:訴えの利益が存続するのは「処分基準による加重を受けるべき期間内」に限られる。その期間を過ぎれば訴えの利益は消滅する点を混同しないこと。 行政手続法12条1項の「公にされた処分基準」であることが要件。内部的な基準にとどまる場合とは区別して理解すること。
運転免許停止処分取消請求事件
運転免許停止処分は、停止期間の満了と処分日から1年間の無違反・無処分の両方が経過すると、訴えの利益が消滅する 「違反記録が警察に残る」「名誉・感情への影響」は事実上の効果にすぎず、法律上の利益ではない 注意:停止期間が満了しただけでは足りず、1年間無違反・無処分という要件も必要な点がひっかけになりやすい 行政事件訴訟法9条の「法律上の利益」は、法令上根拠のある具体的な不利益の回復を意味し、感情的・事実的な不利益は含まれない 本判例は訴えの利益の消滅の典型例として、取消訴訟の原告適格・訴えの利益の問題とセットで整理しておく
原告の死亡と免職処分の取消訴訟
一身専属的権利と財産的権利を切り分けること:「公務員の地位・身分」→一身専属的→相続不可、「処分取消しで回復する給料請求権」→財産的権利→相続可能 訴えの利益が消滅しない理由は**「財産的利益の回復可能性が残っているから」**という論理。「地位が相続できないから訴えの利益も消滅する」という引っかけに注意 注意:財産的利益の回復が一切見込めない場合(例:既に時効が完成しているなど)は、訴えの利益が消滅する可能性がある点も押さえること 本判例は公開違反の瑕疵が軽微として処分の取消事由に当たらないと判断した点も重要。「瑕疵があっても軽微なら取り消せない」という行政法上の基本原則の適用例 行政事件訴訟法9条1項の「処分の効果がなくなった後においてもなお処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者」という条文の括弧書きと本判例の関係を整理しておくこと
建築確認取消請求事件
建築確認の法的効果は「確認なしでは工事できない」という一点のみ 工事が完了すると建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われる 注意:保安林指定解除処分の取消訴訟(最判昭57.9.9)は代替施設設置後に訴えの利益が消滅した判例であり、本件と対比して押さえること 開発許可の取消訴訟は工事完了・検査済証交付後も訴えの利益が失われない(最判平27.12.14)との対比も重要 訴えの利益(狭義の訴えの利益)は口頭弁論終結時まで存続している必要がある
違法性の承継が認められた例(農地買収計画・買収処分)
違法性の承継が認められるのは、先行処分と後行処分が同一目的のための一連一体の手続として結合している場合に限られる 先行処分の出訴期間が経過していても、後行処分の取消訴訟で先行処分の違法を主張できる点が本判例のコアである 最判平21.12.17は、承継の可否を判断する際に**①一体性(同一目的・結合した手続)②手続的保障の欠如(先行処分段階で争うことを期待するのが不合理)**の二要素を考慮すると示した 肯定例:農地買収計画と買収処分(本判決)、事業認定と収用裁決、安全認定と建築確認(最判平21.12.17) 否定例:課税処分と滞納処分(最判昭51.4.27)→それぞれ独立した目的を持ち、一体性・手続的保障の欠如が認められない
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