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A行政法行政事件訴訟

公衆浴場業距離制限規定事件

最高裁判所1962-01-19最判昭37.1.19
原告適格反射的利益法律上保護された利益公衆浴場法配置基準競業者訴訟

競合店が近くに来ても黙ってない!既存浴場業者に原告適格あり

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なる子ちゃん

事案の概要

京都市内で公衆浴場(銭湯)を経営していたXは、京都府知事Yが別の業者Aに対して新たに営業許可を与えたことに反発しました。AとXの浴場の距離はわずか208メートルで、京都府の条例が定める適正配置基準に違反すると考えたXは、この許可処分は無効だとして裁判所に無効確認を求める訴えを起こしました。問題は、他人(A)への許可処分を、既存業者(X)が争えるかどうか、つまりXに「原告適格(訴えを起こす資格)」があるかどうかでした。
争点

争点

公衆浴場法の距離制限(配置基準)に違反する新規業者への営業許可処分について、既存の公衆浴場営業者がその無効確認を求める訴えの利益(原告適格)を有するかどうか、すなわち既存業者の営業上の利益が「法律上保護された利益」にあたるか、それとも単なる「反射的利益」にすぎないかというのがこの事件の争点です。
判旨

判旨

公衆浴場法が許可制と距離制限(配置基準)を設けた趣旨を検討すると、主たる目的は「国民保健及び環境衛生」という公共の福祉を守ることです。しかしそれにとどまらず、浴場が濫立(乱立)して無用な競争が生じることで経営が不合理化し、衛生設備の低下といった悪影響が出ることを防ぐため、被許可者を濫立による経営の不合理化から守る意図もあることは否定できないと判断しました。したがって、適正な許可制度の運用によって保護されるべき既存業者の営業上の利益は、単なる事実上の反射的利益にとどまらず、公衆浴場法によって保護される法的利益にあたります。Xの被った不利益は具体的・直接的で重大な損害をもたらすものであることから、Xは本件訴訟の原告適格を有するものといわなければならないと結論づけました。
【原文】

 適正な許可制度の運用によつて保護せらるべき業者の営業上の利益は、単なる事実上の反射的利益というにとどまらず公衆浴場法によつて保護せられる法的利益と解するを相当とする。
判決

判決

原審(大阪高等裁判所)の判決を破棄差戻しとし、既存の公衆浴場営業者は第三者に対する営業許可処分の無効確認を求める訴えの利益を有する(原告適格あり)と判断しました。
関連法令の解説

関連法令の解説

行政事件訴訟法9条1項(原告適格)
この条文は、取消訴訟(行政処分の取消しを求める訴訟)を起こせるのは、「法律上の利益を有する者」に限ると定めています。自分に直接関係のない処分を誰でも争えてしまうと行政の運営が混乱するため、訴えを提起できる者の範囲を限定しています。本判例は、この「法律上の利益」にあたるかどうかを判断した重要なリーディングケースです。

公衆浴場法2条(許可制・配置基準)

この条文は、公衆浴場の営業を知事の許可制とし、「設置の場所が配置の適正を欠く」と認められるときは許可を拒否できると定めています。この距離制限の立法趣旨が「国民保健・環境衛生」という公益目的と同時に「既存業者を濫立競争から守る」目的を含むかどうかが、原告適格の判断の核心となりました。
身近な例え

身近な例え

公園の禁煙ルールは利用者の健康のためであって、近隣タバコ店の売上を守るためではない。だから売上減少を理由にタバコ店が訴えることはできないのと似ています。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

「俺の縄張りに競合店を出すな!」って既存業者が訴えた事件なんだよね。普通、他人への処分を自分が訴えるって難しいんだけど、この判例では「認められる」って言ったわけ。理由は、公衆浴場法の距離制限ってそもそも既存業者を濫立競争から守る目的も含んでるから、業者の営業上の利益は「法律が直接守ろうとした利益」だって判断されたんだ。「反射的利益じゃなくて法的利益」ってのが試験の超重要キーワードだよ!

試験対策ポイント

本判例の結論は「原告適格あり(訴えの利益を有する)」であり、「反射的利益にすぎず原告適格なし」という引っかけ選択肢に注意
原告適格が認められるのは、「法律上保護された利益」を有する者に限られる(行政事件訴訟法9条1項)

公衆浴場法の距離制限の趣旨は①国民保健・環境衛生という公益と、②既存業者を濫立競争から守る目的の両方を含むと解釈された点が判断の核心

反射的利益とは、法律が公益保護を目的として定めた結果、間接的・事実上もたらされる利益のことで、原告適格の根拠にはならない。本判例ではこの反射的利益にとどまらないと判断されたことが重要

注意:本判例は昭和37年当時の「行政事件訴訟特例法」下の判決。現行の行政事件訴訟法9条2項(平成16年改正)では原告適格の判断基準がさらに明文化・拡大されており、本判例はその出発点として位置づけられる
法令

関連法令

関連判例

関連判例

行政法最高裁判所

場外車券発売施設設置許可と原告適格

原告適格が認められるのは**「法律上の利益を有する者」**(行訴法9条1項)であり、事実上の不利益を受けるだけでは足りない 「法律上の利益」の有無は、根拠法令および関連法令の趣旨・目的を総合して解釈する(行訴法9条2項) 周辺住民・一般事業者・施設利用者は、位置基準が保護する利益がいずれも一般的公益にとどまるとして原告適格なし 医療施設の開設者は、静穏な環境で医療業務を営む利益が個別的利益として保護されているとして原告適格あり 注意:文教施設(学校等)の開設者も医療施設と同様に原告適格が認められる可能性がある点も押さえること 注意:「施設から1000m以内」は申請書添付書類の基準であり、原告適格の距離基準ではない。位置的に著しい業務支障のおそれがあるか否かが判断基準

行政法最高裁判所

東京12チャンネル事件

競願関係では、拒否された者には2つの訴訟手段がある:①ライバルへの免許付与処分の取消訴訟、②自分への拒否処分の取消訴訟 キーワードは「表裏の関係」:一方への許可と他方への拒否は切り離せない関係にある 原告適格の根拠:処分が取り消されれば審査がやり直されて自分が免許を得られる可能性=法律上の利益がある 注意:単なる「商売上のライバルがいなくなってほしい」という事実上の利益だけでは原告適格は認められない。競願関係という法的構造があって初めて認められる 本件と同日(昭43.12.24)に「墓地埋葬通達事件」(通達に処分性なし)も言い渡されており、混同注意

行政法最高裁判所

もんじゅ訴訟

無効確認訴訟の「法律上の利益を有する者」の判断は、当該法規が不特定多数者の利益を個々人の個別的利益としても保護しているかどうかによる 本件では原子炉から29〜58km圏内の住民に原告適格が認められた 注意:原告適格の判断基準は行訴法9条(取消訴訟)と行訴法**36条(無効確認訴訟)**で同義に解される 民事差止め訴訟は「当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴え」に該当しないため、無効確認訴訟の補充性要件(行訴法36条)を否定する根拠にならない 無効確認訴訟は、民事差止め訴訟よりより直接的・適切な紛争解決手段として位置づけられる点も重要

行政法最高裁判所

小田急高架化訴訟

原告適格の判断基準:当該行政法規が「個々人の個別的利益としても保護する趣旨」を含むかどうか 都市計画事業の認可に対して、「騒音・振動等による健康または生活環境に係る著しい被害を直接受けるおそれのある者」には原告適格が認められる 原告適格の判断には関係法令(環境影響評価条例等)の趣旨・目的も参酌される(行訴法9条2項) 注意:原告適格が認められても、本案審理では違法と認められなかった(裁量権の逸脱・濫用なし)という結論に至っている 本判例は2004年の行訴法改正後に大法廷で原告適格を拡大した画期的判例として位置づけられる

行政法最高裁判所

新潟空港訴訟

社会通念上著しい障害を受けることとなる飛行場周辺住民には定期航空運送事業免許の取消訴訟における原告適格がある 原告適格の根拠:航空法の免許基準が周辺住民の個別的利益も保護する趣旨を含むから 行訴法10条1項:取消訴訟では自己の法律上の利益に関係のない違法を取消理由とすることはできない 注意:原告適格が認められても、主張できる違法事由は自己の利益と関連するものに限られる 小田急高架訴訟(最大判平17.12.7)や場外車券発売施設訴訟(最判平21.10.15)と並んで第三者の原告適格に関する重要判例として整理すること

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