時効と登記・時効完成前の第三者
時効完成前に登記した第三者にも、時効取得者は登記なしで対抗できる!「時効完成後の第三者」とは結論が逆になる重要判例
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事案の概要
争点
判旨
【原文】
不動産の時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から当該不動産の譲渡を受けその旨の移転登記を経由した者に対しては、登記がなくても、時効による所有権の取得を主張することができる。
判決
関連法令の解説
■ 事件番号
最判昭41.11.22
■ キャッチコピー
時効完成前に登記した第三者にも、時効取得者は登記なしで対抗できる!「時効完成後の第三者」とは結論が逆になる重要判例
■ 事案の概要
A所有の不動産をCが所有の意思をもって平穏・公然に占有していたところ、時効完成前にAがBにその不動産を譲渡し、BがAから所有権移転登記を備えました。その後もCは占有を続け、時効が完成しました。Cは時効による所有権取得をBに対して主張できるかが争われました。Cは登記を備えておらず、Bはすでに登記を備えていたという状況です。
■ ざっくりまとめ
「時効が完成する前に第三者Bが登記してた。その後Cの時効が完成した。Cは登記なしでBに勝てるの?」という話。答えは「Cが勝ち!」。なぜかというと、A・C間はもともと当事者類似の関係。BがAから不動産を取得しても、それはA→Bへの単線的な権利移転にすぎなくて、BとCは民法177条の「対抗関係」にはならないんだよね。だからCは登記なしでBに時効取得を主張できる。これが「時効完成後の第三者」(そちらは対抗関係になるので登記が必要)と正反対の結論になる点が試験の最重要ひっかけポイント!
■ 関連法令の解説
民法162条(不動産の取得時効)
20年間所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有した者はその所有権を取得すると定めています(善意無過失なら10年)。本判決はこの取得時効の効果を第三者との関係でどう主張できるかを判断しました。
民法177条(不動産物権変動の対抗要件)
不動産に関する物権の得喪・変更は登記をしなければ第三者に対抗できないと定めています。本判決は、時効完成前に登記を備えた第三者は民法177条の「第三者」(対抗問題の相手方)にはあたらないと判断しました。A→B(譲渡)→(Cが時効完成)という経緯では、BとCは二重譲渡のような対抗関係に立たないためです。
身近な例え
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
時効完成後に登記を備えた第三者→時効取得者は登記がないと対抗できない(別判例)
判断の分岐点は「第三者が登記を備えたのが時効完成の前か後か」の一点
時効完成前の第三者が民法177条の「第三者」に該当しない理由:A→B(譲渡)→(Cが時効取得)は単線的な権利移転関係であり、BとCが二重譲渡的な対抗関係に立つわけではないため
注意:「時効が完成した=必ず登記が必要」という思い込みは危険。相手方の登記時期によって結論が逆転する
関連法令
関連判例
取消しと登記・取消後の第三者
取消し前・後で適用条文が異なる点を必ず整理すること:取消し前の第三者→96条3項(善意無過失の第三者を保護・登記不要)、取消し後の第三者→177条(対抗関係・先に登記した方が勝つ) 取消し後の第三者には96条3項は適用されない。「取消し前・後を問わず96条3項で処理する」という選択肢は誤り 177条で処理されると、悪意のCでも先に登記を備えれば保護される(背信的悪意者は除く)。「善意か悪意かで結論が変わる」という誤りに注意 注意:強迫による取消しの場合、96条3項は適用されない(詐欺のみに適用)。強迫取消し前の第三者には、善意悪意を問わず取消しの効果を対抗できる 取消し後の第三者への177条適用は、**解除後の第三者(最判昭35.11.29)**と同じ論理構造であり、対比して学ぶと理解が深まる
被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人
相続人自身は被相続人の包括承継人であり民法177条の「第三者」にはあたらない しかし、相続人からの譲受人(第三者)は民法177条の「第三者」にあたる 被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人は対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が勝つ この結論は被相続人と相続人の間が贈与・売買・遺贈・死因贈与のいずれの場合にも同様に妥当する 注意:「相続人は第三者にならない=登記不要」という誤解が典型的なひっかけ問題になりやすい
詐術の場合の取消権の否定
相続人自身は被相続人の包括承継人であり民法177条の「第三者」にはあたらない しかし、相続人からの譲受人(第三者)は民法177条の「第三者」にあたる 被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人は対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が勝つ この結論は被相続人と相続人の間が贈与・売買・遺贈・死因贈与のいずれの場合にも同様に妥当する 注意:「相続人は第三者にならない=登記不要」という誤解が典型的なひっかけ問題になりやすい
解除と登記・解除前の第三者
民法545条1項ただし書きの「第三者」として保護されるには、解除前に権利を取得しており、かつ登記を備えていることが必要 解除した元の所有者と解除前の第三者は対抗関係に立ち、先に登記した方が勝つ 注意:解除後の第三者との関係は545条1項の問題ではなく民法177条の問題であり、解除前・解除後で適用条文が異なる 解除後に新たに権利を取得した第三者も177条により登記を備えた者が保護される点で結論は似ているが、根拠条文が異なることを混同しないこと 未登記の転得者は、債権者代位によって売主への登記請求もできない ただし「合意解除が信義則に反する等特段の事情」がある場合は例外的に保護される余地がある この「特段の事情」の有無が実務・試験ともに重要な判断ポイントとなる 545条1項ただし書きの「第三者」とは、解除された契約から生じた法律効果を基礎として新たな権利を取得した者をいい、単なる債権者は含まれない
公物の取得時効
公共用財産は原則として取得時効の対象とならないが、例外として黙示的公用廃止が認められる場合は時効取得が成立する 黙示的公用廃止が認められる要件は4つ:①長年にわたる放置、②形態・機能の完全喪失、③占有継続にもかかわらず公の目的が害されないこと、④公共用財産として維持すべき理由の消滅、すべてを満たす必要がある 正式な廃止手続き(明示的公用廃止)は不要であり、実態による判断が優先される 注意:占有開始時点で4要件が揃っていることが必要であり、時効期間の途中でようやく要件を満たしても原則として認められない(財務省通達・判例解説より) この判例は民法162条(取得時効)×行政法上の公物管理が交差する論点であり、行政書士試験では**「公共用財産だから絶対に時効取得できない」という引っかけ選択肢**に注意
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