遺留分侵害額請求
いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう
ひとことで言うと
遺言や贈与によって遺留分を侵害された相続人が、侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利のこと。
くわしく解説
遺留分侵害額請求って何?
亡くなった人が「全財産を愛人に遺贈する」という遺言を残したとします。残された家族は何ももらえないのでしょうか?
そんなとき登場するのが遺留分侵害額請求です。これは、遺言や贈与によって自分の遺留分(相続人に最低限保障される取り分)を侵害された人が、侵害した相手に対して金銭の支払いを請求できる制度です。
なぜこの制度があるの?
遺言の自由は尊重したい。でも、家族を完全に無視するのは不公平だ——これが遺留分制度の考え方です。
被相続人には財産を自由に処分する権利がありますが、遺族の生活保障や財産形成への貢献を考えると、一定の相続人には最低限の取り分を保障すべきという政策的配慮があります。
請求できる人は誰?
遺留分を持つのは、①配偶者、②子(代襲相続人を含む)、**③直系尊属(父母など)**です。兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人の場合は被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1です。
請求の方法と期限は?
遺留分侵害額請求は、相手方への意思表示だけで効力が生じます(裁判は不要)。ただし、①相続の開始と侵害を知ってから1年以内、または②相続開始から10年以内に行使しないと時効で消滅します。
試験では、この期限と、2019年改正で「遺留分減殺請求(現物返還)」から「遺留分侵害額請求(金銭請求)」に変わった点がよく問われます。
具体例で考えよう
ケース①:遺言で全財産を長男に相続させた場合
父が「全財産を長男に相続させる」という遺言を残して亡くなりました。相続人は長男と次男の2人です。次男の遺留分は全財産の4分の1(法定相続分2分の1×遺留分割合2分の1)ですから、次男は長男に対して、遺産総額の4分の1に相当する金銭の支払いを請求できます。これが遺留分侵害額請求です。
ケース②:生前贈与で愛人に財産を渡していた場合
夫が生前、愛人に多額の不動産を贈与していました。夫の死後、妻は自分の遺留分(2分の1)が侵害されていることに気づき、愛人に対して遺留分侵害額請求を行いました。愛人は、侵害額に相当する金銭を妻に支払う義務を負います。相続開始前1年以内の贈与は遺留分算定の基礎財産に含まれるため、このような請求が可能になります。
試験対策ポイント
「遺留分侵害額請求」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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