違法性の承継
いほうせいのしょうけい
ひとことで言うと
先行する行政行為に違法があった場合、その違法を理由として後続の行政行為を争えるかどうかという問題のこと。
くわしく解説
どんな場面で問題になるの?
行政は、ひとつの目的を達成するために、複数の行政行為を段階的に行うことがあります。たとえば、土地収用の場面では、まず「事業認定」が行われ、その後に「収用裁決」がなされます。
このとき、先行する行政行為(事業認定)に違法があった場合、その違法を理由に後続の行政行為(収用裁決)を取り消せるか?これが「違法性の承継」の問題です。
原則はどうなっているの?
原則として、違法性は承継されません。
なぜなら、先行行為には公定力があるため、取り消されない限り有効として扱われるからです。また、先行行為に対しては独自に取消訴訟を提起できる以上、その出訴期間を過ぎてから後続行為を争う場面で先行行為の違法を主張させると、出訴期間の制度が無意味になってしまいます。
ポイントは、「それぞれの行政行為は独立しており、別々に争うべきだ」という考え方にあります。
例外的に承継が認められる場合は?
判例は、一定の場合に例外的に違法性の承継を認めています。
①先行行為と後続行為が同一目的を達成するために行われていること。
②両者が連続した一連の手続を構成していること。
③先行行為の段階で争う機会がなかった、または争うことを期待するのが酷であること。
これらの条件を満たす場合、先行行為の違法を理由として後続行為の取消しを求めることが認められます。
試験ではここが狙われる!
最も有名な判例は最判平成21年の建築確認と安全認定の事案です。この判例では、建築確認の取消訴訟において、先行する安全認定の違法を主張することが認められました。安全認定は住民に通知されず、独立して争う機会がなかったことが重視されています。
一方、土地収用における事業認定と収用裁決では、事業認定の段階で争う機会があるため、違法性の承継は否定される傾向にあります。この違いを押さえておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:建築確認と安全認定
ある建築主が、接道義務を満たさない土地に建物を建てようとしたとします。この場合、まず安全認定を受け、その後に建築確認が行われます。近隣住民が建築確認の取消訴訟を提起した際、先行する安全認定の違法を主張できるかが問題となります。安全認定は住民に通知されないため、判例は違法性の承継を認め、建築確認訴訟で安全認定の違法を争うことを許容しました。
ケース②:事業認定と収用裁決
国がダム建設のために、あなたの土地を収用しようとしたとします。まず事業認定がなされ、その後に収用裁決が行われます。収用裁決の取消訴訟で事業認定の違法を主張したい場合、事業認定は公告されており独立して争う機会があったため、原則どおり違法性の承継は認められません。
試験対策ポイント
「違法性の承継」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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