裁量的執行停止
さいりょうてきしっこうていし
ひとことで言うと
審査請求人の申立てにより、審査庁が必要と認めた場合に処分の効力等を止めることができる制度のこと。
くわしく解説
執行停止には2種類あるって知っていますか?
行政不服審査法には、必要的執行停止と裁量的執行停止の2種類があります。裁量的執行停止とは、審査請求人からの申立てがあった場合に、審査庁が「必要があると認めるとき」に処分の効力や執行を停止できる制度です。
ポイントは、「審査庁の判断に委ねられている」という点にあります。つまり、申立てがあっても、審査庁が必要ないと判断すれば停止しなくてもよいのです。
なぜこの制度が必要なの?
行政不服審査法では、審査請求をしても処分の効力は止まらないのが原則です(執行不停止の原則)。しかし、審査請求の結論が出るまでに処分が執行されてしまうと、後から「やっぱり違法でした」と言われても取り返しがつかない場合があります。
そこで、審査請求人を救済するために、一定の場合に執行を止める仕組みが設けられているのです。
執行停止の要件は?
裁量的執行停止が認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
①審査請求人からの申立てがあること。審査庁が職権で行うことも可能ですが、基本は申立てがきっかけです。
②必要があると認められること。審査庁が、執行停止をしないと審査請求人に重大な損害が生じるなど、停止の必要性を判断します。
③公共の福祉に重大な影響を及ぼさないこと。執行を止めることで社会全体に大きな悪影響が出る場合は認められません。
必要的執行停止との違いは?
必要的執行停止は、「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」場合に、審査庁が義務的に執行停止をしなければならない制度です。一方、裁量的執行停止は審査庁の裁量に委ねられています。
試験では、「どちらの執行停止か」を問う問題がよく出ます。義務か裁量かという違いをしっかり押さえておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:営業停止処分を受けた飲食店
あなたが飲食店を経営しているとします。衛生上の問題を理由に30日間の営業停止処分を受けましたが、納得がいかないので審査請求をしました。しかし、審査請求の結論が出る前に30日が過ぎてしまっては困ります。そこで執行停止の申立てをしたところ、審査庁が「必要がある」と認め、営業停止の効力が一時的に止まりました。これが裁量的執行停止の典型例です。
ケース②:建築物の除却命令
あなたが建てた建物に対して、違法建築を理由に除却命令が出されたとします。審査請求をしましたが、命令が執行されると建物が取り壊されてしまいます。審査庁に執行停止を申し立て、審査庁が「除却されると回復困難な損害が生じる」と判断すれば、除却命令の執行が停止されます。
試験対策ポイント
「裁量的執行停止」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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