ロゴ行政書士になる子ちゃん
行政法行政行為

裁量権の逸脱・濫用

さいりょうけんのいつだつ・らんよう

📌

ひとことで言うと

行政庁が持つ裁量の範囲を超えたり、裁量権を本来の目的と異なる目的で行使したりする違法な状態のこと。

なる子ちゃん

くわしく解説

裁量権の「逸脱」と「濫用」は何が違うの?

まず、行政庁には法律の範囲内で判断する自由、つまり行政裁量が認められています。しかし、その自由にも限界があります。

裁量権の逸脱とは、法律が認めた裁量の範囲を超えてしまうことです。たとえば、法律で「停職は最長6か月まで」と定められているのに、1年の停職処分を出すようなケースです。

一方、裁量権の濫用とは、形式的には範囲内でも、本来の目的とは違う目的で裁量を行使することです。たとえば、職員を辞めさせたいがために、些細なミスに対して不当に重い処分を下すようなケースがこれにあたります。

ポイントは、「範囲を超えたら逸脱、目的を誤ったら濫用」という考え方です。


なぜこの概念が重要なの?

裁量権の逸脱・濫用があった場合、その行政行為は違法となります。行政事件訴訟法30条には、「裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった場合」には、裁判所が取消しできると明記されています。

つまり、行政に裁量があっても、司法によるチェックが及ぶということです。これは国民の権利を守るうえで非常に大切な仕組みです。


裁判所はどのように判断するの?

裁判所が逸脱・濫用を認定する際には、いくつかの視点があります。

①事実の基礎を欠くこと。判断の前提となる事実認定に誤りがある場合です。

②考慮すべき事項を考慮していないこと。重要な事情を無視して判断した場合です。

③考慮すべきでない事項を考慮していること。関係のない事情に基づいて判断した場合です。

④社会通念上著しく妥当性を欠くこと。結論があまりにも不合理な場合です。


試験ではここが狙われる!

行政書士試験では、判例の事案とともに出題されることが多いです。特に、懲戒処分や営業許可の取消しなど、具体的な処分が逸脱・濫用にあたるかどうかを問う問題に注意しましょう。「比例原則」や「権限濫用禁止の原則」との関連も押さえておくと万全です。

なる子ちゃん

具体例で考えよう

ケース①:重すぎる懲戒処分

公務員Aさんが軽微な服務規律違反をしたとします。本来なら戒告程度で済むはずなのに、上司の個人的な感情から免職処分が下されました。これは処分内容が社会通念上著しく妥当性を欠くため、裁量権の濫用として違法となります。

ケース②:許可基準を超えた判断

飲食店の営業許可について、法律では衛生基準のみを審査することになっているとします。ところが行政庁が「近隣住民の反対が多いから」という理由で不許可にしました。これは法律が定めた裁量の範囲を超えており、裁量権の逸脱として違法となります。

試験対策ポイント

裁量権の逸脱・濫用」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。

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