行政裁量
ぎょうせいさいりょう
ひとことで言うと
法律が行政庁に対して、判断や選択の余地を認めている場合に、その範囲内で行政庁が自由に決定できる権限のこと。
くわしく解説
なぜ行政に「自由な判断」が認められるの?
法律は、すべての場面を細かく規定することはできません。たとえば、「公益上必要があると認めるときは許可を取り消すことができる」という条文があったとします。この「公益上必要があると認めるとき」とは、具体的にどんな場面でしょうか?
これを行政庁が自分で判断してよいというのが、行政裁量の考え方です。
裁量の種類は?「要件裁量」と「効果裁量」
行政裁量には、大きく分けて2つの種類があります。
①要件裁量があること。これは「〇〇と認めるとき」など、法律の要件に該当するかどうかの判断に認められる裁量です。
②効果裁量があること。これは要件を満たしたとして、「許可するかしないか」「どんな処分をするか」という効果の選択に認められる裁量です。
ポイントは、「どちらの段階で行政庁に判断の幅が与えられているか」という視点です。
「自由裁量」と「羈束裁量」って何?
伝統的な学説では、裁量を自由裁量と**羈束裁量(きそくさいりょう)**に分けていました。
自由裁量は「行政庁の自由に任され、裁判所は審査できない」、羈束裁量は「裁判所の審査が及ぶ」とされていました。しかし現在では、この区別は相対化されています。
現在の判例は、裁量権の逸脱・濫用があれば、たとえ広い裁量が認められる行為でも違法として取り消せるという立場をとっています。
試験ではここが狙われる!
行政事件訴訟法30条は、「裁量処分については、裁量権の範囲を超え、又はその濫用があった場合に限り、裁判所は取り消すことができる」と定めています。つまり、裁量の範囲内であれば違法にならないが、逸脱・濫用があれば違法になるのです。
判例でよく出るのは、懲戒処分や在留許可の事例です。裁量の広さと司法審査の関係を意識して学習しましょう。
具体例で考えよう
ケース①:公務員の懲戒処分
公務員Aが職務上の非違行為をしたとします。懲戒権者は、免職・停職・減給・戒告のどれを選ぶか、裁量で決めることができます。ただし、非違行為の程度に比べて著しく重い処分を選んだ場合は、裁量権の濫用として違法になります。
ケース②:外国人の在留許可
外国人Bが在留期間の更新を申請したとします。法務大臣には広い裁量が認められていますが、家族状況や在留中の行状を全く考慮せずに不許可とした場合は、裁量権の逸脱として取り消される可能性があります。
試験対策ポイント
「行政裁量」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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