行政行為の取消し
ぎょうせいこういのとりけし
ひとことで言うと
違法または不当な行政行為を、成立時にさかのぼって最初からなかったことにする行為のこと。
くわしく解説
「取消し」と「撤回」、何が違うの?
まず、よく混同される「撤回」との違いを押さえましょう。
取消しは、行政行為が最初から違法・不当だった場合に、その効力をさかのぼって消すことです。一方、撤回は、最初は適法だったけれど、後から事情が変わったために将来に向かって効力を消すことです。
ポイントは、「問題があったのは最初から?それとも後から?」という違いにあります。
誰が取り消せるの?
行政行為を取り消せるのは、原則として次の2者です。
**①処分庁(または監督庁)**による取消し。行政側が自ら誤りを認めて取り消す「職権取消し」と呼ばれるものです。
②裁判所による取消し。国民が取消訴訟を提起して、裁判所に取り消してもらうパターンです。
注意してほしいのは、国民は自分で勝手に取り消すことはできないという点です。これは行政行為の公定力(取り消されるまでは一応有効とされる力)があるからです。
取消しの効果はどうなるの?
取消しがなされると、その行政行為は遡及的に(さかのぼって)無効となります。つまり、最初からなかったことになるのです。
たとえば、違法に与えられた許可が取り消されると、その許可は最初から存在しなかったものとして扱われます。
職権取消しには制限があるの?
行政庁による職権取消しは、いつでも自由にできるわけではありません。
特に、国民に利益を与える行政行為(授益的行政行為)を取り消す場合は、相手方の信頼保護との比較衡量が必要です。違法だからといって安易に取り消すと、その許可を信じて行動していた国民が不利益を受けてしまうからです。
試験ではここが狙われる!
試験では、取消しと撤回の違いが頻出です。「遡及効の有無」「原因が最初にあったか後からか」を正確に区別しましょう。また、職権取消しにおける信頼保護の問題も重要論点です。
具体例で考えよう
ケース①:違法な営業許可の取消し
あなたが飲食店の営業許可を申請したとします。行政庁は許可を出しましたが、後から審査に重大なミスがあり、本来は許可要件を満たしていなかったことが判明しました。この場合、行政庁は職権でこの許可を取り消すことができます。これは行政行為の取消しにあたります。
ケース②:裁判所による建築確認の取消し
あなたの隣の土地で違法な建築確認がなされ、高層マンションが建設されようとしているとします。あなたが取消訴訟を提起し、裁判所がその建築確認を取り消す判決を下した場合、その確認は最初からなかったことになります。これも行政行為の取消しの一例です。
試験対策ポイント
「行政行為の取消し」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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