行政上の強制手段
ぎょうせいじょうのきょうせいしゅだん
ひとことで言うと
行政目的を実現するために、国民に対して強制的に義務を履行させたり、即座に身体・財産に実力を行使したりする手段の総称のこと。
くわしく解説
行政上の強制手段とは何のためにあるの?
行政は、法律に基づいて国民に義務を課すことがあります。たとえば「違法建築物を壊しなさい」という命令です。でも、国民がその命令に従わなかったらどうなるでしょうか?
ここで登場するのが行政上の強制手段です。ポイントは、「裁判所を通さずに、行政自らが強制的に目的を達成できる」という点にあります。
大きく分けると2つのカテゴリ
行政上の強制手段は、大きく行政上の強制執行と即時強制に分かれます。
行政上の強制執行は、まず行政が義務を課し、その義務を履行しない場合に強制する仕組みです。代執行・強制徴収・直接強制・執行罰の4種類があります。
一方、即時強制は、義務を課す暇がないほど緊急の場合に、いきなり実力を行使するものです。酔っ払いの保護や感染症患者の強制入院などがこれにあたります。
行政罰との違いは?
行政上の強制手段と似た概念に行政罰があります。しかし、目的が違います。
行政上の強制手段は「義務を履行させること」が目的です。一方、行政罰は「過去の義務違反に対する制裁」が目的です。
つまり、強制手段は「将来に向けて目的を達成するため」、行政罰は「過去の違反を罰するため」という違いがあります。
試験で押さえるべきポイント
①行政上の強制執行には法律の根拠が必要であること。日本では一般法がなく、代執行以外は個別法がなければ使えません。
②即時強制は義務の存在を前提としないこと。これが強制執行との決定的な違いです。
③代執行は代替的作為義務にしか使えないこと。非代替的義務や不作為義務には使えません。
行政書士試験では、それぞれの手段の特徴と適用場面の違いが頻出です。
具体例で考えよう
ケース①:違法建築物の除却命令
あなたが建築基準法に違反した建物を所有していて、行政から「取り壊しなさい」と命じられたとします。それでも従わない場合、行政が業者を手配して強制的に取り壊し、その費用をあなたに請求します。これは行政上の強制執行のうち「代執行」の対象になります。
ケース②:泥酔者の保護
深夜、道路で泥酔して動けなくなっている人がいたとします。警察官がその人を保護施設に連れて行く場合、本人に何か義務を課す余裕はありません。これは「即時強制」の対象になります。
試験対策ポイント
「行政上の強制手段」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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