代執行
だいしっこう
ひとことで言うと
義務者が代替的作為義務を履行しない場合に、行政庁が自ら義務者のなすべき行為を行い、または第三者にこれを行わせ、その費用を義務者から徴収すること。
くわしく解説
代執行とは何をするもの?
行政庁が「この建物を壊しなさい」と命じたのに、相手が従わない場合、どうすればいいでしょうか?
代執行とは、義務者が命じられた行為を行わないとき、行政庁が代わりにその行為を実施し、かかった費用を義務者から取り立てるという仕組みです。「代わりに執行する」から代執行と呼ばれます。
どんな義務が対象になるの?
代執行の対象となるのは、代替的作為義務に限られます。
①代替的であること。つまり、他の人がやっても同じ結果が得られる義務です。建物の取壊しや看板の撤去などが典型例です。
②作為義務であること。「〜しなさい」という義務で、「〜するな」という不作為義務は対象外です。
たとえば、「ここに立ち入るな」という義務は、他人が代わりに履行することができないため、代執行の対象にはなりません。
代執行の手続きは?
代執行は行政代執行法という法律に基づいて行われます。手続きは以下の流れで進みます。
①戒告 → まず文書で「履行しなければ代執行しますよ」と警告します。
②代執行令書の通知 → 代執行の時期、執行責任者、費用の概算を文書で通知します。
③代執行の実施 → 執行責任者が現場で身分証を提示し、実際に作業を行います。
④費用の徴収 → かかった費用は強制徴収によって義務者から取り立てます。
ポイントは、「いきなり強制はしない。段階を踏んで、義務者に考え直すチャンスを与える」という考え方にあります。
試験で狙われるポイント
代執行は一般法である行政代執行法に基づく点が重要です。他の強制執行手段(直接強制・執行罰・強制徴収)には一般法がなく、個別の法律が必要です。また、非代替的作為義務や不作為義務には使えないという点は頻出です。
具体例で考えよう
ケース①:違法建築物の取壊し
建築基準法に違反した建物について、行政庁が「取り壊しなさい」と命令したとします。所有者が無視して放置した場合、行政庁は自ら業者を手配して建物を解体し、その費用を所有者に請求できます。これは代執行の典型例です。
ケース②:道路上の不法占拠物の撤去
あなたが許可なく道路上に屋台を設置し、撤去命令が出たにもかかわらず従わなかったとします。行政庁は代執行によって屋台を撤去し、撤去費用をあなたから徴収することができます。これも代執行の対象になります。
試験対策ポイント
「代執行」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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