直接強制
ちょくせつきょうせい
ひとことで言うと
行政上の義務を履行しない者に対し、行政機関が直接その身体や財産に実力を行使して義務の内容を実現する強制執行手段のこと。
くわしく解説
直接強制とはどんな手段?
直接強制とは、義務者が行政上の義務を履行しないときに、行政機関が直接その身体や財産に実力を加えて、義務の内容を強制的に実現する手段です。
ポイントは、「本人に代わって誰かがやる」のではなく、「本人の身体や財産に直接手を出す」という点にあります。
代執行との違いは?
同じ行政上の強制執行でも、代執行と混同しやすいので注意しましょう。
代執行は、義務者がやるべきことを行政機関が代わりに行い、その費用を義務者に請求する仕組みです。たとえば、違法建築物の取り壊しを本人がしないので、行政が業者を使って壊すケースです。
一方、直接強制は、義務者本人の身体や財産そのものに直接働きかけます。たとえば、立退き義務を履行しない人を実力で建物から退去させるようなケースです。
なぜ一般法がないの?
直接強制は、人の身体や財産に直接実力を行使するため、人権侵害のおそれが極めて高い手段です。
そのため、行政代執行法のような一般法は存在せず、個別の法律に根拠がある場合にのみ認められます。現行法では、成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法などごく限られた法律にしか規定がありません。
試験で押さえるべきポイント
①一般法が存在しないこと。代執行には行政代執行法がありますが、直接強制にはありません。
②個別法の根拠が必要であること。法律の根拠なしに直接強制を行うことは許されません。
③代替的作為義務だけでなく、非代替的作為義務にも使えること。他人が代わりにできない義務(本人しかできない義務)にも対応できる点が代執行との大きな違いです。
試験では、「直接強制には一般法がない」「代執行との違い」が頻出です。しっかり区別しておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:不法占拠者の強制退去
公営住宅に住む資格を失った人が、退去命令を受けても立ち退かないとします。この場合、行政機関が職員を派遣し、その人を実力で建物から退去させることが直接強制にあたります。
ケース②:感染症患者の強制入院
感染症予防のために入院命令が出されたにもかかわらず、患者が従わないとします。この場合、行政機関が直接その患者を病院に連れて行くことも、直接強制の一例です。
試験対策ポイント
「直接強制」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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