狭義の訴えの利益
きょうぎのうったえのりえき
ひとことで言うと
訴訟を通じて勝訴判決を得ることが、原告の権利救済にとって実効性を持つかどうかという要件のこと。
くわしく解説
なぜ「訴えの利益」が必要なの?
みなさんが裁判所に訴えを起こすとき、「勝っても意味がない」という状況だったらどうでしょうか?裁判所も忙しいですから、実益のない訴訟にまで付き合う余裕はありません。
そこで登場するのが狭義の訴えの利益です。ポイントは、「裁判で勝ったとして、あなたの権利は本当に救われるの?」という問いかけにあります。
「広義」と「狭義」の違いは?
訴えの利益には、広い意味と狭い意味があります。
広義の訴えの利益は、処分性・原告適格・狭義の訴えの利益をすべて含んだ概念です。一方、狭義の訴えの利益は、その中でも「判決を得る実効性があるか」だけに焦点を当てたものです。
試験では「狭義の」と限定されることが多いので、この違いをしっかり押さえましょう。
どんな場合に問題になるの?
①処分の効果が消滅した場合があります。たとえば、営業停止処分を受けたけれど、停止期間がすでに終わってしまったケースです。
②目的を達成した場合があります。たとえば、建築確認の取消しを求めていたのに、建物がすでに完成してしまった場合などです。
③処分が撤回された場合があります。行政側が自ら処分を取り消してしまえば、争う対象がなくなります。
例外的に利益が認められる場合もある?
原則として効果が消滅すれば訴えの利益は失われます。しかし、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益がある場合は、例外的に訴えの利益が認められます(行政事件訴訟法9条1項かっこ書き)。
免許取消処分を受けた後に期間が満了しても、取消しの記録が残ることで将来不利益を受ける可能性があるような場合がこれにあたります。
試験ではここが狙われる!
判例は、建築確認と建物完成、営業停止と期間満了など、具体的な場面での訴えの利益の有無を問うことが多いです。「効果が消滅した=即アウト」ではなく、回復すべき法律上の利益があるかを検討する視点を忘れないでください。
具体例で考えよう
ケース①:営業停止期間が終わった場合
あなたが飲食店を経営していて、30日間の営業停止処分を受けたとします。処分を不服として訴訟を起こしましたが、裁判中に30日が経過してしまいました。この場合、処分の効果はすでに消滅しているため、原則として狭義の訴えの利益が失われます。
ケース②:運転免許取消しと将来の不利益
あなたが運転免許取消処分を受け、取消訴訟を提起したとします。その後、欠格期間が経過して新たに免許を取得できる状態になりました。しかし、取消しの記録が残ることで将来の免許更新や就職に不利益が生じる可能性があれば、回復すべき法律上の利益があるとして、訴えの利益が認められる場合があります。
試験対策ポイント
「狭義の訴えの利益」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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