無権代理と相続
むけんだいりとそうぞく
ひとことで言うと
無権代理人が本人を相続したり、本人が無権代理人を相続したりした場合に、無権代理行為の効果がどうなるかという問題のこと。
くわしく解説
どういう場面で問題になるの?
無権代理とは、代理権がないのに勝手に他人の代理人として契約などをしてしまうことです。本来なら本人が追認しない限り効果は発生しません。
ところが、無権代理人と本人の間に相続が発生すると、話が複雑になります。たとえば、息子が勝手に父の土地を売ってしまい、その後父が亡くなって息子が相続人になったらどうなるでしょうか?
なぜ問題になるの?
相続すると、本人の地位と無権代理人の地位が一人の人間に重なることになります。すると「自分で自分の行為を追認できるのか?」「無権代理人としての責任はどうなるのか?」といった疑問が生じるのです。
ポイントは、法律関係の安定と、取引の相手方の保護をどう両立させるかという点にあります。
2つのパターンで結論が違う
①無権代理人が本人を相続した場合
判例では、無権代理人が本人を単独相続したときは、当然に有効となるとされています。自分で追認を拒むのは信義則に反するからです。ただし共同相続の場合は、他の相続人の利益もあるため当然には有効になりません。
②本人が無権代理人を相続した場合
本人が無権代理人を相続しても、追認するかしないかは本人の自由です。ただし、無権代理人としての責任(損害賠償など)は相続します。
試験で狙われるポイント
「誰が誰を相続したか」で結論が変わる点が頻出です。単独相続か共同相続かの違いも重要です。
具体例で考えよう
ケース①:息子が父を単独相続
父Aの土地を、息子Bが無断で第三者Cに売却する契約をしてしまいました。その後、父Aが亡くなり、息子Bが唯一の相続人として単独相続したとします。この場合、BはAの地位を承継するため、自ら追認を拒絶することは信義則上許されず、売買契約は当然に有効となります。
ケース②:父が息子を相続
息子Bが父Aの代理人として無断で土地を売却した後、息子Bが亡くなり父Aが相続人となったとします。この場合、父Aは追認するかしないかを自由に選択できます。ただし、Bが無権代理人として負っていた損害賠償責任などは、Aが相続することになります。
試験対策ポイント
「無権代理と相続」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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