機関訴訟
きかんそしょう
ひとことで言うと
国や地方公共団体の機関同士が、権限の存否や行使について争う訴訟のこと。
くわしく解説
機関訴訟ってどんな訴訟?
通常の訴訟は、個人や会社など「権利を持つ人」が自分の権利を守るために起こしますよね。でも機関訴訟は違います。
機関訴訟とは、国や地方公共団体の機関同士が、お互いの権限について「それは私の仕事だ」「いや、あなたの権限ではない」と争う訴訟です。
ポイントは、「自分の権利を守るためではなく、機関としての権限を争う」という点にあります。
なぜこんな訴訟が必要なの?
行政組織の中では、知事と議会、国と地方公共団体など、さまざまな機関がそれぞれの役割を担っています。しかし、時には「この権限は誰のものか」という争いが生じることがあります。
こうした争いを放置すると、行政がスムーズに動かなくなってしまいます。そこで、裁判所に判断してもらう仕組みが機関訴訟なのです。
客観訴訟のひとつ
行政事件訴訟法では、訴訟を大きく主観訴訟と客観訴訟に分けています。
主観訴訟は、個人の権利利益を守るための訴訟(抗告訴訟や当事者訴訟)です。
一方、客観訴訟は、個人の権利とは関係なく、行政の適法性を確保するための訴訟です。機関訴訟は民衆訴訟とともに、この客観訴訟に分類されます。
「法律に定める場合」だけ提起できる
機関訴訟には重要な制限があります。
①法律に定めがある場合に限って提起できること。誰でも自由に起こせるわけではありません。
②法律で定められた者だけが提起できること。訴えを起こせる機関は法律で限定されています。
試験ではここが狙われる!
試験では、民衆訴訟との違いがよく問われます。民衆訴訟は「選挙人など一般市民が行政の違法を正すために起こす訴訟」、機関訴訟は「機関同士が権限を争う訴訟」と覚えましょう。どちらも客観訴訟であり、法律の定めがある場合にのみ提起できる点は共通です。
具体例で考えよう
ケース①:知事と議会の権限争い
県知事が専決処分を行ったところ、議会が「その事項は専決処分できない」と主張したとします。この場合、知事と議会という機関同士が権限について争うことになります。これは機関訴訟の対象となりえます。
ケース②:国と地方公共団体の関与をめぐる争い
国が地方公共団体に対して是正の要求を行ったところ、地方公共団体が「その要求は違法だ」と争いたいとします。この場合、係争処理手続を経た後に提起する訴訟は機関訴訟に該当します。
試験対策ポイント
「機関訴訟」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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