権限外の行為の表見代理
けんげんがいのこういのひょうけんだいり
ひとことで言うと
代理人が与えられた権限を超えて行為をした場合に、一定の条件のもとで本人に責任を負わせる制度のこと。
くわしく解説
そもそもどういう制度なの?
代理人には本人から与えられた「権限」があります。ところが、その権限を超えて契約などをしてしまうケースがあります。本来なら無権代理になるはずですが、相手方が「この人にはそこまでの権限があるはず」と信じてしまうこともあります。
そこで民法は、本人が基本代理権を与えている場合に限り、権限を超えた行為についても本人に責任を負わせることにしました。これが**権限外の行為の表見代理(民法110条)**です。
成立するための3つの条件
①基本代理権が存在すること。本人が代理人に何らかの代理権を与えていることが前提です。まったくの他人が勝手に代理したケースは対象外です。
②代理人が権限外の行為をしたこと。与えられた権限の範囲を超える行為をしている必要があります。
③相手方が権限内だと信じ、かつ信じたことに正当な理由があること。相手方が善意・無過失であることが求められます。
なぜこの制度があるの?
ポイントは、「本人が代理権を与えている以上、ある程度の責任は負うべきだ」という考え方にあります。何の権限もない人が勝手に代理するケースよりも、本人の責任は重いのです。取引の安全を守るため、善意無過失の相手方を保護する仕組みです。
具体例で考えよう
ケース①:営業部長が土地を売却
会社の営業部長Aさんに、商品の販売についてだけ代理権が与えられていました。ところがAさんは、会社所有の土地を勝手に第三者Bさんに売却してしまったとします。Bさんが「営業部長ならこのくらいの権限はあるだろう」と信じ、そう信じたことに正当な理由があれば、権限外の行為の表見代理が成立します。
ケース②:代理権の範囲を超えた借入れ
父親から「生活費の管理」について代理権を与えられていた息子が、その権限を超えて高額な借金の契約を父親の代理人として結んだとします。貸主が息子の権限内だと信じ、信じたことに正当な理由があれば、父親に返済義務が生じる可能性があります。
試験対策ポイント
「権限外の行為の表見代理」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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