形式的当事者訴訟
けいしきてきとうじしゃそしょう
ひとことで言うと
法律の規定により、本来は抗告訴訟として争うべき処分を、当事者間の対等な訴訟形式で争わせる訴訟のこと。
くわしく解説
形式的当事者訴訟ってどんな訴訟?
行政事件訴訟法には「当事者訴訟」という訴訟類型がありますが、これには2種類あります。そのうちの1つが形式的当事者訴訟です。
ポイントは、「本当は処分の取消訴訟で争うべき内容なのに、法律がわざわざ当事者訴訟の形式で争いなさいと定めている訴訟」という点にあります。
なぜ「形式的」と呼ばれるの?
通常、行政処分に不満があれば抗告訴訟(取消訴訟など)で争います。被告は行政庁が属する国や地方公共団体です。
しかし、形式的当事者訴訟では、法律が「この紛争は私人同士で争いなさい」と定めています。つまり、形の上では私人対私人の対等な訴訟になるのです。「形式的」という名前は、「形式上は当事者訴訟だけど、実質は行政処分をめぐる争いだ」という意味から来ています。
具体的にはどんな場面で使われる?
代表例は土地収用法に基づく損失補償の争いです。
土地収用の手続きでは、収用委員会が補償額を決定します。この決定は行政処分ですが、補償額に不満があるときは、起業者(土地を収用する側)と土地所有者が当事者として争う形式になります。被告は行政庁ではなく、相手方の私人になるのです。
実質的当事者訴訟との違いは?
実質的当事者訴訟は、公法上の法律関係そのものを争う訴訟で、最初から処分とは関係ありません。例えば、公務員の地位確認訴訟などがこれにあたります。
一方、形式的当事者訴訟は、あくまで処分が出発点にあり、その処分に関連する争いを当事者間で解決させるものです。
試験で押さえるべきポイント
①法律の規定があること。法律が「当事者訴訟で争いなさい」と定めている場合に限られます。
②被告は私人になること。行政庁ではなく、利害関係のある相手方が被告となります。
③土地収用の補償額争いが典型例として出題されます。「収用委員会の裁決→補償額に不服→形式的当事者訴訟」という流れを覚えておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:土地収用の補償額に不満がある場合
あなたの土地が道路建設のために収用されることになりました。収用委員会が補償額を1,000万円と決定しましたが、あなたは「2,000万円が妥当だ」と考えています。この場合、補償額を争うには起業者(道路を作る側)を被告として訴訟を起こします。これが形式的当事者訴訟の典型例です。
ケース②:逆に起業者側が補償額を争う場合
今度は道路を作る起業者の立場で考えてみましょう。収用委員会が補償額を3,000万円と決定しましたが、起業者は「高すぎる。1,500万円が妥当だ」と考えています。この場合、起業者は土地所有者であるあなたを被告として訴訟を起こすことになります。これも形式的当事者訴訟の対象になります。
試験対策ポイント
「形式的当事者訴訟」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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