差止め訴訟
さしとめそしょう
ひとことで言うと
行政庁がまだ行っていない処分や行為を、事前に裁判で止めるよう求める抗告訴訟のこと。
くわしく解説
どんなときに使う訴訟なの?
差止め訴訟は、行政庁がこれから処分をしようとしているときに、「その処分をしないでくれ!」と裁判所に訴える制度です。
ポイントは、「まだ処分が行われていない段階で、先手を打って止める」という考え方にあります。取消訴訟は処分が行われた後に争いますが、差止め訴訟は処分の前に争うのです。
なぜこの制度が必要なの?
従来は、処分が行われてから取消訴訟を起こすしかありませんでした。しかし、営業停止命令や免許取消しなど、一度受けてしまうと取り返しがつかない処分もあります。
「処分を受けてから争っても遅い」という場面に対応するため、2004年の行政事件訴訟法改正で新設されたのが差止め訴訟です。
訴えが認められるための要件は?
①一定の処分がされようとしていることがあること。行政庁が具体的に処分をする構えを見せている必要があります。
②重大な損害を生ずるおそれがあること。軽微な損害では認められません。損害の回復の困難の程度、損害の性質・程度、処分の内容・性質が考慮されます。
③他に適当な方法がないこと(補充性)。他の訴訟で救済できる場合は、差止め訴訟は使えません。
「仮の差止め」との違いは?
差止め訴訟の判決が出るまでには時間がかかります。その間に処分が行われてしまうと意味がありません。
そこで、仮の差止めという緊急措置が用意されています。これは本案判決が出るまでの間、暫定的に処分を止めておく制度です。「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要」があり、「本案について理由があるとみえる」ときに認められます。
試験で狙われるポイント
差止め訴訟と義務付け訴訟はセットで出題されることが多いです。差止めは「するな」、義務付けは「しろ」という方向性の違いを押さえましょう。また、重大な損害の要件と補充性の要件は必ず覚えてください。
具体例で考えよう
ケース①:営業許可の取消しを止めたい飲食店
飲食店を経営しているあなたが、保健所から「衛生基準違反で営業許可を取り消す」と予告されたとします。取り消されてしまうと店を閉めざるを得ず、回復困難な損害を受けます。この場合、取消処分がされる前に差止め訴訟を提起して、処分を止めるよう求めることができます。
ケース②:建築物の除却命令を阻止したい場合
あなたが建てた建物について、行政庁が「建築基準法違反だから取り壊せ」という除却命令を出そうとしているとします。建物を壊されてしまえば元に戻せません。このような場合、除却命令が出される前に差止め訴訟を提起することが考えられます。
試験対策ポイント
「差止め訴訟」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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