履行不能
りこうふのう
ひとことで言うと
債務者の責めに帰すべき事由により、契約成立後に債務の履行が不可能になった状態のこと。
くわしく解説
履行不能とは何か?
契約を結んだ後、債務者の責めに帰すべき事由によって、債務の履行が物理的または社会通念上不可能になってしまった状態を指します。
例えば、売買契約を結んだ後に、売主の不注意で目的物を燃やしてしまったような場合です。もう物が存在しないので、「渡したくても渡せない」状態になります。
債務不履行の3つのパターン
債務不履行には、①履行遅滞(遅れているだけ)、②履行不能(もう不可能)、③不完全履行(履行したけど不十分)の3パターンがあります。
履行不能のポイントは、「遅れているのではなく、もはや実現できない」という点にあります。
成立するための条件は?
①契約成立後に不能になったこと。最初から不可能だった場合(原始的不能)は別の問題です。
②債務者の責めに帰すべき事由があること。債務者に帰責事由がない場合は、危険負担の問題になります。
③履行が不可能であること。物理的に不可能な場合だけでなく、社会通念上不可能と評価される場合も含まれます。
債権者はどうすればいい?
履行不能が発生すると、債権者は損害賠償請求と契約の解除ができます。もう履行を待つ意味がないので、契約関係を清算して、損害の賠償を求めることができるのです。
具体例で考えよう
ケース①:美術品の売買契約後の焼失
AさんがBさんに絵画を100万円で売る契約を結びました。しかし引渡し前に、Bさんが自宅で不注意によりタバコの火を絵画に落とし、燃やしてしまったとします。もう絵画は存在しないので、Bさんは履行したくてもできません。これは履行不能に該当し、Aさんは契約を解除して損害賠償を請求できます。
ケース②:建物賃貸借契約後の建物滅失
CさんがDさんに建物を貸す契約を結びました。しかし入居前に、Dさんの過失で火災が発生し、建物が全焼してしまったとします。もう建物が存在しないので、貸すことは不可能です。これも履行不能であり、Cさんは契約を解除して損害賠償を請求できます。
試験対策ポイント
「履行不能」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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