執行停止
しっこうていし
ひとことで言うと
取消訴訟を起こしても処分の効力は止まらないが、例外的に裁判所が処分の効力や執行を一時的にストップさせること。
くわしく解説
なぜ執行停止という制度があるの?
みなさん、行政処分に不満があって取消訴訟を起こしたとします。でも、裁判が終わるまで何年もかかることがありますよね。その間、処分の効力はどうなるのでしょうか?
実は、取消訴訟を起こしても、処分の効力は止まりません。これを「執行不停止の原則」といいます。訴訟を起こすだけで処分がストップしてしまうと、行政の仕事が進まなくなってしまうからです。
しかし、これでは困る場合があります。たとえば、営業停止処分を受けた飲食店が裁判で争っている間に店が潰れてしまったら、後から「処分は違法でした」と言われても取り返しがつきません。
そこで登場するのが「執行停止」です。裁判所が一時的に処分の効力をストップさせる制度なのです。
執行停止が認められる条件は?
執行停止には2つのパターンがあります。
裁量的執行停止
①重大な損害を避けるため緊急の必要があること。単なる不便ではなく、回復困難な重大な損害が生じるおそれがある場合です。
②本案について理由がないとみえないこと。つまり、取消訴訟に勝つ見込みがゼロではないことが必要です。
③公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと。社会全体に大きな悪影響があってはいけません。
必要的執行停止
処分により生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ本案に理由がないとみえない場合は、裁判所は必ず執行停止をしなければなりません。
試験で狙われるポイントは?
執行停止は申立てがなければ認められません。裁判所が職権で行うことはできないのです。
また、執行停止で止められるのは「処分の効力」「処分の執行」「手続の続行」の3つです。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行や手続の続行を止めることで目的を達成できる場合はできません。
さらに、内閣総理大臣は「異議」を述べることができ、異議があると執行停止はできなくなります。この点も頻出です。
具体例で考えよう
ケース①:営業許可取消しと執行停止
あなたがレストランを経営しているとします。ある日、衛生上の問題を理由に営業許可の取消処分を受けました。納得がいかないので取消訴訟を起こしましたが、このままでは裁判中に店を閉めなければなりません。そこで裁判所に執行停止を申し立て、認められれば裁判の結論が出るまで営業を続けることができます。これは執行停止の典型例です。
ケース②:建築確認と執行停止
隣の空き地にマンションが建設されることになり、建築確認がおりました。日照権が侵害されるとして取消訴訟を起こしても、工事はどんどん進んでしまいます。執行停止が認められれば、工事を一時的にストップさせることができます。これも執行停止の対象になります。
試験対策ポイント
「執行停止」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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