取締役の第三者に対する責任
とりしまりやくのだいさんしゃにたいするせきにん
ひとことで言うと
取締役が職務を行うにあたって、悪意または重大な過失によって第三者に損害を与えた場合に、会社に対してではなく、その第三者に対して直接負う損害賠償責任のこと。
くわしく解説
取締役の責任には2種類ある!
まず整理しましょう。取締役が何か失敗したとき、会社に対する責任と第三者に対する責任の2つがあります。
会社に対する責任は、株主や会社自体に損害を与えたケース。一方、第三者に対する責任は、取引先や債権者など、会社の外の人に損害を与えたケースです。会社法429条1項に規定されています。
成立するための条件は?
第三者に対する責任が発生するには、次の条件が必要です。
①取締役が職務を行ったこと。取締役としての仕事の範囲内での行為である必要があります。
②悪意または重過失があること。単なる過失では足りず、わざと(悪意)または重大な不注意(重過失)が必要です。これがポイントです。
③第三者に損害が発生したこと。会社ではなく、取引先など外部の人が損害を受けた場合です。
④因果関係があること。取締役の行為と損害との間に関連性が必要です。
なぜこの制度があるの?
会社が倒産してしまうと、会社に責任を追及しても回収できません。そこで、取締役個人に直接請求できる道を用意することで、第三者を守っているのです。
試験で問われるポイント
「悪意・重過失」という要件が頻出です。軽い過失では責任を負わない点を押さえましょう。
具体例で考えよう
ケース①:粉飾決算で銀行が融資した場合
取締役が会社の業績を実際よりも良く見せる粉飾決算を行い、それを信じた銀行が融資をしたとします。その後会社が倒産し、銀行が融資金を回収できなくなりました。この場合、銀行は取締役個人に対して、第三者に対する責任を追及することができます。
ケース②:重大な過失で虚偽の登記をした場合
取締役が重大な不注意で、実際には存在しない資産を登記簿に記載してしまい、それを信じた取引先が損害を被ったとします。この取引先は、会社ではなく取締役個人に対して直接、損害賠償を請求できます。これが第三者に対する責任の典型例です。
試験対策ポイント
「取締役の第三者に対する責任」は商法・基礎の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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