取消しと登記
とりけしとうき
ひとことで言うと
取消しされた契約の当事者と、取消し前に登場した第三者との優劣を、登記の先後で決めるというルールのこと。
くわしく解説
取消しがあったら、なぜ登記が問題になるの?
たとえば、AさんがBさんに騙されて土地を売ったとします。その後、Bさんがその土地をCさんに転売しました。Aさんは詐欺を理由に契約を取り消したいのですが、この場合、AさんとCさんのどちらが土地を取得できるのかが問題になります。
取消しが認められると、契約は**最初からなかったことになる(遡及効)**ため、本来ならAさんが土地の所有者です。しかし、Cさんは「自分はBさんから正当に買った」と主張するでしょう。この対立を解決するのが、登記による決着です。
誰が登記で決着するの?
ポイントは、Cさんがいつ登場したかです。
①取消し前の第三者(Cさん)の場合
判例によれば、AさんとCさんは対抗関係に立ちます。つまり、登記を先に備えた方が勝つというルールです(民法177条)。Aさんが取り消しただけでは不十分で、登記を備えなければCさんに対抗できません。
②取消し後の第三者(Cさん)の場合
取消し後に登場した第三者に対しては、Aさんは登記なしで対抗できます。なぜなら、取消し後はBさんにはもう所有権がないため、Cさんは無権利者から取得したことになるからです。
試験ではここを押さえよう
「取消し前の第三者=登記が必要」「取消し後の第三者=登記不要」という区別が頻出です。「取消しは遡及効があるのに、なぜ登記が必要なのか」という点も理解しておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:詐欺による取消しと第三者
AさんはBさんに騙されて土地を売りました。その後、Bさんがその土地をCさんに転売し、Cさんが登記を備えました。その後、Aさんが詐欺を理由に契約を取り消したとします。この場合、Aさんは登記を備えなければCさんに対抗できません。Cさんは「取消し前の第三者」だからです。
ケース②:取消し後に現れた第三者
AさんがBさんとの契約を取り消した後に、Bさんが土地をDさんに売ったとします。この場合、Aさんは登記がなくてもDさんに対抗できます。取消し後はBさんに権利がないため、Dさんは無権利者から買ったことになるからです。
試験対策ポイント
「取消しと登記」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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