原処分主義
げんしょぶんしゅぎ
ひとことで言うと
審査請求に対する裁決に不服がある場合でも、裁決ではなく原処分を対象として取消訴訟を提起しなければならないという原則のこと。
くわしく解説
なぜ「原処分」を訴えなければならないの?
みなさん、行政処分に納得できなくて審査請求をしたのに、その裁決でも負けてしまった場合を想像してください。「じゃあ裁決を取り消してもらおう!」と思うかもしれませんが、ここに原処分主義というルールがあります。
ポイントは、「裁決はあくまで審査の結果にすぎない。問題の本質は最初の処分(原処分)にある」という考え方です。
原処分主義の根拠はどこにあるの?
行政事件訴訟法10条2項に規定されています。この条文では、「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない」と定められています。
つまり、裁決の取消訴訟では「原処分が違法だ」という主張ができないのです。
原処分主義と裁決主義の違いは?
①原処分主義は、原則として原処分を対象に訴訟を提起するルールです。
②裁決主義は、例外的に裁決だけを対象に訴訟を提起させるルールです。裁決主義が採用される場合は、個別の法律に明文規定があります。
例えば、電波法や特許法などでは裁決主義が採用されており、専門的な判断を尊重する趣旨があります。
裁決の取消訴訟で主張できることは?
裁決の取消訴訟では、裁決固有の瑕疵(かし)だけを主張できます。具体的には以下のようなものです。
①審理手続の違法があること。審理員が必要な意見聴取をしなかったなど。
②裁決の主体に問題があること。権限のない者が裁決したなど。
③裁決の形式に問題があること。理由の記載がないなど。
試験で問われやすいポイントは?
試験では「裁決主義との違い」「裁決固有の瑕疵とは何か」がよく出題されます。原処分主義が原則、裁決主義は例外という点をしっかり押さえておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:営業許可の取消処分
あなたが飲食店を経営していて、営業許可を取り消されたとします。審査請求をしましたが棄却されました。この場合、裁決ではなく「営業許可取消処分」という原処分を対象に取消訴訟を提起します。これが原処分主義の適用場面です。
ケース②:建築確認の拒否処分
建築確認申請が拒否され、審査請求も棄却されたとします。「裁決の判断がおかしい!」と思っても、訴訟では原処分である「建築確認拒否処分」の違法を争わなければなりません。裁決の取消訴訟では原処分の違法は主張できないのです。
試験対策ポイント
「原処分主義」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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