危険負担
きけんふたん
ひとことで言うと
双務契約で、一方の債務が当事者の責めに帰さない事由で履行不能になった場合に、他方の債務がどうなるかという問題のこと。
くわしく解説
危険負担って何?
売買契約など、お互いに義務を負う契約(双務契約)で、片方の義務が「誰のせいでもない理由」で果たせなくなったとき、もう片方の義務はどうなるのか?という問題です。
例えば、あなたが中古車を買う契約をした後、納車前に落雷でその車が燃えてしまった場合を考えてみましょう。売主は車を渡せません(履行不能)。では、あなたは代金を払わなければならないのでしょうか?
ポイントは、「誰も悪くないのに一方が履行できなくなった。では、その損(危険)を誰が負担するのか」という考え方にあります。
民法の原則は?
民法は債権者主義を原則としています(改正前)。つまり、債務が履行不能になっても、相手方(債権者)は自分の債務を履行しなければならないという考え方です。
しかし、これでは不公平なケースが多いため、令和2年の民法改正で大きく変わりました。現在は債務者主義が原則です。
改正後のルールは?
①債務者に帰責事由がない場合、履行不能になった債務の相手方(債権者)は、自分の債務の履行を拒絶できることになりました(536条1項)。
先ほどの例なら、落雷で車が滅失した場合、買主は代金を払わなくてよいのです。これが現在の原則です。
②債権者に帰責事由がある場合は例外で、債務者は反対給付を受ける権利を失いません(536条2項)。つまり、買主が保管中の車庫で火事を起こして車を燃やした場合、売主は代金を請求できます。
具体例で考えよう
ケース①:台風による建物の滅失
AさんはBさんから中古住宅を購入する契約を結びました。引渡し前に大型台風が直撃し、建物が全壊してしまいました。この場合、Bさんは建物を引き渡せませんが、Aさんは代金を支払う必要がありません。これは危険負担のルールにより、債務者に帰責事由がないため、債権者(Aさん)は反対給付を拒絶できるからです。
ケース②:買主の過失による滅失
CさんはDさんから絵画を購入する契約をしました。引渡し前、Cさんが「先に預かっておく」と持ち帰ったところ、Cさんの不注意で火事になり絵画が焼失しました。この場合、債権者(Cさん)に帰責事由があるため、Dさんは代金を請求できます。
試験対策ポイント
「危険負担」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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