信義誠実の原則
しんぎせいじつのげんそく
ひとことで言うと
行政機関と国民の間においても、互いに相手方の信頼を裏切らないよう誠実に行動すべきという私法上の原則が適用されること。
くわしく解説
なぜ行政にも「信義誠実」が求められるの?
「信義誠実の原則」とは、民法1条2項に定められた私法上の大原則です。簡単に言えば、「相手の信頼を裏切ってはいけない」というルールですね。
では、国や自治体などの行政機関にも、この原則は適用されるのでしょうか?
結論から言うと、適用されると考えられています。ポイントは、「行政だからといって、国民の信頼を踏みにじっていいわけがない」という考え方にあります。
行政法の一般原則との関係は?
信義誠実の原則は、行政法の一般原則の一つとして位置づけられています。行政法には民法のような統一的な法典がないため、こうした一般原則が重要な役割を果たします。
特に、行政機関が以前の言動と矛盾する行為をした場合、国民の信頼保護の観点から違法と判断されることがあります。これを禁反言の原則(エストッペル)とも呼びます。
適用されるための条件は?
判例によれば、信義則が行政に適用されるには、いくつかの条件があります。
①行政機関の言動があること。公的な見解の表明や指導などが該当します。
②国民がその言動を信頼したこと。その信頼に基づいて行動したという事情が必要です。
③信頼が保護に値すること。国民側に落ち度がなく、その信頼が正当なものでなければなりません。
試験で押さえておきたいポイント
最高裁判例(最判昭和62年10月30日・青色申告事件)では、租税法律主義との関係が問題になりました。判例は、「租税法規に適合する課税処分について、信義則の適用により違法となる場合がある」としつつも、その適用は慎重であるべきと述べています。
つまり、行政には法律に従う義務があるため、信義則の適用は例外的なケースに限られるという点を押さえておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:税務署の誤った指導
あなたが税務署に相談に行き、「この経費は控除できます」と職員から説明を受けたとします。それを信じて申告したところ、後から「やはり控除できない」と課税されました。このような場合、信義誠実の原則により、課税処分が違法となる可能性があります。
ケース②:許可の見込みを信じた投資
自治体の担当者から「許可が出る見込みです」と言われ、あなたが高額な設備投資をしたとします。ところが後になって許可が拒否されました。この場合も、行政の言動を信頼した国民の保護が問題となり、信義則の適用が検討されます。
試験対策ポイント
「信義誠実の原則」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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