仮の義務付け
かりのぎむづけ
ひとことで言うと
義務付け訴訟の提起中に、緊急性がある場合に裁判所が暫定的に行政庁に処分を命じる仮の救済制度のこと。
くわしく解説
なぜ「仮の」義務付けが必要なの?
義務付け訴訟を起こしても、判決が出るまでには時間がかかります。その間に申請者が深刻な被害を受けてしまったら、せっかく勝訴しても意味がありませんよね。
たとえば、生活保護の申請が却下されたケースを想像してください。裁判で「保護を支給せよ」という判決が出るまで何年も待っていたら、その間に生活が破綻してしまいます。こうした緊急事態に対応するための制度が「仮の義務付け」です。
どんな要件が必要なの?
仮の義務付けが認められるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
①義務付け訴訟が適法に提起されていること。本案訴訟が前提です。
②償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があること。お金で解決できる程度の損害では認められません。
③本案について理由があるとみえること。勝訴の見込みがある程度必要です。
④公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと。
ポイントは、「今すぐ処分をしないと取り返しがつかない」という緊急性にあります。
執行停止との違いは?
執行停止は「処分の効力を止める」守りの制度です。一方、仮の義務付けは「処分をさせる」攻めの制度といえます。
執行停止の要件は「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」ですが、仮の義務付けは「償うことのできない損害」とより厳しくなっています。行政庁に積極的に行動させるため、ハードルが高く設定されているのです。
試験で押さえるべきポイント
仮の義務付けは申請型・非申請型どちらの義務付け訴訟でも利用可能です。また、申立ては口頭弁論を経ないで決定できます。内閣総理大臣の異議の制度は、仮の義務付けにも適用されることを覚えておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:生活保護申請の却下
あなたが生活保護を申請したところ、役所に却下されたとします。収入がなく、このままでは生活できません。裁判の判決を待っていたら餓死してしまう危険があります。この場合、義務付け訴訟を提起しつつ、「仮の義務付け」を申し立てることで、判決前に暫定的に生活保護の支給を受けられる可能性があります。
ケース②:難病患者への医療給付
難病を抱えるあなたが医療給付の申請をしたところ、不支給決定を受けたとします。高額な治療費を自己負担できず、治療を中断すれば命に関わります。このような緊急事態では、仮の義務付けにより、判決前に医療給付を受けられる場合があります。
試験対策ポイント
「仮の義務付け」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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