代理権の濫用
だいりけんのらんよう
ひとことで言うと
代理人が、形式的には代理権の範囲内の行為をしているが、実際には本人のためではなく自分や第三者の利益を図る目的で代理権を使うこと。
くわしく解説
代理権の濫用って何が問題なの?
代理人は、本来本人の利益のために代理権を使わなければなりません。ところが、代理人が「形式的には代理権の範囲内だから大丈夫」と考えて、実際には自分や第三者の利益を図る目的で代理権を行使することがあります。これが代理権の濫用です。
たとえば、土地の売却を任された代理人が、自分の借金を返すために、本人のためではなく自分のために売却するような場合です。見た目は正当な代理行為ですが、本人の利益を無視している点が問題なのです。
法律上はどう扱われるの?
民法は、代理権濫用について心裡留保の規定(93条ただし書)を類推適用します。つまり、相手方が代理人の真意(濫用目的)を知っていた、または知ることができた場合には、その代理行為は無効になります。
ポイントは、「相手方が善意無過失なら有効、悪意または有過失なら無効」という考え方にあります。本人を守りつつ、何も知らない相手方の取引の安全も考慮したバランスの取れたルールです。
試験で気をつけたいこと
無権代理との違いに注意しましょう。無権代理は代理権がない場合、代理権濫用は代理権はあるが目的が不正な場合です。また、相手方の主観的要件(悪意・有過失)の立証責任は本人側にあります。
具体例で考えよう
ケース①:自己の借金返済のための売却
AさんはBさんに「自分の土地を500万円で売却する権限」を与えました。ところがBさんは、自分の借金返済のために、本人Aのためではなく自分のために土地を売却したとします。買主Cがこの事情を知っていた場合、この売買契約は無効となります。これは代理権の濫用にあたるからです。
ケース②:第三者への利益供与
DさんはEさんに「自分の株式を売却する代理権」を与えました。EさんはDさんのためではなく、友人Fに安く株を買わせて利益を与える目的で売却したとします。買主Fが事情を知らず、知ることもできなかった場合は有効ですが、知っていれば無効となります。
試験対策ポイント
「代理権の濫用」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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