事情裁決
じじょうさいけつ
ひとことで言うと
審査請求に理由があっても、処分を取り消すことが公の利益に著しい障害を生じる場合に、請求を棄却しつつ処分の違法・不当を宣言する裁決のこと。
くわしく解説
事情裁決ってどういう意味?
審査請求をした人の言い分が正しい(処分が違法または不当である)にもかかわらず、その処分を取り消すと公の利益に著しい障害が生じる場合に、審査庁が請求を棄却しつつ、「この処分は違法または不当である」と宣言する特別な裁決のことです。
なぜこんな制度があるの?
ポイントは、「あなたの主張は正しい。でも、今さら取り消すと社会全体が困る」という考え方にあります。
たとえば、大規模なダム建設のために土地収用がされた後に違法が判明したとします。もう工事が完成間近なのに処分を取り消すと、莫大な税金が無駄になり、社会全体に大きな損害が生じてしまいます。こうした場合に、取消しは認めないけれど、違法であることは明確にするのが事情裁決です。
事情裁決の3つの要件
①処分が違法または不当であること。まず、審査請求人の主張に理由がなければなりません。
②処分を取り消すことが公の利益に著しい障害を生じること。単に「ちょっと困る」程度ではなく、社会全体への重大な影響が必要です。
③審査請求人の受ける損害の程度等を考慮してもなお公の利益との比較衡量が必要であること。請求人の不利益と公の利益を天秤にかけて判断します。
事情判決との違いは?
行政不服審査法の「事情裁決」と、行政事件訴訟法の「事情判決」は、基本的な考え方は同じです。違いは、事情裁決は行政機関(審査庁)が行うもの、事情判決は裁判所が行うものという点です。
試験で狙われるポイント
事情裁決では、裁決の主文で処分が違法または不当であることを宣言しなければなりません。また、損害については損失補償の問題として別途対応されることがあります。「棄却+違法宣言」というセットで覚えておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:ダム建設と土地収用
あなたの土地がダム建設のために収用されたとします。その後、収用の手続きに違法があったと判明しました。しかし、すでにダムは完成間近で、今さら収用を取り消すと巨額の工事費用が無駄になります。この場合、審査庁は事情裁決により、請求を棄却しつつ「収用は違法であった」と宣言することがあります。
ケース②:道路拡張工事
あなたの建物が道路拡張のために撤去命令を受け、すでに撤去されたとします。後から手続きの違法が見つかっても、道路は完成して多くの市民が利用しています。この場合も、取消しは認めず違法を宣言する事情裁決の対象になります。
試験対策ポイント
「事情裁決」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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