板まんだら事件
板まんだらが本物かどうかは裁判所が判断できない!宗教的教義の正否は法律上の争訟にあたらない
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事案の概要
争点
判旨
【原文】
①裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。
・したがって、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、法令の適用により解決するのに適しないものは裁判所の審判の対象となりえない、というべきである。
②本件訴訟は、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっており、その結果信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断は、請求の当否を決するについての前提問題であるにとどまるものとされてはいるが、本件訴訟の帰すうを左右する必要不可欠のものと認められることなどからすれば、結局本件訴訟は、その実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なものであり、裁判所法3条にいう法律上の争訟にあたらないものといわなければならない。
判決
関連法令の解説
この条文は裁判所が「法律上の争訟」を裁判する権限を持つと定めています。本判例では「法律上の争訟」の意義として、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であって、②法律の適用により終局的に解決することができるものを指すと判示されました。宗教上の教義の正否が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠な前提となる場合は、②を満たさないとして法律上の争訟にあたらないとされます。憲法76条1項(司法権の帰属)
この条文はすべて司法権は裁判所に属すると定めていますが、裁判所が扱える「司法権」は「法律上の争訟」に限られるという解釈のもとで、本判例の法律上の争訟論が展開されました。
身近な例え
ざっくりまとめ
今回の訴訟は「寄附金返還」という形をとっているから①は満たしてそうに見えるんだけど、問題は②なんだ。
板まんだらが本物かどうかという判断は宗教的教義の問題であって、法律を適用しても答えは出せない。だから②を満たさない→法律上の争訟にあたらない→裁判所は審判できないってことになるんだよ。
「お金の争いの形をとっていても、核心が宗教的教義の判断なら却下」という論理構造を押さえておこう。
試験対策ポイント
表面上が財産紛争の形をとっていても、宗教的教義の正否が訴訟の核心となる場合は法律上の争訟にあたらない
前提問題にすぎない場合と紛争の核心となっている場合の区別が重要:後者は却下される
注意:宗教に関する紛争がすべて法律上の争訟にあたらないわけではない。教義判断が不可欠かどうかで判断する
宝塚市パチンコ条例事件(最判平14.7.9)の「法律上の争訟」論と対比して整理すること
関連法令
関連判例
警察法改正無効事件
裁判所の法令審査権(憲法81条)は、国会の両院における法律制定の議事手続の適否には及ばない この理由は、議院が自らの内部事項を自主的に決める**「自律権」**を裁判所は尊重すべきだから 注意:議事手続は審査対象外だが、法律の内容(実体)については通常通り違憲審査の対象となる 市町村警察を廃止して都道府県警察に移すことは憲法92条(地方自治の本旨)に違反しない 本判例は司法権の限界の典型例として、統治行為論・自律権・部分社会の法理とセットで整理しておく
苫米地事件
統治行為とは、高度な政治性を持つ国家行為であり、法的判断が技術的に可能でも司法審査の対象から外れる 統治行為の根拠は「最終的に国民の政治判断に委ねるべき」という民主主義的考え方にある 注意:砂川事件では「一見して明白に違憲無効な場合」には審査が及びうるという余地を残しており、苫米地事件とは説明がやや異なる 憲法7条のみによる衆議院解散の合憲性については、最高裁は統治行為論によって判断を回避しており、実体的な結論は示していない 統治行為論は**砂川事件(最大判昭34.12.16)**でも採用されており、あわせて整理すること
臨時会召集遅延事件
宝塚市パチンコ条例事件
行政権の主体として義務履行を求める訴訟は法律上の争訟に当たらない(裁判所法3条1項) 例外として、法律に特別の規定がある場合のみ提起可能 注意:地方公共団体が財産権の主体として提訴する場合(例:所有地の不法占拠)は法律上の争訟にあたり裁判所が扱える 行政代執行は代替的作為義務にしか使えず、建設中止命令(不作為義務)には使えない点も確認 本判例は記述式でも問われており、「行政権の主体」「法律上の争訟」「却下」の3つのキーワードをセットで押さえること
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