ロゴ行政書士になる子ちゃん
S憲法統治機構

板まんだら事件

最高裁判所1981-04-07最判昭56.4.7
法律上の争訟司法権の限界宗教的教義裁判所法3条終局的解決紛争の核心前提問題

板まんだらが本物かどうかは裁判所が判断できない!宗教的教義の正否は法律上の争訟にあたらない

図解でわかる

判例図解

タップで拡大

なる子ちゃん

事案の概要

創価学会が正本堂建立のために会員から寄附金を募ったところ、後に脱退した17名が「本尊とされている板まんだらは日蓮聖人の手によるものではなく偽物であり、錯誤による寄附は無効だ」として寄附金の返還を求める訴訟を提起した。訴訟は表面上は寄附金返還という財産上の紛争の形をとっているが、その前提として板まんだらの真偽(宗教的教義)を判断しなければならないため、裁判所が審判できる「法律上の争訟」にあたるかどうかが争われた。
争点

争点

表面上は寄附金返還という財産上の権利義務に関する紛争であっても、宗教上の教義(板まんだらの真偽)の判断が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠な前提となっている場合に、裁判所法3条の「法律上の争訟」にあたるかどうかが争点です。
判旨

判旨

法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であって、法律の適用により終局的に解決することができるものをいいます。訴訟が具体的な権利義務に関する紛争の形式をとっており、宗教上の教義に関する判断が請求の当否を決するための前提問題にとどまるとされていても、それが訴訟の帰趨を左右する必要不可欠なものであり、紛争の核心となっている場合には、法律上の争訟にあたりません。本件は板まんだらの真偽という宗教上の教義に関する判断なしには解決不可能であるため、法律上の争訟にあたらず、訴えは不適法として却下すべきです。
【原文】

①裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。

・したがって、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、法令の適用により解決するのに適しないものは裁判所の審判の対象となりえない、というべきである。

②本件訴訟は、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっており、その結果信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断は、請求の当否を決するについての前提問題であるにとどまるものとされてはいるが、本件訴訟の帰すうを左右する必要不可欠のものと認められることなどからすれば、結局本件訴訟は、その実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なものであり、裁判所法3条にいう法律上の争訟にあたらないものといわなければならない。
判決

判決

訴え却下(確定)。板まんだらの真偽に関する判断が不可欠であり、法律上の争訟にあたらない。
関連法令の解説

関連法令の解説

裁判所法3条1項(司法権の範囲)
この条文は裁判所が「法律上の争訟」を裁判する権限を持つと定めています。本判例では「法律上の争訟」の意義として、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であって、②法律の適用により終局的に解決することができるものを指すと判示されました。宗教上の教義の正否が訴訟の帰趨を左右する必要不可欠な前提となる場合は、②を満たさないとして法律上の争訟にあたらないとされます。憲法76条1項(司法権の帰属)

この条文はすべて司法権は裁判所に属すると定めていますが、裁判所が扱える「司法権」は「法律上の争訟」に限られるという解釈のもとで、本判例の法律上の争訟論が展開されました。
身近な例え

身近な例え

学校の先生が「神様は存在するか」という哲学論争の審判を頼まれても、それは先生の職務範囲外ですよね。裁判所も同じで、宗教論争は専門外なんです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

「法律上の争訟」とは①当事者間の具体的な権利義務をめぐる紛争であって、②法律を適用することで最終的に解決できるもの、この2つの要件を満たすものをいうんだよ。
今回の訴訟は「寄附金返還」という形をとっているから①は満たしてそうに見えるんだけど、問題は②なんだ。

板まんだらが本物かどうかという判断は宗教的教義の問題であって、法律を適用しても答えは出せない。だから②を満たさない→法律上の争訟にあたらない→裁判所は審判できないってことになるんだよ。

「お金の争いの形をとっていても、核心が宗教的教義の判断なら却下」という論理構造を押さえておこう。

試験対策ポイント

法律上の争訟の2要件:①当事者間の具体的な権利義務・法律関係に関する紛争、②法律の適用によって終局的に解決できるもの
表面上が財産紛争の形をとっていても、宗教的教義の正否が訴訟の核心となる場合は法律上の争訟にあたらない

前提問題にすぎない場合と紛争の核心となっている場合の区別が重要:後者は却下される

注意:宗教に関する紛争がすべて法律上の争訟にあたらないわけではない。教義判断が不可欠かどうかで判断する

宝塚市パチンコ条例事件(最判平14.7.9)の「法律上の争訟」論と対比して整理すること
法令

関連法令

関連判例

関連判例

憲法最高裁判所大法廷

警察法改正無効事件

裁判所の法令審査権(憲法81条)は、国会の両院における法律制定の議事手続の適否には及ばない この理由は、議院が自らの内部事項を自主的に決める**「自律権」**を裁判所は尊重すべきだから 注意:議事手続は審査対象外だが、法律の内容(実体)については通常通り違憲審査の対象となる 市町村警察を廃止して都道府県警察に移すことは憲法92条(地方自治の本旨)に違反しない 本判例は司法権の限界の典型例として、統治行為論・自律権・部分社会の法理とセットで整理しておく

憲法最高裁判所大法廷

苫米地事件

統治行為とは、高度な政治性を持つ国家行為であり、法的判断が技術的に可能でも司法審査の対象から外れる 統治行為の根拠は「最終的に国民の政治判断に委ねるべき」という民主主義的考え方にある 注意:砂川事件では「一見して明白に違憲無効な場合」には審査が及びうるという余地を残しており、苫米地事件とは説明がやや異なる 憲法7条のみによる衆議院解散の合憲性については、最高裁は統治行為論によって判断を回避しており、実体的な結論は示していない 統治行為論は**砂川事件(最大判昭34.12.16)**でも採用されており、あわせて整理すること

憲法最高裁判所

臨時会召集遅延事件

行政法最高裁判所

宝塚市パチンコ条例事件

行政権の主体として義務履行を求める訴訟は法律上の争訟に当たらない(裁判所法3条1項) 例外として、法律に特別の規定がある場合のみ提起可能 注意:地方公共団体が財産権の主体として提訴する場合(例:所有地の不法占拠)は法律上の争訟にあたり裁判所が扱える 行政代執行は代替的作為義務にしか使えず、建設中止命令(不作為義務)には使えない点も確認 本判例は記述式でも問われており、「行政権の主体」「法律上の争訟」「却下」の3つのキーワードをセットで押さえること

📱 アプリのご紹介

行政書士になる子ちゃん

スマホアプリで、いつでもどこでも。行政書士合格を、スキマ時間で。

行政書士試験学習には必須の判例のわかりやすい解説から科目別テキスト、過去問演習、択一演習をスマホでまとめて持ち歩ける学習アプリです。通勤・休憩中に1問だけでも。独学でも仕事と両立しながら、合格を目指せます。

App Storeで無料ダウンロード