S憲法統治機構
板まんだら事件
最高裁判所1981-04-07
法律上の争訟司法権の限界宗教的教義
宗教論争は裁判所の範囲外
図解でわかる

事案の概要
ある宗教団体内で、板まんだら(宗教上の重要な宝物)の所有権をめぐって争いが起きました。原告は「自分たちの宗教解釈が正しいから、板まんだらは自分たちのものだ」と主張して裁判を起こしました。しかし、この主張の前提として「どちらの教義解釈が正しいか」を裁判所が判断する必要がありました。最高裁は、宗教上の教義論争は裁判所が扱える問題ではないと判断しました。
争点
裁判所が扱える「法律上の争訟(法律によって解決できる紛争)」とは何か。また、宗教上の教義(宗教的な教えや解釈)の正しさが判断の前提となる訴訟は、これに該当するか。
判旨
「法律上の争訟」とは、�@当事者間に具体的な権利・義務をめぐる対立があり、�A法律を当てはめることで最終的に解決できる紛争のこと。宗教上の教義の正しさを判断しなければ解決できない紛争は、法律では最終的に解決できないため、裁判所が審判できる「法律上の争訟」にはあたらない。
関連法令の解説
憲法76条1項は「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」と定めています。この判例は、裁判所が扱える「法律上の争訟」の範囲を示した重要判例です。
身近な例え
学校の先生が「神様は存在するか」という哲学論争の審判を頼まれても、それは先生の職務範囲外ですよね。裁判所も同じで、宗教論争は専門外なんです。
ざっくりまとめ
要するに、宗教の教えの正しさを判断しないと解決できない争いは、裁判所では扱えないってこと!教義論争は法律では決着がつかないから、「法律上の争訟」にあたらないんですね。
試験対策ポイント
【試験で問われるポイント】 ①「法律上の争訟」の定義:当事者間の具体的な権利義務の存否に関する紛争であって、法令の適用により終局的に解決できるもの ②宗教上の教義の正しさが前提問題となる訴訟は「法律上の争訟」にあたらない ③裁判所法3条1項の「法律上の争訟」は憲法76条1項の司法権の範囲を具体化したもの ④結論は「訴え却下」(門前払い) ⑤政教分離原則(憲法20条)とも関連するが、本件は司法権の限界の問題として判断
関連法令
憲法76条1項
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