間接適用
かんせつてきよう
ひとことで言うと
私人間(個人と個人の関係)における人権侵害について、憲法の人権規定を直接適用せず、民法などの私法の規定を介して間接的に適用する考え方のこと。
くわしく解説
憲法は私人間には直接使えない?
憲法が保障する人権は、もともと国家権力から国民を守るためのものです。では、会社が従業員を不当に差別したり、大地主が小作人の信教の自由を侵害したりする場合、憲法は使えないのでしょうか?
間接適用説は、「憲法は国家を縛るもの。でも、私人間の紛争で人権の趣旨を全く無視するのは不合理だ」という立場です。
どうやって適用するの?
間接適用説では、私人間の紛争には民法などの私法を使うのが原則です。ただし、民法90条(公序良俗)や民法1条(信義則)といった一般条項を解釈する際に、憲法の人権規定の趣旨を考慮するのです。
たとえば、企業が思想を理由に採用を拒否した場合、憲法19条を直接使うのではなく、「公序良俗違反で無効」と判断する際に憲法の趣旨を反映させます。
なぜこの考え方が通説なの?
①私的自治の尊重:個人や企業にも、契約の自由や営業の自由があります。憲法を直接適用すると、この自由が過度に制約されてしまいます。
②柔軟な解決:事案ごとに利益を比較衡量できるため、妥当な結論を導きやすくなります。
判例も、三菱樹脂事件などで、この間接適用説の立場を採用しています。
具体例で考えよう
ケース①:企業の採用差別
ある企業が、特定の政治団体に所属していることを理由に、応募者の採用を拒否したとします。この場合、憲法19条(思想・良心の自由)を直接適用するのではなく、民法90条の公序良俗違反を検討する際に、憲法の趣旨を考慮して判断します。これが間接適用の典型例です。
ケース②:大学の単位認定拒否
私立大学が、学生の政治活動を理由に単位認定を拒否したとします。この私人間の紛争でも、憲法を直接適用するのではなく、契約関係や信義則違反を判断する際に、憲法23条(学問の自由)の趣旨を間接的に考慮することになります。
試験対策ポイント
「間接適用」は憲法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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