要物契約
ようぶつけいやく
ひとことで言うと
契約の成立に当事者の合意だけでなく、目的物の引渡しなど物の移転が必要な契約のこと。
くわしく解説
要物契約とは何か?
契約と聞くと、「口約束だけで成立する」というイメージがありませんか?実は、契約の中には当事者の合意だけでは成立せず、実際に物を渡さないと成立しない契約があります。これが要物契約です。
例えば、友人に「お金を貸すよ」と約束しただけでは契約は成立せず、実際にお金を渡して初めて契約が成立する、というイメージです。
諾成契約との違いは?
対になる概念が諾成契約です。諾成契約は、当事者の合意(承諾)だけで成立する契約です。現代の民法では、ほとんどの契約が諾成契約とされています。
売買契約や賃貸借契約は諾成契約です。「この車を100万円で売ります」「買います」という合意だけで契約は成立し、まだ代金を払っていなくても、車を引き渡していなくても契約は有効に成立しています。
一方、要物契約は合意+物の引渡しが必要です。
どんな契約が要物契約なの?
現代の民法では、要物契約は減少傾向にあります。代表的なものは以下の通りです。
①消費貸借契約(旧規定):お金や物を借りる契約。ただし、現在は書面による場合は諾成契約とされています。
②寄託契約(旧規定):物を預ける契約。こちらも書面による場合は諾成契約です。
③動産質:動産を担保として渡す契約。質屋に物を預けるケースですね。
ポイントは、「実際に物を渡さなければ契約が成立しない」という点にあります。 合意だけでは法的な義務は発生しないのです。
なぜ要物契約が減っているの?
取引の安全性や予測可能性を高めるため、平成29年の民法改正で、消費貸借や寄託は原則として諾成契約化されました。書面で合意すれば、物を渡す前でも契約が成立するようになったのです。
具体例で考えよう
ケース①:友人への貸金
あなたが友人に「10万円貸してあげる」と約束したとします。しかし、実際にお金を渡す前に気が変わって「やっぱり貸せない」と言った場合、旧来の要物契約の考え方では、まだ契約は成立していないので、友人はあなたに「約束したでしょ!」と法的に請求することはできません。物の引渡しがあって初めて貸借契約が成立するからです。
ケース②:質屋での質入れ
あなたが腕時計を質屋に持ち込み、「この時計を担保に5万円貸してください」と申し込んだとします。質屋が「いいですよ」と承諾しただけでは、まだ質権設定契約は成立しません。実際にあなたが時計を質屋に引き渡して、初めて動産質の契約が成立します。これは典型的な要物契約の例です。
試験対策ポイント
「要物契約」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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