抵当権の侵害
ていとうけんのしんがい
ひとことで言うと
抵当権が設定された不動産の価値を減少させたり、抵当権の実行を妨げたりする行為のこと。
くわしく解説
抵当権の侵害って何?
抵当権が設定された土地や建物に対して、その価値を下げたり、競売を妨害したりする行為を指します。
たとえば、抵当権が設定されている建物を勝手に取り壊したり、不法占拠者が住み着いて競売価格が下がってしまうような場合です。こうした行為は、抵当権者(お金を貸した側)が将来その不動産を競売にかけて債権を回収する権利を脅かすことになります。
なぜ問題になるの?
抵当権は物に対する権利(物権)です。ですから、抵当権者は「自分の権利を侵害する者」に対して、直接排除を求めることができます。これを抵当権に基づく妨害排除請求といいます。
ポイントは、「抵当権者は債権者だけど、物権としての力も持っている」という点です。単なる貸し手ではなく、不動産そのものに対する支配権があるため、侵害者に対して強力な請求ができるのです。
どんな場合に認められる?
判例では、次のような要件で抵当権侵害が認められます。
①不動産の交換価値を減少させる行為があること。建物の取り壊しや、不法占拠による価値低下などです。
②抵当権の実行を困難にする行為があること。競売の妨害や、占有者が居座って買い手がつかなくなる場合などです。
試験でのポイント
抵当権に基づく妨害排除請求権が認められるかどうかは、頻出テーマです。特に「不法占拠者に対して抵当権者が直接明渡しを請求できるか」という論点は要チェックです。
具体例で考えよう
ケース①:不法占拠者が住み着いた場合
Aさんが銀行から融資を受ける際、自宅に抵当権を設定しました。その後、Aさんが家を空けている間に、Bさんが無断で住み着いてしまいました。この不法占拠によって、競売にかけても買い手がつきにくくなり、建物の価値が下がってしまいます。この場合、銀行はBさんに対して抵当権に基づく妨害排除請求ができます。
ケース②:建物を勝手に取り壊した場合
Cさんは自分の土地建物に抵当権を設定していましたが、資金繰りに困り、建物を取り壊して資材を売却してしまいました。これにより抵当権の目的物である建物が失われ、抵当権者の担保価値が大きく損なわれます。この行為は典型的な抵当権の侵害にあたります。
試験対策ポイント
「抵当権の侵害」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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