取消訴訟の審理手続
とりけしそしょうのしんりてつづき
ひとことで言うと
裁判所が取消訴訟を審理する際に、職権証拠調べや釈明処分の特則など、民事訴訟とは異なる特別なルールが適用される手続のこと。
くわしく解説
なぜ民事訴訟とは違う手続きがあるの?
取消訴訟は、行政処分の違法性を争うものです。民事訴訟のように「個人 vs 個人」ではなく、「市民 vs 国や自治体」という構図になります。
ここでポイントになるのは、情報や証拠の多くは行政側が持っているという点です。市民と行政では、そもそも持っている情報量が違います。だからこそ、裁判所には特別な権限が与えられているのです。
職権証拠調べとは?
民事訴訟では、当事者が出した証拠だけで判断するのが原則です。しかし取消訴訟では、裁判所が自ら進んで証拠を調べることができます(行政事件訴訟法24条)。
これを職権証拠調べといいます。ただし、当事者が主張していない事実を勝手に判断することはできません。あくまで「証拠集め」の部分だけが特別なのです。
釈明処分の特則って何?
裁判所は、行政庁に対して処分の理由や根拠となった資料の提出を求めることができます(行政事件訴訟法23条の2)。
これを釈明処分の特則といいます。市民が「なぜこんな処分をしたの?」と思っても、理由がわからなければ争いようがありません。この制度により、行政側に「説明責任」を果たさせることができるのです。
訴訟参加のルールは?
取消訴訟では、処分の結果に利害関係を持つ第三者が訴訟に参加できます。
①行政庁の訴訟参加…裁判所が必要と認めれば、処分をした行政庁以外の行政庁も参加できます。
②第三者の訴訟参加…訴訟の結果によって権利を害される第三者は、自ら参加を申し立てるか、裁判所の決定で参加します。
試験で問われるポイントは?
特に職権証拠調べと釈明処分の特則が頻出です。「職権で調べられるのは証拠だけ。主張まで勝手にできるわけではない」という点を押さえておきましょう。
具体例で考えよう
ケース①:営業許可取消しの理由がわからない
あなたが経営する飲食店の営業許可が取り消されたとします。しかし、処分通知書には「法令違反のため」とだけ書かれていて、具体的な理由がわかりません。この場合、取消訴訟を提起すれば、裁判所が行政庁に対して処分の根拠資料を出すよう命じることができます。これが釈明処分の特則です。
ケース②:証拠が行政側にしかない
あなたが建築確認処分の取消しを求めて訴訟を起こしたとします。違法性を証明したいのですが、必要な資料は役所が持っています。この場合、裁判所は職権で証拠調べを行い、行政側から資料を取り寄せて審理することができます。
試験対策ポイント
「取消訴訟の審理手続」は行政法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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