占有回収の訴え
せんゆうかいしゅうのうったえ
ひとことで言うと
占有を奪われた者が、奪った相手に対して占有の返還を求める訴えのこと。
くわしく解説
占有回収の訴えとは何か?
占有回収の訴えは、あなたの占有を誰かに暴力的に奪われたときに、その占有を取り戻すための手段です。民法200条に定められています。
例えば、あなたが借りているアパートから、大家さんが勝手に鍵を変えて締め出した場合などに使えます。ポイントは、「自分に権利があるかどうか」は関係なく、占有という事実状態を守るという考え方にあります。
占有保持の訴え・占有保全の訴えとの違いは?
占有訴権には3つの種類があります。
占有保持の訴えは、占有を妨害されたときに使います。まだ奪われてはいないけれど、邪魔をされている状態です。
占有保全の訴えは、これから妨害されそうなときに使います。予防的な措置ですね。
占有回収の訴えは、すでに占有を奪われてしまったときに使います。3つの中で最も深刻な状況に対応するものです。
訴えを起こせる条件は?
①占有を侵奪されたこと。単なる妨害ではなく、完全に占有を奪われている必要があります。
②侵奪が違法であること。暴力的・強制的な手段で奪われた場合です。
③侵奪者またはその特定承継人に対して訴えること。占有を奪った本人か、その人から権利を引き継いだ人が相手です。
④侵奪の時から1年以内に訴えを起こすこと。期間制限があるので注意が必要です。
試験で狙われるポイント
占有訴権の最大の特徴は、本権(所有権など)を証明する必要がないという点です。「占有という事実状態」を守るだけなので、たとえ泥棒でも占有訴権を使えます。ただし、相手が「私のほうが正当な権利者だ」と主張してきたら、別途本権に基づく訴訟で決着をつけることになります。
具体例で考えよう
ケース①:賃貸アパートからの強制締め出し
あなたは賃貸アパートに住んでいましたが、家賃を1か月滞納したところ、大家さんが無断で鍵を交換し、部屋に入れなくなってしまったとします。この場合、たとえ家賃を滞納していたとしても、大家さんの行為は暴力的な占有の侵奪にあたります。あなたは占有回収の訴えを起こして、部屋への立ち入りを取り戻すことができます。
ケース②:駐車場の不法占拠
あなたが月極で借りている駐車場に、ある日知らない人の車が停められており、あなたの車が入れなくなったとします。相手に退去を求めても応じず、1週間そのままの状態が続きました。この場合、駐車場という場所の占有を奪われているので、占有回収の訴えによって、相手の車の撤去と駐車場の返還を求めることができます。
試験対策ポイント
「占有回収の訴え」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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