不特定物の特定
ふとくていぶつのとくてい
ひとことで言うと
不特定物債権において、債務者が具体的に引き渡すべき物を決定・分離することで、特定物債権に変わること。
くわしく解説
不特定物が「特定物」に変わる瞬間とは?
不特定物とは、「米10kg」や「新品のテレビ1台」のように、種類と数量だけで決まっている物のことです。これに対して、特定物は「この米」「あのテレビ」のように、具体的に特定された物を指します。
不特定物の特定とは、債務者が履行のために必要な行為を完了したときに、債務の目的物が具体的に決まり、特定物債権に変わることをいいます。民法401条2項に規定されています。
なぜ特定が重要なの?
特定の前と後では、債務者の責任が大きく変わるからです。
特定前は、たとえ在庫が火事で燃えても、債務者は他から調達して引き渡す義務があります。ところが特定後は、その物が債務者の責めに帰すべき事由なく滅失・損傷した場合、債務者は責任を負いません(危険が債権者に移転します)。
つまり、「いつ特定したか」が、リスク負担の分岐点になるのです。
具体的にはどんな時に特定するの?
①物の分離:倉庫から米10kgを取り分けて袋に入れた ②発送:運送会社に商品を引き渡した ③債権者の同意:「この商品でいいですね」と確認を得た
これらの行為により、「この物を引き渡す」と具体的に決まった時点で特定が起こります。ポイントは、債務者が最後の準備を終えた時という考え方にあります。試験では、特定の時期と危険負担の関係がよく問われます。
具体例で考えよう
ケース①:米の配送依頼
AさんがBさんに「新潟産コシヒカリ10kg」を売る契約をしたとします。Bさんが倉庫から10kgを取り分けて袋詰めし、運送会社に引き渡しました。この時点で「この袋の米」と決まり、特定が起こります。その後、運送中にトラックが事故に遭って米が全て駄目になっても、Bさんに過失がなければ、Bさんは責任を負いません。
ケース②:家電量販店での購入
Cさんが店で「このメーカーの冷蔵庫」を注文し、店員が倉庫から1台を取り出して配送の準備を整えたとします。この段階で「この冷蔵庫」と特定されます。配送前に店舗が火事で焼失した場合でも、店に過失がなければ、店は引渡義務を免れ、Cさんが代金を負担することになります。
試験対策ポイント
「不特定物の特定」は民法の頻出ワードです。 用語の定義と、それがどの場面で問題になるかをセットで覚えましょう。
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